なぜ他社と比較して販売手数料の割高なnoteを決済プラットフォームとして利用するのか?
こんにちは、しちゃうおじさん(以下「しちゃおじ」)です。
前回の記事では、意外にもnoteというメディアには「公営ギャンブル系」レース予想アカウントがごまんと存在して、実は大変に繁盛しているという事実をご紹介しました。
これらのレース予想アカウントでは、記事タイトルと無料エリアに「レース名」を、有料エリアに「着順予想」の数字を入力するのが基本形になるかと思いますので、正確には「有料記事」とは言うことのできない「有料note」を販売してマネタイズをしています。
つまり、これらのレース予想アカウントは、noteを「コンテンツプラットフォーム」として活用しているのではなく、単に「決済プラットフォーム」として利用している形とも言えます。
noteというメディアは、集客・拡散機能が脆弱ですので、単に決済プラットフォームとして考えるのであれば、わざわざ販売手数料の割高なnoteを選択する必要性がありません。
以下の記事でも書きましたが、noteは「販売者」と「購入者」の仲介をするシステムを採用しているため、顧客対応にかかる人件費の分が販売手数料として割高になっているのかも知れません。
noteを単に決済プラットフォームとして考えたときに、他の決済プラットフォームと比較して「一体どれだけ手数料が割高になるのか?」は、以下の記事を参考にしてください。
noteの仲介システムを簡単にご説明すると、主に「購入者」から「返金申請」があった場合にnoteが一定の審査(おそらく「購入者」及び「販売者」)をして、「返金」もしくは「返金不可」をnoteが「販売者」に変わって面倒な顧客対応をしてくれるものです。
詳細につきましては、以下の「返金ルールとよくあるご質問」に書かれていますが、どちらかと言うと販売者(クリエイター)側に寄り添ったシステムになっています。
https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360000670602/
でもね、この「公営ギャンブル系」レース予想の「有料note」の場合、基本的に「着順予想」の数字を販売しているだけですので、『予想が外れたから返金しろ!』なんてゴタゴタは考えられませんよね?
つまり、noteの仲介システムの出番はありませんし、であればなおさら販売手数料の割高なnoteを利用する必要性がありません。
noteで集客できるわけでもないですし。
ではなぜ、「公営ギャンブル系」レース予想アカウントが、このnoteにわんさかと集まってくるのでしょうか?
いえいえ、これは何も「公営ギャンブル系」レース予想アカウントだけではありません。
一時期は「稼ぐ系」情報商材アカウントもnoteにわんさかと集まってきておりましたが、こちらは容赦なくnoteに静粛されて退場していきました。
この「稼ぐ系」情報商材アカウントの「有料note」がNGで、「公営ギャンブル系」レース予想アカウントの「有料note」がOKな理由も実はシンプルです。
そのあたりについても解説していきますよ!
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noteを利用する3つの理由
「公営ギャンブル系」レース予想アカウントが、なぜ他社と比較して販売手数料の割高なnoteを決済プラットフォームとして利用するのか?の主な理由は、以下の3つでしょう。
① noteの理想的な課金システム
② クリーンなnoteブランドの拝借
③「特定商取引法に基づく表記」義務
それでは1つずつ見ていきましょう。
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① noteの理想的な課金システム
まずは、なんといってもこれでしょう。
noteではブログに日記を書く感覚のままに、実に簡単・便利に自分が執筆した文章を販売することが可能なシステムとなっています。
「有料記事」を販売したことのあるクリエイターさんであれば実感していることと思いますが、いつものように記事を書いた後の「公開設定」にて「有料」を選択、「有料エリア設定」にて有料エリアにしたい直前にラインを指定して「公開」するだけで完了します。
例えばこれが「はてなブログ」であったならば、noteで言うところの「有料エリア設定」の部分へ自分で契約した決済プラットフォームへのリンクを設置しなくてはなりません。
「続き」を読みたい購入者は、その決済プラットフォームから「続き」をダウンロードするなどが必要となってきます。もしくは、販売者が別途「続き」をメール送信するなどが必要です。
つまり、他ブログメディアの場合は、マネタイズ(収益化)には別の媒体が必要となってきますが、noteの場合は「有料記事」「有料マガジン」「定期購読マガジン」などの簡単・便利な課金機能を利用することでマネタイズ(収益化)をnote内で完結させることができるのです。
しかも、「公営ギャンブル系」レース予想アカウントの場合は、記事コンテンツすら不要です。
そう「記事コンテンツが不要!」。実はここが最大のポイントになっています。
「公営ギャンブル系」レース予想の場合、「着順予想」の数字を提供するだけで商品として成立しますので、「有料記事」「有料マガジン」「定期購読マガジン」などの課金システムとの相性が抜群なのです(※「定期購読マガジン」の審査が通るのかは不明ですが...)。
なぜnoteの課金システムと相性が抜群かと言うと、単に数字を販売する「有料note」の場合、noteからコンテンツの中身に対する表現のチェックを受ける心配がないからです。
単に数字を販売する「有料note」ではなく、「しちゃおじ」が販売しているような「有料記事」の場合、noteは「販売者」と「購入者」の仲介をするシステムを採用しているためもあってか、「有料記事」の内容に対する表現のチェックがとても厳しくなっています。
「しちゃおじ」は、過去に「有料記事」の公開停止を受けてしまったことがあるのですが、以下のように「再公開」に至るまでには、それはそれは大変な苦労をしています。
単に数字を販売する「有料note」と「しちゃおじ」が販売しているような「有料記事」でのnoteの立場の違いをご説明すると、レース予想の「有料note」の場合は、noteは決済プラットフォームとしての立場が主になりますので、コンテンツの中身に対して責任を問われることがありません。
だって、数字が書かれているだけですから。
翻って、一般的な「有料記事」の場合は、noteはコンテンツプラットフォームとしての立場が主になりますので、コンテンツの中身に対して責任を問われる可能性がありますし、「有料記事」の内容によってはnoteブランドの毀損にも繋がってきます。
これが「稼ぐ系」情報商材アカウントの「有料note」がNGで、「公営ギャンブル系」レース予想アカウントの「有料note」がOKな理由です(と「しちゃおじ」は勝手に思っています)。
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② クリーンなnoteブランドの拝借
次に、これですね。
noteってインターネットメディアの基本的な収益モデルである「広告」を採用していないのもあって、ブランドイメージがとても良いですよね?
怪しいランキングもないですし、お金に物を言わせてnote内の至るところで露出を図ることもできません。先述の通り「稼ぐ系」の情報商材屋さんも既にほぼ駆逐されています。
noteは「クリエイターが創作活動をするためのプラットフォーム」という認識も浸透してきているので、「しちゃおじ」のようなビジネス臭のするアカウントは、どんなに貴重な情報を発信していても一方的に嫌われてしまうこともあります。
一昔前と違って最近ではだいぶ認識が変わってきているのかと思いますが、まだまだ一般的には「公営ギャンブル全般」にもあまり良いイメージがありませんよね?
もし「公営ギャンブル系」の必勝法を、例えば情報商材系プラットフォームで販売したとしたら、それこそ怪しい商品で眉唾ものですが、世間的にクリーンなイメージのあるnoteで販売したとしたらどうでしょうか?
このことの可否は別にして、noteブランドのおかげで眉唾な印象がかなり中和されるものと思われます。
また、これは意外だったのですが「noteクリエイター規約」の「9.禁止事項」には、ギャンブルに関する記述が一切ありません。
noteとしてはギャンブル系コンテンツをウェルカムとは言わないまでも、煽り系情報商材のように禁止をしているわけでもありません。
現状の「公営ギャンブル系」レース予想アカウントの繁栄は、noteのクリーンなブランドイメージを上手に拝借しているように見えるのです。
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③「特定商取引法に基づく表記」義務
最後に、こいつです。
noteで「有料記事」などを販売する場合は、「特定商取引法」の対象となる「通信販売」に該当します。
特定商取引法ガイド(https://www.no-trouble.caa.go.jp/)のとあるガイドラインには、「営利の意思を持って反復継続して販売を行う場合は、法人・個人を問わず事業者に該当し、特定商取引法の規制対象となる。」とありますので、当然に「公営ギャンブル系」レース予想の「有料note」を販売しているアカウントも規制対象事業者に該当してきます。
つまり、「特定商取引法に基づく表記」の義務があるのですが、おそらく「特定商取引法に基づく表記」をしているアカウントは皆無でしょう(※きちんと調べたわけではないので推測です)。
このことを前提として、以下noteヘルプセンターの「特商法の表示について」を一読してみてください。
https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360008947533
上記のページに目を通していただくと明確ですが、ページ全体を通して、氏名(もちろん本名)や住所・電話番号(もちろん本物)を公開したくないクリエイター側に寄り添った内容になっています。
パッと読んだだけであれば、「(なんかよくわからんが)noteなら特定商取引法に基づく表記は不要なんだ!」と判断してしまいそうですよね。
「掲載する必要はありません」「開示の義務はありません」「掲載を省略することができる」「当社からクリエイターの個人情報を請求者に開示することはありません」などの表現から、noteがクリエイター側に寄り添っていることがひしひしと伝わってきます。
例えば、これが「Brain(ブレイン)」の「よくある質問」ページの場合は、以下のように書かれています。
13.特定商取引法に基づく表記には、本名および本当の住所を記載する必要がありますか?
はい、そうなります。
また「infotop(インフォトップ)」の「特定商の注意点」ページには、とても丁寧な掲載例(テンプレート)が紹介されていて、最後に赤太字で以下のように書かれています。
(注)虚偽の記載は、インフォプレナーID非承認の対象となります。
※インフォトップからの電話確認、または違反通報等により発覚する場合もあります。
「しちゃおじ」は、noteが戦略的にこのようなクリエイター側に寄り添う立場をとっているように見ています。
なぜなら、ごくごく一般的なクリエイターにとって「特定商取引法に基づく表記」の義務は死活問題であるからです。
『本名が必要?だったら辞めるよ!』がほとんどでしょう。
このように、ごくごく一般的なクリエイターが手軽にマネタイズを行うにあたっての急所(要点)でもある「特定商取引法に基づく表記」に対する懸念に対して、ヘルプセンターの「特商法の表示について」の説明で、とても上手にカバーしている気がするのです。
そもそも「特定商取引法」というのは消費者を守るための法律ですが、noteに管理されているクリエイター個人にまで「特定商取引法」を該当させるのはナンセンスに思えます。
とんでもない売上があったり、何かしらの問題を起こして社会問題化しない限りは、noteのクリエイターが「特定商取引法違反に基づく処分(業務停止処分・業務禁止処分)」を受けるとは考えられませんが、後はクリエイターさん各々の判断にお任せいたします。
ここで伝えたいことは、noteヘルプセンターの「特商法の表示について」の説明が、「特定商取引法に基づく表記」の義務で悩んでいる層の需要にしっかりと答えているという事実です。
本名や現住所・電話番号を晒して、「Brain(ブレイン)」や「infotop(インフォトップ)」などでの販売を躊躇しているような層は、ほぼ例外なくnoteのユーザーとなるでしょう。
「公営ギャンブル系」レース予想アカウントや、「稼ぐ系」情報商材アカウントがnoteにわんさかと集まってくる背景には、このことが関わっているものと考察しています。
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さて、noteで人気のハッシュタグ“TOP2,000”から、まずは「公営ギャンブル系」のハッシュタグがとにかく多いこと、さらにあまりに人気上位タグとして目立ってしまっている「公営ギャンブル系」ハッシュタグはランキングから除外されていることを書きました。
続いて、{ではなぜ?こんなにもnoteに「公営ギャンブル系」のレース予想アカウントがわんさかと集まってきているのか?}を、この記事にて解説をしてみました。
次の記事では、マーケターでもある「しちゃおじ」が、ハッシュタグの文字列のみから一体どのような情報を読み取って、実際にマーケティング(集客・販売)を試みるのか?の具体例を簡単にご紹介してみたいと思います。
せっかくですので、「公営ギャンブル系」のハッシュタグを例に思考・発想してみますね。
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以上 – なぜ他社と比較して販売手数料の割高なnoteを決済プラットフォームとして利用するのか? – でした。
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