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「書く習慣」1ヶ月チャレンジ6日目 最近ハマっていること

何かに急激にハマったり、それが長く続いたりする、という趣味や特技を持たずにきました。
しかし、大人になってからここ5年くらい「将棋」をずっと続けています。


(1)将棋との出会い

小学生のころ、一度学校で流行りました。
教室に将棋盤があり、休み時間は友達と将棋盤を囲ってずーっとやっていました。その中で1人だけケタ違いにレベルが強い友達がいました。
彼はアマ初段のおじいちゃんに学び、そんなおじいちゃんと戦って勝ったり負けたりする、とドヤ顔で語っていたので相当強かったのだろうと思います。しかし、そんな彼に飛車・角落ちで勝った私もなかなかの腕前だったのではないでしょうか(笑)。

その当時、私の家ではほぼ毎週土曜日の夜は宴会が開かれていました。
宴会といっても、父が近所の幼馴染み数名を呼んで酒を飲むだけなんですが。

(2)酔っぱらったおじさんたちに将棋を教わる

ある夜のこと、私が学校で将棋をやっている話を知って、突然将棋が始まったんですよ。おじさんたちが鼻の頭を赤くしながら、あー久しぶりだなあ、なんて言いながら。
その時、父の友人から初めて教えてもらったのが「穴熊」という囲いです。

将棋は王さまが取られたら負けますよね。
だから王さまの周りを味方のコマで囲んで陣地を作るんですよ。その最強の囲いの戦法の1つが穴熊で、熊が穴を掘って冬眠をするように深く囲っていくんです。初めてこの囲いを見たときに、もはやギャグではないか、というくらいに手数と時間をかけて、ありえないところに王さまを収納させていくので、その執念さえを感じたことを覚えています。

穴熊の図 香車の下に王様が深くもぐり込む

「穴熊はなあ、ものすごい苦労して囲うだろ。囲ったら、あとはガンガン攻めるだけなんだよ。攻めまくって、自分のコマを犠牲にしてでも相手の囲いをぶっ壊していくんだよ。それで自分の攻めが届かなかったら、いさぎよく負ける。それでいいんだよ」

―相手の陣地に突撃して完全勝利を目指す。しかしダメだったときはいさぎよく負ける。当時そのような考え方を聴いたときは画期的でした。
将棋って負けるとめちゃめちゃ悔しいんですよ。小学生くらいだと将棋に負けて悔しくて泣いてしまう子もたくさんいます。
だから、ダメだったときはいさぎよく負ける、ってそんなのアリ~!?って。

「将棋はなあ、一局本気で指すだけで、相手がどんな人間かわかるんだよなあ」

今なら言っている意味が、なんとなくわかる気がします。
「将棋」の部分を「ゴルフ」と言い換えて頂くとわかるように、人間性がその場ににじみ出てくるようなものってありますよね。将棋もそうなんですよ。

ガンガン攻めるタイプ、ぐっと受け止めるタイプ、相手のミスを誘うタイプ、バランス良くすすめるタイプ。
私は、対局中は「ガンガン攻める」のが好きで、ぐっと受け止めるとか相手のミスを誘う指し方が苦手です。だから、相手が全然攻めてこないと、ちょっとイラッとしてしまうんですよね。

「だから誰かと仲良くなりたかったり、その相手のことをもっと知りたいなって思ったりしたら、ごちゃごちゃ言ってないで将棋を指すといいんだよなあ」

(3)棋は対話なり 将棋は誰かと仲良くなる最強のツール

棋は対話なり、という言葉があります。将棋の対局中はおしゃべりをしてはいけません。
しかし、今この相手はこんなこと考えているんだろうなあ、こうやったらこう返してくるだろうなあって思いながら指していくんですよ。だからある程度実力が同じくらいの相手だとすごく面白いんです。コミュニケーションできてる、って思える瞬間がある。逆に相手が強すぎると、違う言語で会話しているような気持ちになったり。

それからしばらく経って、私が高校生になったころのことです。
かつて宴会の席で、はじめて「穴熊」を教えてくれた父の友達。詳しい理由はわからないんですが、突然、自死されたんです。

その知らせを聞いたときは、もちろんびっくりしました。
しかし、その次に私の頭に浮かんだのが、穴熊のエピソードでした。

―将棋は、その人間の生き方がにじみ出る。
これ以来、いまだに穴熊という囲いを、どのように評価するのか。私の中で消化しきれずにいます。

(4)息子に将棋を教える

それから父になり、息子に将棋を教えました。

息子の将棋は、これまたすごく面白いんです。
「嬉野流」という戦法を使うのですが、これは自分の王さまの囲い方にあまり手をかけずに、序盤からガンガン攻めまくるんですよ。わかっていても防げない。笑っちゃうくらいの破壊力がある。

世代を超えて、息子が将棋をやってくれているのは冥利に尽きます。
ちょっと前まで教えてあげていたのに、最近はすっかり勝てなくなりました。
息子と将棋をしていて、棋は対話なり、を感じる瞬間があります。
昔はプロ棋士になりたいと言っていましたが、その夢は今はどうなっているか。

でも将棋から学べることや広がっていく世界はたくさんあると思うので、得意なこととして大切にしていって欲しいなと思っています。

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