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不思議な企画会議だった!

お互いの意見が伯仲した企画会議だ。日本人の社長と米国人のクライアントと共にタレントのパブリシティについて討議している。

その社長のオフィスだけれど、社長は初対面の人物だ。10坪程の雑然としたオフィスである。コロナ禍でのテレワークらしく、出社している社員は殆どいない。

社長は会議室で用意されている自分の椅子には座らず妙に何かに遠慮して、オドオドしている。

アメリカ人のクライアントは始終難しい顔を造って無言である。俺だけが何やら懸命にプレゼンテーションしているが、自分でも何を言っているのか良く判らない。

三人とも、この企画会議が何の目的だか分からないのだ。しかし、表情だけは真剣なのだった。

そこへ一人の社員が来て、会議テーブルの上で何かを探している。彼が何かを置き忘れたらしいので、一緒に探してあげる。会議テーブルの下にも潜ってみた。

そこでばったりその社員と顔がぶつかった。おや、この顔は…どこかで… 会った事があるぞ! そうだ…このデブな青年は…

数年前、大阪のテレビのドキュメンタリー番組の取材で、一緒にメルボルンへ行ったディレクターの横田君じゃないか…!

あの時は確か…メルボルンから大阪までのダブルハンド・ヨットレースの撮影だった。荒波の中で苦闘した仕事だった。

横田君に声をかけると…「カワムラ先生 お久しぶりです!」…と、大きな巨体でニッコリした。

彼が俺を知っている事で、信頼感が増して企画会議は巧く進んだようなのだが、なぜか何も覚えていない。目覚めても、まるでそのあたりの記憶はなかった。あの企画会議は何だったのだろう❓

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