見出し画像

【日記】2024年12月後半 シニアの声と怒鳴る人と「ちゃんと」を捨てる


12月18日(水)晴 おばあちゃんの声は華やか

五年半前、病院のデイケアで行っていたボイストレーニングの仕事が終わった。その病院が、デイケア事業から撤退したためだ。
私の担当クラスは10年続いたけれど、物事が終わるのは、風向きが変わった証拠。久々にボイトレとは全く違う仕事をしてみようと思い立ち、あちこち当たった結果、電話でホームページの操作案内をする仕事に就くことが出来た。コロナ禍に突入したのは、その数ヵ月後だ。
同時進行で運営していたボイトレ教室は全面休業せざるを得なくなったけれど、幸いなことに電話の仕事は週3~4日のペースで続けることができた。ありがたかった。そうして、瞬く間に五年が過ぎた。
50代だった私も、60代だ。
この間、ZOOMでのオンラインレッスンの方法も取り入れることができたし、最近は外部のレッスンスタジオをレンタルして対面レッスンも復活できた。現在も電話の仕事は週3日間のペースで続けているので、年齢に関係なくしっかり働けている。特に電話の仕事は、私よりも年上がたくさんいるしね。なんとなく安心するし。
そこで思うのは、みんな声が良いということ。たぶん、声の良い人がずっと仕事を続けて来られたのだろうけれど、なんたって元気だし華やかだし、若くて艶やかな声の人が多いのだ。
電話の向こう側にいる人は、今しゃべっている相手が、60代後半で孫が4~5人いる人だとは夢にも思わないだろうなぁ。この声の若さをキープさせる術は、研究に値すると思う。

12月20日(金)曇 怒鳴る人間はどこにでもいる

相手を物のように扱い、一方的に怒鳴る、蔑む、脅かす、利用する、そんな嫌な人間はどこにでもいるのだなとつくづく思う。
「俺はなぁ、あいつをクビにしてやったんだ。人の息の根を止めることなんざぁ、俺にとっちゃどうってことねえのよ。逆らうヤツは許さねえからな」
……漫画か。
こういうセリフを実生活で口にする人がいるなんて、思いもしなかった。言われたのは、私。十数年前のとある仕事現場で。
「どこが悪いのか、わかるように説明してください」
穏やかにそう言ったのに、「バカヤロウ、ざけんなよ」といきなり怒鳴られ、先のセリフをねっとりと顔面に貼り付けられたのだ。
私は役目を外され、私がやる必要があることだけを粛々と行って、仕事を終わらせた。数ヵ月後、男から連絡が来た。
「あんた見込みがあるからさ。期待してるよ。また、一緒に仕事しようよ」
ビックリだ。丁寧にお断りしてそのまま放っておいたら、何度か連絡が来て、そのうち途絶えた。
これに類似したことが、いまだに目や耳に飛び込んでくる。同じ空間でも電話の向こう側にも、ネットの世界にも相当数いる。職業や立場や性別に関係なく、とてつもなく嫌な人間はいる。
遭遇したら、まずは深呼吸だ。そっと逃げて安全確保につとめよう。そいつに嫌われて仕事がなくなっても、大丈夫。別の道は必ず開ける。悪いのは立場を利用し言葉の毒を振りまいている方。そして毒を吐くのが気持ち良くて、それが及ぼす影響にまったく気付いていない方。
逃げるが勝ち。だが、反面教師。私も気を付ける。

12月23日(月)晴 冷え込む 知人の訃報が届く

36歳。鉄道とコーラが好き。お母様が私より若い。数ヵ月前に体調を崩して入院した。友人のLINEに、病室から威勢の良いメッセージを時折入れていた。私が知っているのは、それくらい。心配なんてしなかった。すぐに職場に戻って来るものだと思い込んでいた。
会社側が体調の確認をするために自宅に連絡したら、5日前に亡くなっていたそうだ。落胆するご両親からお話を伺うことも出来ず、病状も死因も何もわからないらしい。胸が痛い。とても痛い。私はあなたの最期を思う。私は私の最期を思う。困ったなぁ。しばらく、痛みは続くだろうな。

12月28日(土)曇り 表現することの恐怖について

今年も終わる。
ずっとSNSから離れていた。この数年、ブログもnoteもXも触れなかった。
「もう、いいや。一抜けた」
誰からも強制されていないのに、そう思ったら、何だかとても気が楽になった。どうしても目に飛び込んでくるあれやこれやに、心は動かされるのだけど、「もう一抜けたし」と思うと、安らいだ。
ちゃんと笑わせたい。ちゃんと楽しませたい。
ちゃんと、ちゃんと、ちゃんと。
自分に対しても、他者に対しても勝手に責任を感じて、ちゃんと、ちゃんとと空回りするのが私の癖だ。ちゃんとしている私は、いろいろ辛くて真面目で面倒臭くて病気になったりもするから、2024年に置いて行くことにした。
来年、面白くなると良いなぁ。いや、面白くするんだ。私自身で。

隅田川

いいなと思ったら応援しよう!

しげのぶ真帆*散文と朗読「まほろふ舎」
記事は、基本的に無料で公開していますが、もしもサポートしていただけるのなら、こんなに嬉しいことはありません。励みになります。今後とも、よろしくお願い致します。