バケモノ
誰かに作られた傷を
大事そうに抱えて
撫で回していたら
静かな朝が来た
ついさっきまで
そこに響いていた
叫びは本当に
私のものだったのだろうか
誰にもわからないなら
自分だけのものにしておこう
誰もわかってくれないなら
自分だけで何とかしよう
悲しみや怒りや虚しさが
バケモノになってしまう前に
飲み込まれていく
息ができなくなる
沈んでいく
「助けてほしい」
その言葉を
どれだけ飲み込んだだろう
気づいて欲しかった
その「大丈夫」の奥の
大丈夫じゃない部分と
ただ隣にいて 欲しかった
バケモノになんて なりたくなかった
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