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“勧善懲悪とは何か”を考えさせられる作品「グッド•シリアルキラー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(401日目)

「グッド•シリアルキラー」(2018)
ヘンリー•ジェーコブソン監督

◆あらすじ
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公立高校のソーシャルワーカーとして働くエヴァンは悩みを抱える生徒一人一人と真摯に向き合い、家庭では妻のローレンを労り、産まれたばかりの息子を愛す良き父親。しかし彼は幼少期に父親から虐待を受けた過去を持っており、それがゆえに生徒に暴力を振るう親や親戚に対して嫌悪感を抱くようになる。初めての育児に苦戦し、ノイローゼになる妻に対するモヤモヤなどもあり、彼はついに生徒に暴力を振るっている父親を拉致、殺害してしまう。夜な夜な外出する夫を心配するローレン、しかしエヴァンは第二、第三の犯行に手を染めてしまう。
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これは非常に考えさせられる作品でした。
原題が「Blood line」(血の繋がり)というのも非常に重たいですね。

“正義が悪を懲らしめる”、“勧善懲悪”

という大枠では括ることができないし、何が正しいのかがわからなくなります。

エヴァンは父親からの虐待という辛い経験があるため、悩みを抱える生徒たちの親や親戚に怒りや殺意を抱くのは致し方無いと思います。
愛する母を守るために父親を手に掛け、その事実を二人だけの秘密にした過去からエヴァンの中では子供を傷つける親たちを自身の父親とも重ね合わせ、殺害することに対してハードルが少し下がっているのではないでしょうか。

ショーン•ウィリアム・スコット演じるエヴァン

被害を受けた生徒たちが父親を恨み、殺してやりたいとすら思うのは当然のことです。
しかし、酒に酔って暴れて自分や母親に暴力を振るうクソ親父でも彼らにとってはたった一人の父親です。「もう酒は辞める」、「カウンセリングを受ける」、「真面目に働く」そんな言葉を何度も何度も信じてきて、そして裏切られてきたことでしょう。

そんなどうしようもない父親がある日突然何者かに殺されたら…

やはり当事者になると「あんなクズは死んで当然。ザマァ見ろ!」で片付けられるほど簡単なものではないでしょう。
作中でもそんな暴力を振るっていた父親を失ったクリスは悲しみに暮れて情緒不安定になっていました。

悪いやつ=殺してもOK

というともすれば納得してしまいそうなこの構図は視点を換えて見るとあってはならないことでもあると思います。

エヴァンと母親は共依存の関係にあるのかもしれません。

エヴァン、息子の犯行を知るエヴァンの母親、そして家庭を守るために自身も犯行に手を染めてしまうローレン。運命共同体でいつか罰せられるかもしれないこの3人はイカれてます。でも彼らの取る選択に納得できてしまうのがまた恐ろしいです。

エヴァンを疑うオーバーストリート刑事
ラストシーンの表情が素晴らしいです。

「ローレンは裏切らない、この家族が必要だ」
というエヴァンのセリフは一番恐ろしかったです。

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