蔦温泉
あけましておめでとうございます。
例年、成人の日を絡めた三連休は、人がほとんどいない冬の上高地に行くことにしています。今シーズンもその準備に取り掛かろうと例年利用している温泉旅館を予約しようとしたところ、満室で断られてしまいました。
どうしよう、でも雪には塗れたい。
ということで、何処か他にいいところはないかと探したところ、例年ならば冬季の営業を行わない温泉宿が今シーズンはごく短期だけど営業するということを知り、早速予約しました。
予約した温泉は蔦温泉です。日帰りの温泉利用は何度かしたことがあり、いつかは泊まりたいと思っていた青森は奥入瀬と八甲田の間にある一軒宿です。
紀行作家の大町桂月が、晩年は本籍地をこの温泉地に移してここで没し、さらには墓までここに作られたというほどにこよなく愛した温泉です。
最後に日帰りの温泉利用をしてからすでに10年以上経つため、記憶が曖昧なことも手伝ってか微妙な設えの変化を見て、時世に合わせてお客様を受け入れる体制を適切に更新しているのだなと思わせてくれるのは、宿のホスピタリティに期待できるところです。
ここの温泉は、源泉がそのまま使われています。とはいえ、いわゆる「源泉かけ流し」とはちょっと勝手が違うというか上位互換です。源泉の上に浴槽を作っており、浴槽の床は簀子状で隙間からお湯がポコポコプクリと湧きあがる「足下湯」であり、お湯の新鮮さはこれ以上のものがないと言えます。浴槽の掃除が大変そうですが。
なお、浴室の写真は撮らないのがマナーと言うか、実際に利用して目で見て堪能してほしいので撮影していません。
さて、泊まってみて本当にいい温泉でした。
食事も美味しく、雪を愛でながらの温泉と食事は今年の仕事を始めるにあたり、十分すぎる英気を養うことができました。
さて、大町桂月の墓が宿の近所にあると書いたのだけど、この宿の近所にはもう一人の著名人の墓があります。その著名人はアントニオ猪木。
墓へと向かう行程は雪が降り積もっているため道なき道であり、アントニオ猪木の「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」を地で行くように自ら雪原にその一歩を踏み出して到達。