ぼくは暑い
毎日暑すぎる。こんなことを書くのはうんざりするが、毎日思っていることを書かないのは欺瞞だと思うので書かせてもらうと、毎日暑すぎる。いくら夏だからって、温帯の日本、低地の東京がこんなにも暑いのが正常だとは思えないので、きっと地球の何かがおかしいのだろう。
この前、香川(学科の友人)と一緒にラーメン屋さんへ向かう時、「去年も暑かったが今年は明らかに去年以上に暑い」という話をしたら、香川から気候変動がどうの異常気象がどうのと解説されたが、もちろんぼくは暑さのあまり意識が朦朧としていたので話がまったく頭に入らなかった。ぼくが香川に「……暑くないの?」と聞いたら「は? 暑いに決まってんだろ」とキレ気味で言い返されて一瞬不穏な空気になったが、ぼくは依然として意識が朦朧としていたので「……だよね」としか返すことができず、喧嘩や口論や洒落た会話の応酬にはならなかった。
それにしてもどうして毎日こんなに暑いのだろう。冷房が効いた屋内にいる時は問題ないのだが、屋外にいるととにかく暑い。少し前、バイト先(近所のコンビニ)の先輩に「最近は自転車に乗っているだけで汗をかく」という話をしたら「(ぼくの名字)くんは若いね。おれなんて家のドアを開けて外に出た瞬間に汗が噴き出すもん」と返されたが、それはいくらなんでも誇張しすぎだと思うし、仮に事実だとしたら年齢差は関係がない話だと思う。
気の毒なのは野良猫である。ぼくの近所には野良猫が何匹かいる。JR蒲田駅からぼくの自宅へ向かう途中、3~4日に一匹の割合で見かける。人間や飼い猫は冷房が効いた部屋の中にいられるからまだマシだけど、野良猫は常に外にいるからいつだって暑いはずだ。この災害級の酷暑を逃れる術がない野良猫たちのことを思うと、ぼくは胸が痛くなる。
一方、ぼくの祖母の家で飼われているルル(7歳のメス猫)は冷房が効いた屋根付きの部屋で何不自由なく暮らしているわけだから、この天国と地獄のような境遇の差はいったい何なのかと思う。生まれる場所や環境がちょっと違うだけで、暑さや寒さや飢えや豪雨や爆弾や地雷を心配せずに済むかどうかが左右されてしまう。これっていったい何なのだ。嘆いてはみるもののどうせ自分には解決できっこないと分かっている問題に対するやるせない気持ちを誤魔化すために、ぼくは野良猫の殺処分ゼロに取り組んでいる団体をYahoo!募金で探してVポイントで寄付をする。Vポイントは偽善の役に立つ。
ぼくがいつも「暑い暑い」と言っていることに辟易したからか、由梨(彼女)はぼくに日傘を使うよう強く勧めてくるが、ぼくとしては抵抗があるので使えずにいる(そもそも日傘を買うお金がないという事情もある)。あなたがこのnoteをお読みの2030年や2034年とは違って、2024年の日本では男性の日傘はまだちょっと好奇の目で見られるアイテムなのだ。ぼくは大学で日傘をさしている男子なんて見たことがないぞ。我が地元・大田区蒲田においては尚更だ。第一、ぼくに日傘をしつこく推奨してくる由梨にしたって自分では滅多に日傘をささないじゃないか。矛盾してやがる。
日傘をさす代わりに……と言ってはなんだが、この夏、ぼくは自転車で自宅から蒲田駅前の駐輪場に向かう時に帽子(キャップ)を被るようにしている。中学生の時に被っていた帽子である。近所の塾へ自転車で向かう時、ぼくはなぜかこの帽子を被っていたんだよな。これをいまだに被れるということは、人間の頭のサイズは中学生と大学生とでは変わらないらしい。
帽子を被ると暑さが軽減される気がする。気のせいかもしれないが、3割ぐらいは暑さをシャットアウトできているように感じる。人間は頭皮からも暑さを感じるということなのだろうか。きっとそうなのだろうな。間違いなくそうなのだろうな。ちなみに、2024年の日本では自転車用ヘルメットの着用はまだ努力義務であり、ぼくは自転車用ヘルメットを着用していない(やはりそもそも買うお金がないという事情もある)。
猛暑に苦しむぼくの唯一の楽しみは、近所のスーパーマーケットで買った「アルフォート」を冷蔵庫で冷やしておいて、バイトから帰ってきてから食べることだ。
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アルフォートはただでさえ美味しいが、冷やしアルフォートは常温アルフォートの6~7倍は美味しい。気を抜くと一気に5枚でも10枚でも食べれてしまう。それはさすがにもったいないし太りそうだし体にもよくなさそうなので、ぼくは「食べるのは1日1枚まで」と強く決意してから冷やしアルフォートに手をつけることにしている。もちろん、この強い決意はアルフォートを口に入れた瞬間に崩れ去り、ぼくは結局1日に2~3枚はアルフォートを食すことになるわけであるが。
暑い日が続く。いまこのnoteをお読みのひとの中にも、連日の暑さに疲れ切っているひとがいると思う。そんなあなたにぼくは言いたい。あなたは決して一人じゃない。日本中のたくさんのひとがあなたと同じ暑さに悩み、苦しみ、しんどい思いをしている。ぼくもそのうちの一人だ。だから、どうかヤケを起こさないでほしい。自分の体力と免疫力を信じて一日を乗り切ってほしい。昔からよく「秋分の日前がいちばん暑い」と言うではないか。この苦しみもいつかは終わる。明けない夏はないのだ。
なお、気象庁によると今年の夏は「記録的な暑さ」が長引くそうです。