人間が好き
『僕も好きですね。「人間が好き」という発言自体が、妖怪っぽいですけど(笑)。』
これを読んだ時、こみ上げる笑いと共感にノックアウトされた。
これは、星野源のエッセイ集「働く男」の文庫版に、特別対談として収録された又吉直樹との会話の中で、「人間が好き」と言った星野源に対し、又吉がツッコミを入れたセリフ。
何度読んでも面白いし、その度に「深いな…」と感心してしまう。
「人間が好き」という感覚。
目の前にいる個としての相手というよりも、人間性とか人間全般に対する興味みたいなもの。
そこには、他者と同じように“人間としての自分自身”への客観性と興味も入っている。
人間の持つ、心と体の仕組みを理解したいという欲求。
ずっと、このことを共有できる人の少なさを嘆いていた自分にとって、妖怪視点の笑いは、思いがけず届いたプレゼントのように感じられた。
雲の上の存在のような二人に「それでいい」と背中を押されたような感覚。
いつか自分もそうやって、誰かの背中を押してあげられるような人になりたい。
その想いが原動力となって、様々なことを様々な形で伝えている。
立場や役割に囚われず、自分なりに掴んだ洞察をシェアするために、日々試行錯誤を繰り返している。
「人間が好き」
その可能性も、そのどうしようもなさも含めて、丸ごとまんま愛おしくてたまらない。
うん、確かに、妖怪っぽい。