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【ハーブ天然ものがたり】白檀/サンダルウッド
お線香の香り
日本ではお線香の香りでお馴染みの白檀。
学名 Santalum album は、精油名をサンダルウッドといいます。
BC5世紀頃に高貴な香木・薫香として使用されてきた記述がのこされており、古代エジプトではミイラづくりの防腐処理剤のひとつでした。
木材は寺院の建材や家具の材料として利用され、旧約聖書にあるソロモン王の宮殿は白檀の木でつくられたと伝えられてきました。
最古の仏教経典集(スートラ)、釈迦の言葉を色濃く反映したとされる書物「中阿含経」に、釈迦が臨終をむかえるとき、弟子の阿難に自分の遺体は白檀の棺に納め、白檀などの香木を薪にするよう指示したという記載があるそうです。
世界3大伝統医療のひとつ、インド・アーユルヴェーダでは、心身全体を冷まして鎮める作用があるとされ、循環器・消化器・呼吸器・神経系すべてに作用して灼熱感を伴う炎症を癒すと考えられてきました。
白檀は木そのものが、熱を加えることなく香る樹木で、日本の香文化である香道で親しまれてきた歴史があります。
練香やお香などに加工されるようになり、線香の香りとしてすっかり定着した感があります。
昭和のころは白檀の扇子や、木の彫り物、数珠やブレスレットなど、白檀の加工品を目にする機会も多々ありました。
白檀は幹の心材、そのものに香り成分(約7割ほど)がある、めずらしい木です。
インド原産の半寄生性植物で、近場に寄生できる木がいないと枯れてしまいます。
成長速度はおそく、香り成分が充実するには60年くらいかかることから、インド産の白檀は枯渇が危惧され、伐採したら植林する義務があります。
現在ではインドネシアやオーストラリアに近種があることがわかり、白檀の産出国になっています。
白檀の主な香り成分、サンタロールは合成がむずかしいといわれていますが、白檀様の香りを合成してつくる技術はあるので、香水やフレグランスは合成香料を使っているケースも珍しくありません。
道なき道をつくる人
仏教発祥の地、インドでは白檀をチャンダナ(candana・サンスクリット語)と呼び、ダーナ(dana) は「施し・お布施」を意味することばです。
僧侶は生活の全てを修行にささげる人で、生活人はダーナによって、自分たちに代わり毎日厳しい修行を行う僧侶への感謝の気持ちとして、生活品を捧げてきました。
あくまで所感ですが、いっさい所有することなく修行する人、食も行動も思想も精進する人々は植物的になり、エーテル成分が多くなって「天・人・地」という梯子をスムーズに連携してくれる役割があると感じています。
道なき道をつくる人、という感じです。
いちど道がつくられると、その後多くの人々が往来できるようになります。
人間界にも天地をつなぐ、きざはしを担う人々がいて、むかしはその役割分担も、もっと明瞭でシンプルだったのかもしれないと感じています。
白檀の「檀」は、檀家や檀那、檀徒、檀林の字にあてられますが、仏壇/仏檀など土編の「壇」を共有することばもあります。
「壇」はひとつのクラスターを意味することばで、文壇とか画壇とか、専門的な集まりをくくるときに使い、また壇上というように、祭祀などの儀式を行うため、一段高くしつらえた場所を指すときにも使われます。
僧侶には霊的なつながりをもつクラスターをまとめて、自らは生活のいっさいを捨て修行に励み、見えない煙でつくられた天使梯子の1段目を整備し、皆を神仙世界へつなげる役割をもっていたのではないかと思っています。
植物界の白檀も半寄生性なので、大地に根づくお仕事は半分、ほかの植物に任せて、天につながるエーテル梯子がゆるがないよう確立するという使命を、色濃くもっていたのではないかな、と。
香り成分を心材にもち10メートル以上に成長する植生を考えると、地上世界から立ち上る香気をできるだけ天高く届けて、天界から降臨するエッセンスを受けとめ、インドエリアを中心に長いこと天地をつなげるお役目を担ってきたのだろうと感慨深くもあります。
ダーナ・お布施の精神
お布施を意味するダーナの精神は仏教とともに中国や日本に伝わり、「檀那」という漢字が当てられたそうです。
与える人が檀那というわけではなく、その事象、行為そのものを指す言葉だったようです。
日本語のお布施ということばにしても、
布はエーテル体の地上的象徴物のひとつ
施は人のためにして報いを求めない、あまねく行きわたらせる、おこなう
という意味があったと思います。
地上世界でご縁を結ぶことで、エーテル体のつながりをつくり、あちら側に行くときは僧侶のつくった梯子の一段目を使わせて頂く。
互いに授けて、互いに受けとる。そんなやりとりがあるから、アジア圏の一部では僧侶をこのうえなく敬い、修行を支えているのではないかな、と。
日本では江戸時代の寺請制度
寺院の住職が一般の人々の身元を保証してキリシタンではないことをお上に報告する、保証された家長は寺にお布施を払い、法事を依頼することを義務付けた。
によって、一家の家長が寺に布施を払う「檀那」 →「 旦那」となり、ダーナの意味も精神も変化していったようです。
見返りや義務、等価交換的な計算が少しでも入りこんでしまうと感謝の意は伝わらず、雇われ人、奉公人が家長を「旦那さん」と呼ぶようになって、面倒を見てくれる、お金をくれる人という意味合いはますます強くなりました。
商売人にとっては客も「旦那」になりました。
現代では外で稼いで家に持ってくる家長を「旦那」と呼びます。
日本ではすっかり、施しやお布施の精神はモノやお金をくれる(あげる)という具合に変化してしまった感があります。
さらにいうと「天界と地上界に渡りをつけて、植物的エーテル成分を強化し、天につながる梯子をかける」といっても、代価をお支払いする仕事と認めてもらえないどころか、社会参加すら危うい人になってしまいます。
最上品質といわれるインドのマイソール産白檀は、絶滅危惧種としてインド政府が生産をコントロールしていますが、日本ではダーナ(檀那)の精神も危ういものとなっているように思います。
もちつもたれつ、からの底上げ
「落語の世界を歩く」というサイトから引用させてもらいます。
第69話落語「百年目」
大旦那と番頭のやりとりの一節です。
「一軒の主を旦那と言うが、その訳をご存じか」
「いえ」
「それは、『五天竺の中の南天竺に栴檀と言う立派な木があり、その下にナンエン草という汚い草が沢山茂っていた。
ある人がナンエン草を取ってしまうと、栴檀が枯れてしまった。
後で調べると栴檀はナンエン草を肥やしにして、ナンエン草は栴檀の露で育っていた事が分かった。
栴檀が育つとナンエン草も育った。
栴檀の ”だん” とナンエン草の ”ナン” を取って”だんなん”、それが”旦那”になった』という。
こじつけだろうが、私とお前の仲は栴檀とナンエン草で上手くいっているが、店に戻ってお前は栴檀、店の者がナンエン草、
栴檀は元気がいいがナンエン草は元気が無い。
少しナンエン草に露を降ろしてやって下さい」
日本では栴檀(楝の木)は、白檀と混同されてきた歴史があります。
栴檀はもともと香木の総称として使われていた名称ですが、江戸時代に楝の木を栴檀と呼ぶ風習が広まっていき、ほかの香木は白檀、黒檀、紫檀というように分類されます。
落語百年目は、白檀の半寄生性という植生をもとに、半フィクションでつくられたお話だとは思いますが、噺家さんはさすがに上手にまとめていらっしゃるなぁと思います。
☆☆☆
お読みくださりありがとうございました。
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