【開催レポート】第1回シルミルツアー@ウェルビー蒲田センター
2023年3月16日(木) ウェルビー蒲田センターにて 第1回目のシルミルツアーを開催いたしました。企業は6社、グループホームや自立訓練の福祉サービス事業者、ハローワークからの参加もいただき、「合理的配慮」について本音で話し合う時間となりました。
3ヶ月間に及ぶ検証作業
ウェルビー蒲田センターのプログラムには、お勤めした時を想定して、週に1回オフィスワークのロールプレイ的なプログラムが設けてあります。
中でも「営業課」というグループは、5名ほどの利用者の皆さんで構成されており、「企画営業」的な業務の疑似体験を行います。今回のイベントは、この「営業課」の活動として2023年1月から始まりました。
テーマは「合理的配慮について」。
世間一般的に言われている制度的文脈だけでなく、当事者からの視点で検証して、「合理的配慮のホントのトコロ」についてまとめて欲しいというオーダーをしました。
「営業課」のメンバーで、検証方法を話し合い、役割分担、進捗状況やタスク管理など、自律的に取り組んで頂きました。
章立てや構成
シルミルツアーは「知る」+「見る」…。「人として知り合おう」というきっかけのプログラムです。欲しいのは、本音で聞き合える関係性づくり。面接など改まった場所では聞きにくい事や、短い時間では気づきにくいような、発見の場所を目指しています。
なので、「合理的配慮」についても、法制度や学者さんの言うようなことではなく、当事者の視点で思う事を検証して欲しいと、弊社からの更なるオーダーに応えて頂きました。
タイトルは「本当の合理的配慮って何だろう」
①法制度的な言葉の説明
②ウェルビー利用者、就職者、職員へのアンケートと結果検証
③私たちが想う理想の合理的配慮
という流れで、見事な発表をして頂きました。
検証の始まりは、今通所してトレーニング中の「利用者」と、就職した「卒業生」の想定する合理的配慮の比較から始まったのですが…。「支援者の助言」が両者の間に挟まってることに気づき「支援者」にもアンケートを取るなど、どんどん充実していく様子が、素晴らしいと感じました。
ポイントは「言いやすい」「理解されやすい」だった…。
「応募書類に記載している合理的配慮」の問いに対しては、
●立ったり座ったりできる環境●集中力を高めるためのストレッチタイム
●指示はメモで欲しい…など。
「応募書類に記載してないけど欲し配慮」は…
●マニュアルが欲しい●急な業務変更なし●マルチタスクなし●ノー残業デー
などが上がりました。
書類に記載してもしなくても、「お願いしてみたいな~」と思っているのは、「勤務や休憩等時間に関する事項」「職場環境に関する事項」の2つでした。これは、卒業生のアンケート結果も同様でした。
この結果を踏まえて、彼らの導き出した仮説としては。
言いやすい事、理解されやすいであろう内容をピックアップして伝えている…という事です。なぜなら、採用の候補者から外されるのではないか??という不安があるからです。
身体や知的に障害のある方々の場合、配慮や対応策が分かりやすく、理解も得られやすい事に対して、精神・発達の障がいに当たる場合、見えない事や定量化しにくい事が多く、伝えにくさや、理解してもらえなかったら…という不安というのが本音のトコロ…。
ここについては、トークセッションの時間に企業の人に質問してみました。「配慮事項のボリュームが多かった時どう感じます??」と。かなり熱い議論になったテーマでした。
皆さんの答えはどうでしょうか??
そもそも配慮って個別性高いんじゃないの??
検証結果発表を聞きつつ、トークセッションでも盛り上がりましたが…。「配慮」って個別に違うわけであって、「合理的」って言われるから混乱しちゃう説。十人十色、千差万別という前提を踏まえつつ、まぁ、折り合い付けて…という意図なんでしょうが…。無理がある。それを「義務」なんて言っちゃうから、更に苦しくなる。そんな気がしています。
「人として 思いやる」
それだけの事…になるといいのになぁ~と思いつつ、「シルミルツアー」はその世界に向けての入り口イベントに違いない!と確信しております。
これからの障がい者雇用について
本来、個別際の高い「配慮」を合理的にするために設けた基準は「診断名」とか「障がい名」であることが多いのです。例えば、発達障害の人は変更が苦手なので~…みたいなイメージ。でも、ホントのトコロは…
「できないので、こうしてください」よりも「こうすれば、できます!」という当事者からの伝え方ももちろんですが、「その人だからできる事」につなげてくって、業務へのモチベーションもそうですが、どう生きるかにも繋がる、大切な事だと思います。
やっぱり、「シルミルツアー」は必要なんだ!とウェルビー蒲田センターの利用者の皆さんに励ましてもらった気がします。ありがとうございました。
企業のみなさまの声
感動!まさに、目指しているのはこういう事です!!共に話し合える関係性をはぐくむ。きっとみんなのHAPPYにつながると信じています。
他にも嬉しいお声を頂きましたので紹介させていただきます。
●当事者の方の発表という事で、興味深く聞かせて頂きました。皆様の企業に対する考え方を垣間見る事が出来てとても参考になりました。
●様々な立場、視点からのお話を伺う機会はとても貴重だと再認識いたしました。もちろん、「これが正解」というものはないかもしれませんが、自社内で悶々と考えているだけでは解決できないことも、道筋が見えてくるような気がします。
●合理的配慮については、常に悩みの種でございました。なかなか障がいのある方の本音の部分を聞く機会はございませんでしたので、利用者さまの考えを知ることができとても学びとなりました。
この企画にご賛同、ご協力頂きました、ウェルビー蒲田センターの皆さまに、改めて感謝申し上げます。
シチロカソーシャルデザインでは、このように「知り合う」から始まるイベントを企画しております。開催にご興味のある移行支援事等福祉サービスの事業所、研修として取り入れたい企業様、ぜひ、お気軽にお声かけ下さい。