魔法少女は卒業できない(小説)
チッチは、
「ああ、君こそ魔法少女に相応しい。その秘められた力で、世界を救うんだ」
私の部屋の窓際、ゆらゆらと蜃気楼のように揺れるカーテンに見え隠れしながら、そう言って、ひょい、と私の肩に乗ってきた。二つに割れた尻尾の片方で私の頬を撫で、
「君は、きょうから魔法少女になるんだよ」
尻尾の先をマッチ棒のように光らせると、一つの指輪を私の前に出現させてみた。ぽう、と淡い紫の光と共に私の掌の中に指輪が納まる。それは私の薬指にぴったりのサイズで、
「これは【契約】だからね。契約