てのひらに乗る世界
お立ち寄り頂きありがとうございます。
色々あって今は退いていますが、その昔ハンドメイド作品の販売をしていたことがあります。
その関係もあって、あと、ひとの手で生み出されたぬくもりに惹かれるのもあって、手作りの作品に触れることが好きです。
とりわけ憧れるのが、ミニチュアの世界です。樹脂粘土などで作られた、緻密で精巧な世界に、とても心を奪われます。
一通り手を出してみないと気が済まないところもあるので、自分でも挑戦したことがあります。樹脂粘土で作るフェイクスイーツに取り組みました。結果は散々で、ああ、私って粘土細工には向いていないんだなぁ、と落ち込んだものでした。細かい作業は大好きなのですが、とにかく粘土はダメでした。センスというものが微塵もありませんでした。謙遜でなく、心から痛感したのでした。
当時は個人ブログがとても流行していて、足繁く作家さんのブログを訪れて交流もしていたものですが、最近ではインスタグラムでこっそりと、素敵な作品に触れれる時間を楽しんでいます。てのひらどころか、指先に乗るほどのリアルな作品を生み出す作家さんには、尊敬の念しかありません。
特に見るのが好きなのがミニチュアのパンなのですが、とてもリアルで、載っている具材が本当に小さくて、それでもしっかり精巧で、まるで魔法のようなのです。もっと見たい、もっと見たいとスクロールしている内に、あっという間に時間が溶けていきます。
日本人は、小さきものを愛する国民性を持っている、というようなことを聞いたりします(勿論みんながみんなというわけではないのでしょうけど)。
カプセルトイなんかも、小さいのにとてもクオリティが高いことで人気だったりしますね。……あれも、きりがないので自制していますが、ふと見てみるとどうしてもガチャガチャしたいラインナップが揃っていたりして、コレクター心がくすぐられ続けます。
小さなものを愛でることは、一息つくことに似ているのかもしれない、と考えたりします。
日々の生活は忙しくて、気が付けば激流に飲み込まれていて、一日が終わるころには疲れ果ててしまって。そんな日々の中にちょっとした幸せがあることに気付けたら、少し豊かな気持ちになれるのかもしれません。それが私にとっては、ミニチュアの世界に触れることなのだと思います。
その小さなもの、ちょっとした幸せは何でも良くて、例えばお花だったり、空の微かな変化だったり、感じる風の肌触りだったり、いつもよりちょっと特別なスイーツだったり、きっと人の数だけ色々なものがあるのでしょう。
世の中にはたくさんの人がいて、その人の数だけ、ちょっとした幸せをもたらすものがある。そんなことを空想して、今、ああ、まだまだ世界には、たくさんの幸せがあるのだな、と少し嬉しくなりました。基本的にネガティブ人間なので、日々マイナス思考をしているもので……。
そんなことに気付けたのもまた、小さな幸せなのでしょう。
……とりとめがなくなってしまいましたが、小さな世界のお話でした。
お読み頂き、どうもありがとうございました。
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