【邦画】日本のいちばん長い日(2015)
監督:原田眞人
出演:役所広司、本木雅弘、堤真一、松坂桃李、山崎努など
上映時間:2時間16分
「日本のいちばん長い日」鑑賞しました。一度小説を読んだことがある作品で、しかも超豪華キャストによる映画化で、超興奮しました。「日本のいちばん長い日」とはつまり、第二次世界大戦時に日本が降伏を発表するまでの一日のことです。
1945年4月、鈴木貫太郎(山崎努)が内閣総理大臣に任命させる。彼は当時日本の最高権力者であった昭和天皇(本木雅弘)から絶大な信頼を寄せていた。鈴木首相は新たな内閣を形成するにあたり重要である、戦時中において多大な権力を持っていた陸軍の大臣に阿南(役所広司)を任命する。彼は陸軍内での信頼も厚く、何より天皇への忠誠心が強い男であった。阿南を大臣に任命する際に、鈴木は陸軍から見返りとして好戦的な内容の条件を突き付けられますが、鈴木はあっさりと承認します。
日本は日露戦争や日清戦争での勝利から自らの軍に自信を持っており、昭和天皇ですら太平洋戦争で勝利できると確信していました。しかし同じ枢軸国側のドイツの降伏や、アメリカ軍による東京大空襲など戦局は悪化するばかりで、これ以上戦争を続けると日本という国の存続が危ういと感じた昭和天皇は御前会議にて、戦争終結に向かって動き出すことを表明しました。
小説でもそうだったのですが、内容が非常に難しい!「御前会議」や「近衛師団」など知らない言葉のオンパレードで、映画鑑賞中は大丈夫だったのですが、小説を読んでいるときは辞書を引きまくっていました。言葉遣いも昔のものなので、理解するのに時間がかかってしまいます。先に小説を読んでいなければ何が何だかきっとわからなかったことだと思います。
そして小説ではページ数がたっぷりとあり、もっと各個人のパーソナルな部分に深く入っていったり、細かい描写が多かったのですが、映画の特性上どうしても2時間で収めなければならず、小説を映画化する難しさを感じました。この作品は登場人物が多いのでなおさらです。
しかし駆け足ながらも事の顛末はすべて網羅しており、自分が小説を読んでいてグッと来た部分もしっかり撮られていました。この映画はあくまでも「こういう事がありました」というのを映像化したものなので、そういう意味ではしっかり完遂できています。
この作品から僕が学んだことは、どのような経緯で日本は終戦に至ったのか、そして何より当時の天皇の存在意義です。作中で阿南陸相はポツダム宣言に対してずっと「国体維持が確証できない限りは受諾しない」と言い続けていました。それに陸軍としてはファイティングスピリットを見せつけるために本土決戦が望ましいものの、阿南は天皇からの「降伏」というご聖断には決して背くことはありませんでした。ほかにも壁掛けに「神州不滅」の文字があったり、この時代は天皇の為に戦っていたのです。
僕も以前「ダークウォーター」で「天皇陛下万歳!」と叫ぶ日本兵役を演じましたが、当時は戦時中の天皇の偉大さを知らず、それっぽく叫んでいただけでした。このような作品を観ると、当時国民にとっていかに天皇が大きな存在であったかが伺え、その時の自分の演技が恥ずかしくなってしまいます。その時の反省がきっかけで、同じ轍を踏まないために、第二次世界大戦に関する情報を調べたり、作品を観るようになりました。やはり俳優はまず知ることからですね!
そして何より豪華な役者陣が堪りません。阿南陸相は役所広司!小説を読んでいる時点でこの人しかいないと確信していました。もはや日本映画界のジョーカー的役割ですね。阿南の生き様、カッコよさにバッチリ当てはまっています。松坂桃李の畑中もハマっていました。堤真一や本木雅弘はどうしても出番が少なく、彼らの演技力を考えると少しもったいなく、もっと見たいという気持ちになってしまいました。
「日本のいちばん長い日」は第二次世界大戦時に日本が降伏するに至った経緯、官僚の苦心、それが引き起こした内乱を取り扱った作品。戦争という大事な内容のため、これ以上ないほどの豪華キャストで演じられています。