見出し画像

パブリック・ドメインとクリエイティブ・コモンズと、オール・ライツ・リザーブド

私は歴史ライターなので、記事で歴史的な絵画を使用することは多々あります。

先日TwitterのTLで「歴史上人物の肖像画の利用ってどこまでOKなの?」という疑問が流れてきたので、僭越ながら使用方法をまとめてみようと思います。

法律の専門家ではないのでもしかしたら解釈が間違っている場合もあります。この記事は参考程度で、それぞれが気を付けてください。


◆著作者が死んだ後の「著作権」ってどうなってるの?

今生きている人、および死後69年までの人は「All rights reserved(オール・ライツ・リザーブド)」といって、すべての権利を保有しています。

70年経ったら保護期間は切れて、基本的にパブリック・ドメイン(以下PD)となり、何しても自由です。

ところが、ミュージアムや図書館、個人所蔵の場合「所有権」があるので、勝手に複製したり改変したり、グッズを作って販売したりすることができません。

そこで「クリエイティブ・コモンズ(以下CC)」という概念があります。

CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン (creativecommons.jp)

詳細はCCの公式サイトで確認してほしいのですが、要は「著作権保持者、所有者が認める範囲で利用OK

CCやPDとなっている日本の作品を探すならジャパン・サーチがおすすめです。

海外のミュージアムも日本画を所有しているところがあります。PDやCC概念は海外のほうが柔軟なイメージです。

月代や裃姿ではない平安・鎌倉時代の人物画は海外のミュージアムの方が狙い目だったりします。

ただし、平安・鎌倉時代の作品を多数所蔵しているボストン美術館はPDやCCになっていないので、平安鎌倉スタは私と袖を絞りましょう。

どこまでOKかは作品によるので、作品ごとに確認してください。面倒くさいなら自分でオリジナル作品を描きましょう。

◆同人誌で使用したり、グッズ化するのはどこまでOKなの?

PDのものなら、基本何をしてもOKですし、同人誌で使う場合は引用の作法に則っていればいいんじゃないんでしょうか。

むしろ「どこまでOKか」よりも「何がNGか」を知る必要があります。

◇書籍を写真に撮って使用するのは避けた方がいい

書籍に使用している画像ってたいてい加工・トリミングしているので、著作権は本の著作者になってしまう場合があるし、引用の作法的にも孫引きにあたるんじゃないですかね。

そもそもスキャンや写真を取り込んで、解像度や彩度、傾きを調整して……という作業をするなら、直接引用元の国立国会図書館デジタルコレクションから画像をダウンロードした方が手間がかからないと思います。

◇検索エンジンの画像検索やウィキペディアの画像を使うのはNG

Google画像検索で出てきた画像を使うのは言語道断……というのは著作権という言葉を知っているなら当然知っていることですので説明は省きます。(スパルタ)

問題は「ウィキペディアの画像」。歴史上人物の肖像画などをクリックすると「パブリック・ドメイン」と明記されています。

一部界隈で有名なトクサ色


しかし、これはこの画像を登録した人が「この画像はPDにするから自由に使ってね」と設定したものなので元画像がPDなのかは不明です。

この登録者の方は丁寧に出典を明記しているので、国立国会図書館デジタルコレクションで探すことができます。

保護期間満了になっているので、ちゃんとPDです。画像の状態からして、画像登録者の方は線画をはっきりくっきり映るように加工していますね。

このように、ウィキペディアの画像はあくまで出典元を探す意味合いで使うのがベターですね。

◇家紋・花押グッズは商標登録に注意

鎌倉時代クラスタはまぁ大丈夫だと思いますが、戦国時代の人気武将の家紋って、商標登録されている場合があるんですよ。

論文や同人誌で引用する分には問題ないとは思いますが、グッズ化するときは注意が必要ですね。

とりあえずこちらのサイトで、家紋や名前で検索してみてください

まぁ、オタグッズなんで家電や家具で登録されてるものはいざ知らず「文房具」や「携帯電話アクセサリー」なんかで登録されているものはちょっと危ないかもしれません。

以上、歴史的絵画に関する利用方法のまとめでした。ただし、私は法律の専門家ではないため、詳細の確認や正確なアドバイスは必要な場合は専門家に相談してください!

この記事が参加している募集

よろしければサポートをお願いいたします。頂いたサポートは執筆活動の資金にいたします。