控訴審の前に強制執行が行われることで取り返しのつかない著しい人権侵害が生じていることについて

                        2022.12 伊野房子
はじめに
 私は、母親マツヱ(92)が私に害を与える目的で伊野家の土地建物(以下、家と略)を売却してしまったために、長年暮らしてきた自宅を強制的に退去させられる事態に陥っている。
 なぜなら、常軌を逸した行動をしようとする老人マツヱに取り付き、その財産を手に入れようと企む悪徳業者(祝不動産)が執拗に私を攻撃し、私を亡き者にしようとしているからである。
 大袈裟な物言いのようだが、これは、まさに今、現実に起きている紛れもない事実である。
 
 祝不動産は、マツヱの家族親族に対する敵意を煽り、甘言と洗脳で篭絡した後、マツヱ名義になっていた家を安価で売却させた。
その後、祝不動産は、家に住んでいる私に対し、家からの退去を求めて建物明渡請求訴訟を起こした。
 実のところ当初は、私も私の代理人弁護士も、こんな特殊詐欺まがいの『ビジネス』が認められるわけはないと思っていた。
 ところが、札幌地裁のS海裁判官は、こちらが求めたマツヱに対する証人喚問を行わず、また、家の売買契約の成立を調べることもせず、更には、双方提出の準備書面を精読することもなく、裁判所における2回の弁論だけで結審し拙速に判決を出してしまったのだ。
 その判決は、祝不動産の主張を全面的に認めるものであり、更には、控訴審の前に強制執行が可能となる(仮執行免脱宣言なし)という、あり得ないものであった。
 
 全面勝訴の判決に意を強くした祝不動産は、すぐに強制執行の申立を札幌地裁に行い、地裁民事第4部のK村裁判官は、それを事務的に処理し認めたため、12月2日、私の郵貯銀行口座から「差押」として約53万円が引き落とされてしまった。
 さらに、12月9日には家からの退去を求める強制執行告知書が届き、年明け1月5日に、私は家から強制的に引きずり出される予定となっている。北海道札幌のこの時期にライフラインである住居を失えば、凍死するしかないではないか。
 私は、これまでの人生で、借金を踏み倒したこともなければ契約不履行をしたこともない。
 督促状というものを貰ったこともなければ、延滞金を払ったこともない。今現在、借金もなければローンもない。金のことで人に迷惑をかけたことも問題を起こしたこともない。
 税金もきちんと払っている。投資やギャンブルもしていないし、身の丈以上の贅沢もしてこなかった。
 NHKの受信料も払っている。町内会費も払っている。ゴミ出しルールを破ったこともなければ、社会ルールから逸脱したこともない。
 選挙にもちゃんと行く。もちろん前科もないし、ブラックリストにも載っていないだろう。車の免許は、ずっとゴールドだ。
 ここ何十年も歯医者以外の病院にかかったこともないから、健康保険も、ほとんど使ってない。もちろん福祉のお世話にもなっていない。
 
 ごく普通に、善良な市民、国民として生活してきた私が、ある日突然、裁判所から不法行為をしている罪人だと認定されたのだ。
 
 そして、既に財産は奪われ、年明け1月5日には、ライフラインを奪われる。凍死せよとの命令だ。
 
 いったい私が何をしたというのか。なぜ、刑事事件よりも酷い国による人権侵害が行われるのか。ここは、北朝鮮なのか。
 私は、政治活動もしていないし、国に楯突いたこともないのに、なぜ、こんな理不尽な目に遭わなければならないのだ。
 
 この強制執行は、憲法第11条はもちろん、13、22、25、29、31、32、35条にも違反しているのではないか。
 刑事被告人は守られるのに、民事被告人の権利は1ミリも認められないという酷いことが起きているのは、法の不備、司法の不作為が原因ではないのか。
 
 私は、まだ生きていたい。やりたいこともある。最後まで諦めたくはない。
そのためにも、私の主張をここに記し、精一杯の抵抗を試みたいと思う。
 
1 マツヱには家を売る合理的理由が一切ないことについて
 マツヱが家を売った理由として挙げているのは次の6点
(音声データより)
 ①呼んでもいないのに勝手に家に入ってきたから
 ②威張り腐って、いつも怒鳴るから
 ③房子のせいで実弟郁治は頭がおかしくなり、皆(E市の姪夫婦のこと)も
おかしくなったから
 ④勝手に訴えて、ケンカ売ってきたから
 ⑤精神的におかしいから
 ⑥警察に訴えたから
 
 この6点全てが家を売る合理的理由とは言えないが、あえて一つずつ反論しておく。
 ①について
 私は父の生前から実家に戻るよう両親に乞われていた。マツヱからも再三再四、戻るよう求められていた。マツヱの日記には、なかなか実家に顔を出さない、来てもすぐ帰ってしまう等、実家に来ない私に対する慨嘆の言葉が繰り返し綴られている。
従って、「呼んでもいない」は、マツヱの虚妄である。
 
 ②について
 私のどのような言動に対し「威張り腐って」いると感じたかについての具体的言及はないが、2018.4.25に、マツヱの実弟に対する心無い言動や嘘について私が咎めたこと、意見したことを指していると推察できる。
 音声データでは「何かっていうと人を怒鳴ってさ」と語っている。いつも折に触れて房子に怒鳴られているという意味であるが、同じ音声データの中で「家にいる時から口きかなかった」「たまに鉢合わせしたけど、なるべく会わないようにしてた」「一言も文句だとか言ってない」と語っている。
 つまり、私に怒鳴られる機会はないということであり、マツヱの言には矛盾がある。従って、これもマツヱの虚妄である。
 
 ③について
 祝不動産側準備書面2の第4の1に「茂原郁治は、マツヱと同居時から認知機能に問題があり」という記述があり、マツヱの言とは矛盾している。
 また、2017年から郁治氏の病気の介護をしていたのは私であり、郁治氏の入院・療養歴を調べれば明らかである。
 下記の図説は、私が郁治氏の療養のため作成したものである。この図説は、2018年、郁治氏の2度目の入院時、泌尿器科病院の担当看護師にも渡してある。

 従って、房子のせいで郁治の頭がおかしくなったというのはマツヱの完全なる虚妄である。
 E 市の茂原明子、高志夫妻は、マツヱに騙されていたことを知ってからは、マツヱと距離を置き、郁治氏の保護に向け動いていた。
 マツヱからの電話に出ない茂原夫妻に逆上したマツヱが「詐欺罪で訴えてやる!」と、夫妻を脅す音声データもある。
 つまり、マツヱは、自分の思い通りにならなくなった姪夫妻が私のせいでおかしくなったと言っているのであり、これもマツヱの虚妄である。
 
 ④について
 この言の前後の文脈からすると、令3年10月27日にマツヱが受取った私の代理人弁護士からの通知書のことを指していると思われる。遺産分割協議を促す通知書が弁護士から届いたことについて、ケンカを売られたと捉え、また、訴えられたと誤認識している。
 
 ⑤について
 私には、精神疾患の病歴は一切ない。精神科への通院歴もない。マツヱの完全なる虚妄である。
 しかしながら、マツヱが本当に房子は精神病だと思っているのならば、病んでいる娘が居住している家を売るという行為は、未必の故意による傷害罪が成立するのではないかと考える。
 
 ⑥について
 本年6月30日、郁治叔父がマツヱから受けた被害について、北警察署へ相談に行ったことを指している。この後、7月25日にマツヱは北署に呼ばれ事情聴取を受けている。
 マツヱが家を売ったのは、3月25日であり、警察云々は、家を売った理由とは無関係である。
 
 以上のように、マツヱには家を売却する合理的理由は一切ない。それどころか、精神的に病んでいる娘が家を追われれば困るだろうということを予見し、他に住むところを探しても「あんな状態だったら誰も貸してくれない」だろうということも予見した上で、家を売るという行為に至っている。
 つまり、マツヱが娘に害を及ぼす目的で家を売却したのは、マツヱの言からも明らかであり、この行為は違法であると言えるのではないか。
 
 
2 祝不動産の『ビジネス』の違法性について
 令3年9月11日、私は、祝不動産澤部祝人と次のようなメールのやり取りをしている。

●私⇒「お疲れ様です。以前もお伝えしましたが、マツヱの言っていることは、ほとんどが自分本位の虚言ですので、どうぞご配慮お願いします。虚言の内容、仏壇譲渡についても、私と伊野家の弟とで連絡を取り合っていますので、ご承知おきください」
●澤部⇒「お世話になっております。ご無沙汰しておりました。メール気付きませんでした。💦今日は、北区の顧客訪問でお伺いしておりました! 特に込み入った話ではありませんでした。前にもお伝えしましたが、私は不動産のお話はお応えしますが、ご家庭の事情については関与しませんので宜しくお願いいたします」
●私⇒「ありがとうございます。引き続き無関与でお願いします。ただし、この家の売買の話が出てきた時は、御面倒でも一報いただきたいと存じます」
●澤部⇒「承知しました!」

 しかし、この二日後(令3年9月13日)マツヱは、茂原明子夫妻に対し、「なぜ逃げ回る(電話に出ない)のか。本職の人(澤部のこと)に頼んだ。あんた方は、詐欺罪に当たるらしいので詐欺罪で訴える。覚悟しておけ!」という脅迫電話をしている。(音声データあり)
 つまり、この令3年9月11日、マツヱは、電話に出ない茂原夫妻のことを澤部に相談し、そこでの話を基に明子夫妻を脅したのではないかと思われる。
 従って、澤部は、家庭の事情には関与しないと言いながら、マツヱの明子夫妻への敵愾心を煽ったことが十分に疑われるのである。
 
 そもそも私が澤部と初めて会った令3年4月15日、私と澤部は電話でやり取りをしている。そして、マツヱの虚言や遺産分割が行われていないことを私は澤部に伝えたのだ。その時、遺産分割については、管轄外なので関与しないと澤部は、はっきり言ったのだ。
 
 しかし、令3年10月21日、マツヱのもとを澤部が訪れていたのだが、澤部からの連絡がなかったため、私は次のようにメールした。

●私⇒「お疲れ様です。いつも愚母の与太話にお付き合いくださり御苦労様です。茂原の親戚に報告する必要があるものですから、今日マツヱが貴方に言っていたことの内容を教えていただけると助かります。どうか宜しくお願いいたします」
 すると、澤部から驚くような内容の返信があった。
●澤部⇒「お世話になっております。本日は、不動産売却に向けての全体概要についてお話させて頂きましたが、弊社も不動産会社ですので、お客様との詳細内容等を弊社からお伝えする事は個人情報の観点からお伝えすることは出来ません。すみません」

 二世帯住宅とは言え、一つ屋根の下に住んでいる母親と娘の間の個人情報とは何なのか?
 常識では考えられないような理由で秘匿しながら家の売却話を進めるのは、娘に対する敵対行為であると言わざるを得ない。
 
 以上のことから、マツヱによる、私に害を与えることを目的とした家の売却行為に祝不動産社長澤部祝人が加担していることは明らかである。
 従って、この家の売買行為は、専ら私に害を与えるために行われたと解するのが相当であり、これは民法第90条による公序良俗に反した違法な行為であるため無効であると言える。
 
 また、澤部による一連の動きは、家族間の問題に関与し、その対立を煽っているのも明らかであり、祝不動産の『ビジネス』の手法は、道義的にも許されるものではないと考える。
 
 
3 現在、被告である私への著しい権利の侵害が生じていることについて
 当事件は、単なる建物明渡請求事件として処理され、私は一度も裁判所へ行くこともないまま、私にとって著しい権利の侵害がなされる判決が出された。これは、仮執行免脱宣言が付されなかったことにより、原告祝不動産の強制執行申立が認められたことに起因している。
 
 判決文の第4結論において「仮執行免脱宣言は相当ではないから付さない」とされているが、相当でない理由はどこにも述べられていない。
 また、祝不動産の主張の中にも厳冬期間に被告の人権を著しく侵害する可能性のある強制執行を急がなければならない事由は見当たらない。
 
 本件建物をマツヱが売却した理由は、既述の通り、私に害を生じさせることが目的であり、また、祝不動産の行為も被告に対し敵対的に行われてきたことを勘案すると、祝不動産が強制執行を急ぐのは、私へ害を与えることが目的なのではないかと疑わざるを得ない。
 
 私は、一度も裁判所へ赴くこともなく、また、弁明の機会を与えられることもなく、第1審の判決のみで既に口座の差押を執行されている。
 強制執行で引き出された金額は、被告が現在唯一の収入源としている年金額からすると、5か月分に相当するものであり、被告にとっては死活をも左右する額である。
 
 この引き出された金員は、被告が祝不動産と契約し決めたものでも借り入れたものでもなく、専ら祝不動産が主張する損害額であり、被告の責が存するものではない。
 また、この差押は、私への債権差押命令書が届く前に行われており、手続き上不当ではないかと考える。
 
 また、家の明渡しに係る強制執行も令5年1月5日に行われることが私へ告知されている。その告知書を被告に届ける際、札幌地裁の執行官は、家の玄関ドアを激しく叩いたり、鍵を何度も回し叩いたりするなど、私へ相当の恐怖を生じさせるような行為をしている。(証拠動画あり)
 
 先だって私の5か月分の生活費に相当する金員を差押え、その後、寒さの厳しい1月5日に家からの退去を強制執行することは、あまりにも私の人権を無視した行為ではないかと考える。
 刑事事件の被告人よりも著しい人権侵害が、民事事件の被告になされようとしているのは、異常であり不当なことではないかと強く思う。
 
 原告がこれほどまでに強制執行を急ぐこと、また、これまでの澤部祝人の行為等を勘案すると、1月5日に被告を退去させた後、直ちに第三者へ本物件を売却してしまうことが予見できる。
 契約書の特約には、被告退去後、本物件を解体し、更地にすると記されているが、それならば、さほど被告の退去を急ぐ必要もないのではないか。
 また、以前、茂原郁治氏のアパートを売買した際、建物解体料金を計上していたにもかかわらず未だ解体されていないという事実もあり、澤部の『ビジネス』には大いなる疑義が生じる。

 本物件の売買契約が成立しているか否かは、マツヱが92歳の高齢者であり、また、売買のことは全て祝不動産に任せている、お金も全部祝不動産に預けてあるというマツヱの言を勘案すると、売却代金の口座への入金実跡を調査しないと分からないのではないかと考える。
 
 本物件の売買が被告に害を与える目的で為されたこと、売買自体が成立していない可能性がある以上、控訴審の前に強制執行が行われることは、被告にとって取り返しのつかない著しい権利の侵害を生じさせることになるから絶対にあってはならないと強く思う。
 
 
4 祝不動産がマツヱを欺き財産を搾取した可能性
 祝不動産は、マツヱの常軌を逸した行動を知りながら、マツヱを老人施設に囲い込み、被告との関係を殊更悪化させることで、安価に家を手に入れた。
 また、祝不動産は、マツヱに誤情報や限定的な情報を与えることで、澤部を真面目で良い人と思わせている。
 マツヱの言によると、今現在、マツヱの財産は澤部が全てを管理しており、家の売却代金をマツヱは実際には目にしていないようでもある。
 
 老人施設を9か月の間に3回も転居していること、施設の保証人にマツヱの直系で唯一の子である私がなっていないこと、この間の全ての行為が私に秘匿して行われていること等を勘案すると、祝不動産は老人から財産を騙し取る特殊詐欺を行っていることも十分考えられる。
 
 以上のことから、本事件は、単なる建物明渡請求事件ではなく、刑事事件に発展する可能性もある慎重に扱われるべき事件であると考える。
 
 強制執行が行われることにより、私には取り返しのつかない著しい人権侵害が生じ、また、祝不動産による不法行為が見逃される可能性も生じる。
 強制執行は絶対に行われるべきでないと強く主張したい。

 ※追記
 ここに書かれたことを基に、私の代理人弁護士は、控訴理由書を札幌高裁に提出した。
 その理由書に対する祝不動産側の答弁書は、ほとんどが「争う」とだけ記された何ら抗弁が為されていないものであった。
 しかし、札幌高裁は、令5年3月14日、私に対し控訴棄却になる旨を言い渡したのである。
 

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