シバフ ネコ
発信するのか、受信するのか。詩。
詩。人を愛するってなんだろうか。
詩。わたしとあなたは違う世界に住んでいる。
詩。私はここで生きるから。
経験を言語化してみた結果。エッセイ。
たくさんの人の賞賛を求めていた 誰からも嫌われたくなかった 誰かの欲求を満たすことだけに 生きがいを見出していた どうすれば,認めてもらえるのか? どうすれば,その人が欲しいものを用意できるのか? とにかく必死だった とにかく認めてほしくて とにかく誰かの評価に依存していた はた、と、気付いてしまった 私が誰のことも認めていない、ことに 「この作品はここが好きじゃない」 「その人はここが惜しい」 そして、私のすることなすこと、誰かの評価をくっつけていた。 「こ
先生は命の大切さなんて教えてくれないね うさぎの命は大事だけれど 私の当番なんて居ないから それは親に教えてもらいなさいって 例えば親が包丁を持って あなたなんて生まれなきゃよかったなんて 言い放って 私の背中の壁を突き立てたとしても ねぇ神様 大切ってなんだろう ねぇ神様 知っているよ 愛なんて どこにもなくって 代わりになるものを求めて 不幸を選び続けていること 不幸試し実験が明らかにしたのは お金持ちの手のひらの上で踊らされているだけという 救いようのない事実 そ
目覚める 布団から出て いや出られなくて 足掻いて足掻いて ようやく出られて 歯を磨く 口の中に広がるミントの味で ようやく頭が回り始める 顔を洗う 化粧水を叩き込み乳液で蓋を 濡れた髪をぬるい風で乾かす 寝巻脱ぐ シャツのボタンを止める (おっとっと) よろけながらズボンに足を通す パン一枚 トースターに放り込んで3分半 バターを優雅に塗る時間はなさそう (布団から出られなかったせいか) 昨日と今日で大して変わらないニュース映像を垂れ流すテレビ 溶け残った部分を残したバ
新月。 仕掛けてしまえば 平和などあり得ない 要求を飲ませることでしか 解決はない その手にある権力を守り続けたいのなら 手段は一つ 恐怖で叩き上げた刃が放つ 不確実な眩しい光 満足を浮かべたその顔で指差した先には 依存でしか成り立たないシーソーゲーム 今更なんの不満があるのか とでも 言いたげなその厚かましい御顔 似つかわしくない 震える口角 正義のためだと 刃を振りかざすお前は 業を背負った主人公の台詞を吐き散らしては また一人消えてしまったなんて 悲劇のように言う
女に生まれたものとして 大人になるまでには ギャルという通過点があるのだと思っていた 幼虫がサナギになって成虫になるみたいに サナギの機能として ギャルがあるのだ,と でも わたしはギャルを通らなかった かつてギャルだった大人の女たちが 簡単に手に入れているように見えるその幸せを 大人になり損ねてしまったわたしには 一体どうやって掴めるのかさえ見当がつかない しかし かつてギャル現大人の女が手にしている その幸せは 果たして わたしを満たす幸せと同じ匂いはするのだろう
さぁ食べて 美味しいと言って 犬も食わない この僕を つまらないものですが なんて前置きしたところで 本当は良いものだって 気づいて欲しかったんでしょう 誰かじゃなくて君だけに 気づいて欲しかったのでしょう 知ってるよ 君を好きな僕を 好きになりたかっただけ 知ってたよ 君の好きな僕は 誰かになろうとしてた僕だ 美味しいからどうぞと言える頃に きっと君は僕を好きになって そして僕は君のことなんて どうでもよくなっているのだろう 犬も食わない つまらなくて 君に愛される
スペックの高い入れ物が欲しかった 可愛くて 要領がよくて スタイルが良くて お金持ちで 誰からも愛される入れ物が良かった なんて思いながら 自分にそんな大層な入れ物を貰っても 使いこなせなかったか なんて思ったりして ため息を吐く どうもこの入れ物は不器用で 皆と足並み揃えて歩けなくて 未来なんて全然分からなくて ずっと損してばかりいるって きっとあの子の入れ物は 何度目かの人生繰り返して なんでもわかるところから 始まっていたんだろう きっとそうだろう せっかくだ
自分が嫌いだ ならば 徹底的にやれよ 死ねばいいとか 結局、他人の手を汚す気かよ 嫌いな自分が 誰かの心を傷つけるくらいなら そんなこと言わないで、と 奪われたのは言葉だけじゃなく ここで生きていくだけの価値 誰かに決めさせるもんか それを奪い取って 裸足のまま 走って逃げる 何かが追いかけてくる感覚と 足に絡みつく黒い蔦 最初から誰も居なかった気もしてた 見間違えたのは ぼくの黒い黒い影 きょう、ぼくは 嫌いの先にたどりつく もう逃げないから もう僕は僕から
突き放さなきゃいけないの 強くなるためには、と大人が言った 嵐だろうが 吹雪だろうが 生きていくためには、と大人は出て行った ここは大人の居ない部屋 食べ終えたポテトチップスの袋 退屈を持て余す 子どもの時間 きっと最初から大人なんて居なかったんだ きっと誰かが守ってくれるなんて幻だったんだ こんなことしたくないのにと口が言う 君の首を締めるのは僕の手なのか その怯えた目が誰かに似ていた気がするけど どうしても思い出せないな 正しくないって 叱って欲しかったよ そ
嘘に疲れた人々が笑わなくなった 嘘か本当か、日めくりカレンダーみたい 愚かな嘘を楽しむ日さえ 日めくりカレンダーの中の、ただの1日 人々は怒るようになった 嘘か本当か、考えなきゃいけないものは これ以上要らないのだと 真実を掴んだことに喜ぶ人の、手の中の赤い嘘 このまま混ぜ合わせれば、透明な花が咲くからと 信じて混ぜ続ける もっと もっと もっと もはや声をあげる人などいない 誰も花のことなど覚えていないから 混ぜ続けることが目的 もはや もはや もはや 吐きそうになった
思春期の頃から 真ん中に虚しさがいる 思春期の頃は 死にたいと思っていた 真ん中に虚しさがいるのは おかしなことだから 明るくて元気じゃないといけない時代に 生まれてしまったから お酒が飲めるようになって 行きたくなったのは 明るくて元気が全てを飲み込む場所ではなく ちゃんと君の声が聞こえる場所だった 今は死にたいとは思わない 真ん中に虚しさがいたって 生きていられるから そんなに長く生きたくないや、と笑う君に 同じ真ん中を見つけたから
結婚しなくても、子どもを持たなくても 幸せになれるらしいこの時代に 愛とかいう形のないもののために 一緒にいられるわけじゃない ただ、その苺ジャムの蓋が開けられない 3日、チャレンジしているけれど まだ、その苺ジャムの蓋が開けられない 君は、きっと開けるだろうけれど ちょっと悔しいから、まだ頼めていない その蓋が開く頃には痛さと赤さで 何も感じなくなるその手は 愛のような形をしたものを掴もうとして 誰かの背中に爪を立てた感覚を思い出す 好きだとか嫌いだとかを振り回して
君の隣に居続けたいのなら 君と僕の間に輪郭が必要だ 君に溶けてしまった僕は それはもう僕じゃないから 君は君に足りないものを探し続けてる 君に溶けた僕はもう君の視界に入れない 輪郭を無くした僕は 君の線を纏ったまま 1人になった 輪郭なんて もともとなかったのかもしれない 君の目が見た 幻だったのかもしれない 輪郭を探して 彷徨い続けた どなたか 僕が見えますか あなたの輪郭を 僕にくれませんか いつまでやるつもりだろう うんざりする
張り巡らされていた きっと出られない 命の終わりをただ待つだけ もがけばもがくほど 絡まる糸の中 行方を探す人ももう居ない どこに向かっていたのかも わからなくなっていた もう動かない手足に話しかける 望んだものを手に入れた暁 まだ尽きない欲に うんざりするだけではなかったか 結局人間に期待して 人間に落胆するだけ 手に入らない ここに生きた証 どうせ終わるなら 最後に燃やして 馬鹿みたいにでかくなった あいつとともに 消えてしまえたら