ナポリタンに煩悩す。
うちの母が独特な言語表現をするのだが、時に脳裏に張り付いて離れない食べ物を求めることを「煩悩する」と言っている。
確かにただ食べたいという欲だけではなく、明らかに「煩悩している」状態になる時がある。例えばカフェヴェローチェのナポリタンのようにときどき無性に食べたくなるものはある。
そう、カフェヴェローチェのナポリタンは私が50年近く食べてきたナポリタンの中でも一番うまいと言っていい。(当社比)
何が美味しい要素なのか?簡単に言うと甘くないのだ。
ナポリタンの良さはあの甘さにあると思っている方は、私とは気が合わないようなのでリターンしていただくとして、市販のナポリタンに加えられた砂糖の量に辟易していた私としては、ここのナポリタンは「めっちゃ旨い!」と叫びたくなる出来だった。
ちなみに実家の母も甘い料理は得意ではないのだが、彼女のナポリタンはソース味だった。ソースが悪いわけじゃないが、実家の両親は一時期なんにでもソースをかけてソース味にしていたため(おそらく双方の出身地が大阪だったからだと思うが)私がソース味を受け付けない舌になってしまった。
小学二年生位からなんにでもしょうゆをかけていた私にとっては、ソース味の酸味も辛かった。
ちなみに大人になってからはちゃんとソースもしょうゆも使い分けている。※ソースはウスター派です。
話はそれたが、カフェヴェローチェのナポリタンが大好きで、たまに食べたくなる。ソーセージと気持ち程度の野菜と甘くないトマトソースが絶妙なのだ。数種類パスタが選べる時にナポリタンを選択する事が無い私がなぜここのナポリタンに手を出そうとしたのか?――今となっては定かではないが、多分食べたかったパスタが品切れで渋々ナポリタンに変えたのだろうと思う。それが存外に旨かった。というわけだ。
良く嫌いなものに対して
「○○がダメなんて人生損しているよね!」と言われ、むかっ腹が立ったことのある御仁は多いかと思う。私もイラっと来ることはあるから気持ちはわかる。こういうことは自分で気づくからこそいいものであり、他人に強制されて目覚めさせられる類のものではないからだ。
だから私がここのナポリタンの旨さに気付いたのは大いなる偶然からであるが、今後も食わず嫌いだけは避けようと思う。
ともかく甘いパスタが苦手で、ナポリタンを避けてる人は一度は食べてみてほしい。