
「古くてあたらしい仕事」島田潤一郎/本
先月、仕事の昼休みにいつも行く本屋にふらっと行き、
各出版社の文庫本があるところを歩いていたら、
平台のところにあったこの本がふと目に入った。
パラパラと立ち読みしたところ、
出版社をひとりで立ち上げて経営している、とのこと。
「ひとり出版社」という言葉は聞いたことがあったが、
実際にどのような方がされているのかは知らなかった。
「はじめに」というところを読んで、
この本は好きな感じだと思い、そのまますぐにレジへ。
家に辿り着く前に、いつも行くドトールへ。
ページを捲るのが楽しみになる本だった。
著者の人柄が出ている文章だと思った。
素朴で率直な、平易な言葉を使って綴る文章は、
気持ちがこもっている。
ひとりで出版社を立ち上げて経営されている、
その行動力は、すごいとしか言いようがない。
著者は控えめに書かれているが、
言葉には言い表せないほどの思いがあるのだろうと思う。
僕も子供の頃から本を読むのが好きだし、
今でも好きだ。
気に入った本は、何度も繰り返し読む。
電子書籍で読もうと思ったことはない。
本は、紙の本で、装丁がされていて、
紙の手触りがあるほうがいい。
出来れば自分の好みの手触りがいい。
ツルツルとしているよりは、紙の素朴な手触りがあるほうがいい。
それに、本はただ文章が読めればいい、というものではないと思っている。
で、そんな僕の感覚とほとんど同じじゃないか、と
読んでいて思った。
最近の本は、色使いが派手な感じが多いなあと思う。
僕はシンプルなデザインが好きなので、
本もそういう装丁がいいなと思う。
やっぱり「きれいだな」「美しいな」と思う装丁の本が、
家の本棚に並んでいるほうが気分がいい。
本屋が減っている。
僕の住んでいる街は、本屋が無くなってしまった。
この街に住み始めて、もう30年近い。
住み始めたときは、数軒の本屋があったけれど、
今は全て無くなってしまった。
本屋は残してほしい。
だから、僕は読みたいと思った本は店舗で購入する。
高校生の頃、出版社とか書店で仕事するのはいいなと思ったことがある。
その後、大学生になり、就職活動をしていたときは、
そういう気持ちよりも、
違う業界で仕事することを考えてしまった。
そして、少しずつ自分の人生の残り時間が少なくなってきて、
ぼんやりとこれからの生き方のことなどを考えると、
本に携わる仕事をしないままでもいいのかな、と思うようになった。
いつかどこかで本に携われる仕事が出来たら、いいな。