【ロゴデザイン解説】実績をもとに紐解く、コーポレートロゴのつくりかた
こんにちは、シフトブレイン広報の坂です。
シフトブレインは、ブランディングとデジタル領域のクリエイティブを強みとする会社です。弊社の実績紹介ではよくWebサイトを中心にご覧になっていただきますが、ブランディングの一貫でサイトとあわせて、ロゴを制作していることも多々あります。そこで今回は、シフトブレインの“ロゴデザイン”にスポットを当ててご紹介したいと思います。
最近の実績から5つのプロジェクトを選び、担当デザイナーにロゴデザインやロゴ制作時の考え方を聞きました。
クライアントからコメントをいただいているプロジェクトもありますので、あわせてお楽しみください!
●コーポレートロゴ
LayerX
株式会社LayerX
「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げる株式会社LayerXのコーポレートブランドリニューアル。本プロジェクトは、コンセプト策定とコピーライティングを担当された株式会社パークとの協業で、シフトブレインではロゴ、ロゴアニメーション、コーポレートサイト、各種ツールのデザインおよび制作を担当しました。
■このロゴを制作したのは...
Q. ロゴ制作の経緯を教えてください。
LayerXさんが2023年8月に創業5周年の節目を迎えるタイミングで行われたブランドリニューアルで、ロゴのリニューアルも行われました。僕は本プロジェクトのクリエイティブディレクターである鎌田のもと、アートディレクションとデザインの領域を担当しました。
Q. ロゴを構成する要素があれば教えてください。
LayerXさんはこのコーポレートブランドリニューアルで、改めてこの先の未来に「LayerXはどうあるべきか」に向き合われました。ロゴ制作においては、ミッションの「すべての経済活動を、デジタル化する。」をもとに、同社を起点にいろいろな情報や人が集合し、目指すべき“より良い社会”へとトランスフォームしていく様子を表現することをコンセプトに据え、ビジュアル化を行いました。
Q. デザインする上でのポイントや工夫した点を教えてください。
ロゴタイプは堂々とした安定感のあるフォルムの書体 TT Firs Neueをベースに、ディティールに柔らかさを加え、親しみやすい印象が感じられるように仕上げました。
ロゴマークは奥行きを出すためにアイソメトリックなものを作りました。ですが、いざ作ってみるといまいち奥行きが感じられず頭が重い印象もあったので、より視覚的な奥行きを出すために、あえて上部2つのパネルを90〜95%ほど小さくして視覚調整をしています。また、マーク全体の比率検証や角の削り具合などの検証も含め、繰り返し微調整を行いました。
Q. ロゴ完成後、ロゴの展開やその他での活用があれば教えてください。
ロゴとあわせて、ロゴアニメーションも制作しました。パネルがいろいろな角度から集まってロゴマークを形作る動きが加わることで、ロゴのコンセプトをより具体的に表現できたのではと思います。
また、イベント用のノベルティデザインとイベント会場で流れるアニメーション動画も制作しました。ノベルティデザインの制作は、LayerXさんとの協業になります。
Q. 最後に、ロゴ制作を振り返って一言お願いします!
ロゴ発表後に公開したコーポレートサイトでは、ロゴと同様のコンセプトを踏襲しつつも、同社の誠実さや信頼性など、人とのつながりを大切にするオープンな社風を伝えたいと考え、その様子が感じられる写真を随所に散りばめました。LayerXさん、パークさん、シフトブレインの3社でタッグを組み、同社の一貫した佇まいを表したコーポレートサイトもあわせてご覧ください!
■LayerXさまからいただいたコメント
今回、LayerXのさらなる成長を支えるブランド基盤として、新たなVI(ビジュアル・アイデンティティ)の構築において、パートナーとしてお手伝いいただきました。
新たに策定したVIは、単なるロゴデザインにとどまらず、広報用のクリエイティブやオフィス空間デザインなど、多岐にわたるタッチポイントへ展開され、すでにブランドアイデンティティとして強く浸透し始めています。
今後も、このVIがLayerXの長期的なブランド戦略を支える強固な基盤となるよう、引き続きブランディングの強化を図ってまいります。
Morght
株式会社Morght
最高品質の睡眠体験を手に届く価格でお届けする、こだわりの寝具ブランド『NELL』で知られる株式会社Morght(モート)。シフトブレインでは、同社が第二創業期を迎えるにあたり、CIや各種ツール類を含むトータルブランディングを担当しました。
■このロゴを制作したのは...
Q. ロゴ制作の経緯を教えてください。
ご依頼をいただいた当初はコーポレートサイト自体がまだなく、コーポレートサイトの制作が急務でした。同時にMVV策定のご要望もいただいていたため、そのヒアリングを重ねていくうちに「ロゴもMVVに沿ったものに変えた方がいいのではないか?」と考え、ロゴリニューアルのご提案をさせていただきました。
Q. ロゴを構成する要素があれば教えてください。
月と太陽を表しているモチーフは、旧ロゴのマークを継承しています。もともとのマークがMorghtさんの“らしさ”を感じるとても良いアイデアだったため、形や色の調整を行いブラッシュアップしました。一方で、ロゴタイプは作字から行い、策定したMVVに沿った形にリファインしました。
Q. デザインする上でのポイントや工夫した点を教えてください。
タイプフェイスは正円をベースに作字を行いましたが、正円のままでは最終的に視覚的な違和感を感じる部分があったので、mm単位の視覚補正をかけています。一見しただけではわからないような細部にまでこだわりました。
Q. ロゴ完成後、ロゴの展開やその他での活用があれば教えてください。
コーポレートサイトではアクセスする時間によって、ページフッターにあるロゴマークが変化します。ファビコンも同様に変化するので、時間によるサイトの雰囲気を楽しんでいただけたらと思います。
また、ロゴのリニューアルにあわせて、名刺、ステッカー、ネックストラップなどのコミュニケーションツール全般も一新しました。
Q. 最後に、ロゴ制作を振り返って一言お願いします!
今回のロゴ制作を含めるブランディングは、すでにクライアントがお持ちだった良い資産を活かし、それらをより“Morghtらしく”昇華させることを心がけました。一般的なリブランディングでは「何かを大きく変えること」という印象が強いと思いますが、今回のようなマイナーアップデートによるリブランディングも世の中に沢山あります。Morghtさんとのプロジェクトは、その中の良い一例になったのではと感じています。
■Morghtさまからいただいたコメント
今回、創業当時から使用していたコーポレートロゴをアップデートいただきました。ロジカルに、細部までこだわり尽くされたロゴは、より柔らかく、さらに力強い当社のシンボルとして生まれ変わりました。
また、Morghtという社名の由来である"Morning to Night"=「朝起きてから、夜寝るまでの時間を豊かにしたい」という思いを汲み取り、ロゴに「時間の概念」を持たせるアイデアを考案いただきました。制作後に移転した新オフィスではそのアイデアを会議室の名称としても採用させていただき、時間にあわせて表情を変えるMorghtのロゴパターンが、それぞれの部屋のサインとなっています。
さまざまな形でメンバーの日常に溶け込んでいるMorghtロゴが、私たちの結びつきを強めてくれていることを日々実感しています。
CARTA HOLDINGS
株式会社CARTA HOLDINGS
2019年1月に株式会社VOYAGE GROUPと株式会社サイバー・コミュニケーションズの経営統合により発足した株式会社CARTA HOLDINGS。同社のコーポレートブランドのリニューアルに伴い、コーポレートロゴとアニメーションの制作をしました。
■このロゴを制作したのは...
Q. ロゴ制作の経緯を教えてください。
クライアントは経営統合により新たに発足したCARTA HOLDINGSさん。同社発足後、今後の更なる挑戦に向けてミッションとバリューが策定されましたが、ビジュアル面からも同社の姿勢や価値観を伝えていきたいという想いから、コーポレートブランドのリニューアルが行われることになりました。
本プロジェクトのクリエイティブディレクター兼アートディレクターの鎌田のもと、ロゴとロゴアニメーションの制作を自分と道合で分担しています。(石塚)
Q. ロゴを構成する要素があれば教えてください。
クライアントは「自社を介在させることによって、さまざまな企業を進化させていく土壌のような存在でありたい」という想いをお持ちでした。その想いをもとに、ロゴタイプはプラットフォームとなる土壌としての力強さと、業界をリードしていくBOLDな印象を持つオーソドックスな書体Gotham(ゴッサム)を採用しました。ロゴマークは、社名の頭文字である「C」と「進化を促すためのプラットフォームとなる」という想いをビジュアル化し、その2つが連なり重なり合うことで螺旋状のDNAとなるようデザインとなっています。(石塚)
Q. デザインする上でのポイントや工夫した点を教えてください。
全体的に「土壌のような存在」であることを意識し、どっしりとしたデザインになるよう心がけました。
また、ロゴマーク、ロゴタイプともに見た目や形状の検証を繰り返し行っています。特にロゴマークに関しては、白銀比(※)をベースにシルエットを調整し、さまざまなパターンを検証しました。ロゴマークの重心がある左下から右上へ、抜け感を与える視線誘導も行い、進化していく様も表現しています。(石塚)
Q. ロゴ完成後、ロゴの展開やその他での活用があれば教えてください。
ロゴをもとに、ロゴアニメーションも制作しました。アニメーションでは、DNAの螺旋からロゴマークに繋がる動きで、進化を連想させています。また、ロゴマークの後ろからロゴタイプが出てくる動きにも意図があり、同社が企業や社会の発展のための「裏方的存在」であるという姿勢を表したものです。(道合)
Q. 最後に、ロゴ制作を振り返って一言お願いします!
これまでWebサイト上のモーションを制作することはあったものの、ロゴアニメーションを制作したのは初めてでした。提案時には動きをイメージしていただきやすいよう資料制作も工夫したので、個人的にとても思い入れのあるプロジェクトとなりました!(道合)
●番外編:その他ロゴ
ここまでコーポレートロゴをご紹介してきましたが、実はそれ以外のロゴも制作しています。ここからは、番外編としてその他のロゴもご紹介します!
UTORITO サービスロゴ
株式会社Too
株式会社Tooが運営するMacのLCMサービス『UTORITO(ユトリト)』のブランディング。『UTORITO』は、MacBookなど仕事で利用するMacデバイスの調達から返却までの業務を提供するサービスです。シフトブレインでは、『UTORITO』のネーミング、ロゴ、キャッチコピー、デザインガイドラインの制作を担当しました。
■このロゴを制作したのは...
Q. ロゴ制作の経緯を教えてください。
同社は35年以上にわたってAppleデバイスを取り扱っており、法人向けモバイルMac用ライフサイクルマネジメントサービスの「あんしんLCMサービス」を提供してきました。このサービスを同社の価値としてより強く伝えていくとともに、サービス内容も明確に訴求していきたい、というご要望のもと、ネーミングのリニューアルやロゴ制作を行いました。
Q. ロゴ完成後、ロゴの展開やその他での活用があれば教えてください。
事業のミッション「デバイスで、働くに、成長と喜びを。」と、コピーライター兼プランナーの浦川が新しく策定した事業コンセプト「はたらくを、らくに。」をもとに制作を進めました。
特にロゴマークでは、Appleデバイスの管理でお悩みのIT管理部門の方々をサポートし、伴走・支援することで、顧客が「本当に集中すべき業務に向き合える様子」を表現しています。
Q. デザインする上でのポイントや工夫した点を教えてください。
当初のロゴ制作へのご要望は「ひとめ見るだけで、サービスの内容を理解できるもの」でした。一方で、サービス名を策定するためのヒアリングやワークショップを重ねていくうちに、同社のサービスにかける想いの強さを知り、機能面もさることながら情緒面での訴求も必要性が高いのではと考えました。最終的にサービス名は情緒面を重視した『UTORITO』となりましたが、ロゴ制作も同時進行だったため、機能面でも情緒面でも対応できるよう、合計で10案ほどご提案させていただいています。
その中から採用されたロゴマークは、左にMacBook、右にはユーザーがコア業務に集中している様子を表現したモチーフとなっています。また、マーク全体には『UTORITO』の頭文字である「U」と、クライアントのサービスへの想いを表現する「ハート」も忍ばせました。
Q. ロゴ完成後、ロゴの展開やその他での活用があれば教えてください。
今回の弊社へのご依頼はサービスのネーミングからロゴ制作までが担当領域だったため、その他のコミュニケーションツールへの展開は行いませんでした。ロゴ納品後にWebサイトや紙ものを制作することも想定し、その際に参考にできるように配色パターンなどをまとめたデザインガイドラインを制作しました。
▼ガイドラインをもとに制作されたWebサイト
(※Webはシフトブレインの制作ではありません)
Q. 最後に、ロゴ制作を振り返って一言お願いします!
クライアントにとって一番良いリニューアルの方向性を探るため、会話を大切にしながら何度も検討、議論を重ねたプロジェクトでした。その甲斐もあり、Tooさんとはチーム一丸となってリニューアルに取り組むことができました。
■tooさまからいただいたコメント
弊社は創業100年を超える企業で、その中でも『UTORITO』は新サービスとして立ち上がり、これから拡大していくフェーズでした。その活動の第一歩として、サービスをブランディングするためにシフトブレイン様に依頼をさせていただきました。
この温かみのあるデザインは「常に煩雑な業務に追われて、コア業務に集中できない情シス担当者の方へ、サービスを通じてゆとりを提供したい」という私たちの思いを言語化していただき、デザインに落とし込んでもらったものになります。社風やサービスに込める思いを汲み取っていただき、大変満足しています。今回のプロジェクトを進める中で、改めて『UTORITO』について見つめ直し、社内メンバーと目線合わせができたことも、とても価値のあることだったと思います。
45R『デニム祭』ロゴ
45rpm studio株式会社
日本のアパレルブランド 45Rが、この夏一新したデニムを引っ提げて全国各地で『デニム祭』を開催しています。シフトブレインは、この祭の熱量を高めるためのWebサイトや瓦版を制作しました。
■このロゴを制作したのは...
Q. ロゴ制作の経緯を教えてください。
最近の45Rさんの案件は、クリエイティブディレクター兼アートディレクターの藤吉と2人体制で進めることが多く、今回の『デニム祭』も企画時から藤吉が参加していました。企画当初からWebと印刷物を制作することは決まっていて、その際に藤吉から「45Rらしさ」と「お祭り感」のあるロゴが必要だと依頼され、制作を開始しました。
Q. ロゴを構成する要素があれば教えてください。
『デニム祭』なので、「和」と「デニム」を中心に考えました。まずは「和」の要素として、お祭りで着る法被の背中に書かれている筆文字をイメージしています。ロゴ制作と並行してデザインを進めていたWebでは、『デニム祭』のロゴの上にいろいろな形の家紋のようなマークが重なりますが、その家紋も法被のイメージからきています。
また、ロゴ自体の色にもデニム生地に似せたパターン柄を使用しました。藍染めのグラデーションが加わることで、より『デニム祭』らしい雰囲気を醸し出せたのではないかと思います。
Q. デザインする上で、工夫した点を教えてください。
制作前に45Rらしさを探るためのリファレンスを集め、その中でもインパクトがありチャレンジングなロゴになるようアイデアを深めていきました。太い筆文字のロゴを作りたかったので、イメージしていた文字をIllustratorのパスで一から作字しています。片仮名の「デニム」の3文字は1つの漢字に見えるように工夫しました。また、家紋風マークもロゴの漢字と同じ比率で作っています。
企画全体のデザインに浮世絵が加わることは決まっていたので、一見全く別物である「デニム」「祭」「浮世絵」を一つの世界観に落とし込む必要もありました。他の要素と組み合わせた時にも違和感がないロゴであるべきだと考えていたので、その辺りも意識してデザインに取り組みました。
Q. ロゴ完成後、ロゴの展開やその他での活用があれば教えてください。
Webサイト以外に、瓦版やタブロイド紙などの印刷物にも展開しました。その他では、店舗でのイベントにも使用されているようです。
Q. 最後に、ロゴ制作を振り返って一言お願いします!
自分がロゴの提案をするときは、チャレンジングなロゴも提案することが多いです。今回のようなロゴも「いつか筆文字系のロゴを作りたい!」と思っていたところ、『デニム祭』の企画のタイミングにちょうど重なりました。このロゴは終始楽しく作りましたし、いろいろな場所やものに展開がされる企画だったので、納品した後も楽しめました!
個人的にはデニム祭のロゴと浮世絵を描いていただいた石川真澄さんの犬扇子イラストがセットになったロゴパターンが気に入っています。
■45Rさまからいただいたコメント
私たちがかかげる「日本のブランド」「日本のデニム」という想いがしっかりと表れている一方、楽しげな「祭らしさ」も出ているロゴだと思います。
店舗でのイベント時にも、ディスプレイやサイネージでひと際目を引いています。石川さんに描いていただいた浮世絵のイラストにも欠かせない『デニム祭』のロゴになりました。
おわりに
今回はシフトブレインで近年制作した5点のロゴをご紹介しました!いかがでしたでしょうか?
本記事でご紹介したプロジェクトの他にも、ご紹介できなかったロゴ制作のプロジェクトが沢山ありますので、ぜひシフトブレインのコーポレートサイトもご覧ください!
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