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さよならのつづき

良質なドラマをコンスタントに提供してくれているNetflix。今月は、2022年末の「First Love 初恋」に続く北海道ロケ作品「さよならのつづき」をリリース。恋愛ものを積極的には観ない私だが、道民としてはチェックしておくべきだろう、と考え、結果、全8話を一気見してしまった。あらすじは、予告編でも観て、雰囲気を掴んでいただければと思う。

コーヒー好きの地元民として、物語の設定が嬉しかった。この作品で描かれる風景やコーヒーに関するディティールが、観ていると嬉しくて、作品の本筋とは違うところで一気見したというのが、実際のところ。コーヒーの話は以前にもしたので、今回はコーヒーではなく「山線」について書いておきたい。

北海道は広く、人口が少ない。雪が積もるから除雪作業も大変。車社会になり鉄道利用者が減少し、道内の鉄道路線はみるみる廃線となり、今年に入ってからも1路線が廃線となった。この作品で登場する路線、小樽と長万部(おしゃまんべと読む)をつなぐ通称「山線」も、2030年以降の北海道新幹線開業に伴い、廃線になることが決まっている。私はこの「山線」が好きで、密かに「なんとか存続できないものか」と考えていた。車窓から臨む風景がとにかく美しいのだ。
※TOP画像は倶知安駅を降りて少し歩いたところから撮った羊蹄山麓の風景

山線に乗るなら緑の美しい季節が特にオススメ。でも、紅葉もいいか。

沿線には、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山・ニセコアンヌプリの山々や清流尻別川があり美しい自然を堪能できる。作品では、車窓に迫る木々の緑が印象的だったが、新緑の季節はその緑が本当に凄くて、異次元的な緑のトンネルの中にいるように感じる。

基本的に乗客は2.3人程度。

作品の設定としては、有村架純演じるさえ子が蘭越町から小樽に通い、りんご農家の妻の実家に住む坂口健太郎演じる成瀬は、ニセコ町から小樽に通う。毎朝毎夕、この山線に乗って小樽までを往来する。

小樽から十駅目がニセコ。さらに二駅進んで蘭越となる。所要時間は快速ニセコライナーでも1時間半はゆうにかかる。首都圏で通勤する人の感覚から考えると、常識の範囲内かもしれない。暗闇の地下鉄を乗り継いでの1時間半と季節によって変化する風光明媚な自然の中を移動する1時間半。往復合わせて3時間。これを1年の通勤時間合計にすると、780時間か。それだけでも、山線を使って通勤する暮らしの方がなんだか豊かなものに思えてくる。
作品世界のように、好きな人とこの往復を一緒に過ごせるのなら、ますます幸せで豊かではなかろうか。

昆布温泉には昆布が入っているわけではない

聖地巡礼の旅(ロケ地巡り)が流行って、山線が盛り上がってくれたら嬉しい。ちなみに、この山線の終点、長万部の手前の駅は二股駅。この作品を下世話に捉えると、この山線という舞台設定はハマり過ぎている。

二股はラジウム温泉で有名です

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