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自然派コスメができるまで(5)シュッと魔法のひと吹き、透明Shield展開!みたいな

シュッと魔法のひと吹き、透明なShieldでまもるような香りを 

ブランド名は正式に Shield72°に決定し、五角形のロゴマークも完成しました。商品フェイスのデザイン・パターンをいくつか作りこみしながら、商品カテゴリーを考え、Shield72°というブランド名にふさわしい、「魔法のひと吹き」「魔法のひと塗り」を叶えられるような、化粧水と乳液のアロマブレンドにとりかかります。

アロマの調香は長考をかさね(うまいこと言ったw)何種類かのブレンド比率でサンプルを作りました。その数100数種類。精油は1滴が約0.05mlなので、ローズマリーとの組み合わせよい精油を選び、
トップノート(一番初めに香る)
ミドルノート(次にほんわり香る)
ベースノート(通奏低音のように根幹をなす香り)
を決めて、0.05ml単位で刻む配合サンプルたちの完成です。

ただ匂いを感知する嗅覚は、とてもつかれやすい感覚機能なので、時間をおかずにあれこれ嗅いでいると、微妙な香りの変化に気がつかなくなってしまいます。
香りを聞くのは一日3種類と決めて、0.05ml分の違いに心を澄ませます。その間約2か月のあいだは、つとめてニンニク料理を避け、ラーメン・焼き肉・中華に魚など、香りの強いものを食べない生活を続けました。
30数年前の話ではありますが、当時マクロビオティック料理教室でアシスタントをしつつ、数年間マクロビ生活を実践していた経験があるので、食事内容についてはさほど苦ではなかったのですが、毎日変わる体調によって、昨日聞いた香りが今日はまた別の印象を持ち込む、なんてことがざらにあり、印象を書きこんでいた調香ノートには全くまとまりがありません。が、
そのなかでも比較的安定した印象を醸し出してくれるブレンドを10程度に絞り込み、それぞれの個性をイメージできる名前をつけました。

・ディスカバリー
・ウルトラマン
・虹色の森
・ガーディアン
・ガブリエルのラッパ
・ロイヤリティ
・エージェント
・海のしずく
・もんどころ
・除菌抗菌
・リリース・リリス

香りの印象に託したのは、シュッと魔法のひと吹き(ひと塗り)で、お肌も心もからだもすっきりして、透明なShieldにまもられるような心地になる、素肌だけではなく気分もオーラも浄化されて、守護されるような無敵感。
もちろん香りの印象というのは、個人差がありますし日々の体調によっても変化するものですから、万人が同じような印象を持ってくれるわけではありませんが、それでも我らアロマニアどもの名にかけて、無害で無敵、五角形の銀の盾みたいな香りを生み出そう!と、鼻をふくらませ、休ませながら奮闘したのでした。

名をつけてしまった香りたちは(名入りしたせいか)どの香りも捨てがたく、いずれ別のカテゴリーがシリーズ化されたときに使おうと各自おのれを納得させて、はじめてのデビュー製品のために、なんとか2種類の香りに絞り込みました。
しかして、それがまたいかんとも甲乙つけがたく、守護する銀色五角形の盾には、どうしてもふたつの側面が必要だよね、という見解から一歩も先に進めません。やさしくふんわり包み込んで安心感や清浄感をもたらしてくれるShieldと、強くて頼もしい速攻浄化力で広がりや解放感をもたらしてくれるShield。
のろのろといつまでも逡巡し、なんのかのと選べない理由をこねくり回し、さぁてそろそろタイムリミットです、お座布団の準備をしましょうか、というときに、チーム唯一の青年メンバー、若きホープ君が唐突にのたまいました。

「白と黒の2種類あったら、かっこええんちゃうかな」

目を白黒させるその他妙齢メンバーたち。
あっ、その手があったか、と。
2SKUでいくなら光と影の一体感から生み出された未来への希望や、Shieldに込める思いの安心と解放、ふたつの側面を表現できて、めっちゃいいやん、と。
ほっと安堵のため息交じりに「あ…、いい。…いいね、それ。いいね、いいね!」と賛同したのは言うまでもありません。

やさしい白と、さっぱりの黒。
ふんわりの白と、さわやかな黒。
つつみこむ白と、つきぬける黒。
やわらかい白と、ひきしめる黒。
ツヤもちプルンの白と、キメはりツルンの黒。
お座布団に降臨したふたつの香り。
どちらもShield72°らしい、銀色の盾の香りです。

ふたつの香りがそろうと無敵感満載、お肌も心も、からだもよろこぶ、自然な精油の底力を惜しみなく表現した香りになったと思います。白と黒に選抜されたふたつの香りメモを、調香ノートから一部抜粋します。

・黒の香り
「風をうけて走る爽快感、スピード感、妖精の粉、新鮮な驚き、ドキドキ、ワクワク感。突破する、前進する、上昇する、出口がみつかる、発見する、のびのびと手足を伸ばした、胸をひらいた、頭がひらいた、大きく息を吸う。光を受容する葉」
黒はローズマリー、ラベンダー、レモングラスのブレンドです。

・白の香り
「おなかがうごきだす、口のなかの渇きがやむ、虹色に光る、空気が密になる、空気が美味しい、大きくて柔らかい手のひら、だいじょうぶ、ほっとする、つつみこむ、純化される、繊細になる、恋心のときめき、気がめぐる、穏やかな統合、滋養、豊か、花の輝き」
白はローズマリー、ゼラニウム、スウィートオレンジのブレンドです。

そして白と黒のイメージカラーについては、次のようにコンセプトをまとめました。企画書に落とし込む前段階のプレ・ノートから。
「日が昇り、沈むように。春が来て、冬が来るように。活動して、休息するように。凝集して、気化するように。息を吸って、吐くように。
昼と夜、光と影、プラスとマイナス、白と黒。
上昇と下降のエネルギー、どちらも目詰まりなく、循環していく。
未来につなぐ希望の車輪を、つないで、つなげて、まわし続ける。
複雑にみえる世界は、実はとてもシンプルな元素の集まりで、そのつながり方によってさまざまな形態や形状に変化する。分離と結合をくりかえし、熱や電気やイオンを交換しながら、世界をまわし続けてゆく。
音、色、香り、幾何学図形、光と数。いのちの根源を織りなすものは、人の暮らしのなかに至極身近にあり、実のところわたしたちの世界は、とてもシンプルな成分で創られている。わたしたちの考える製品も、わかりやすく、シンプルな成分で、暮らしや日常、いのちの営みを支えるものでありたい。白と黒がまわりつづけて、未来の扉を開くように。」

こわごわと未来をのぞきこみ、果たして希望を持てるのだろうか?と訝しんだわたしたちは、最終的に希望はあり、未来は続いてゆき、人類は光と影を統合してクリエイティブな存在として生き続けるだろうと結論づけました。
その過程で、実はわたしたち自身も元気づけられ、なんとも奇天烈な時代の転換点に生き合わせたことを嘆くのではなく、面白がれるまでに心が晴れやかになりました。
そんなわたしたちが提供する製品として、白と黒のイメージカラーはぴったりな気がしています。

白と黒を背景にして、Shield72°の文字は赤色、五角形のロゴマークは銀色。
黒と白、赤と銀。
それは地球をまもるウルトラの星、ウルトラマンカラーなのであった。(シュワッチ)

(つづく)

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