コーヒーショップのSHE⑦
僕がこの店に初めて訪れてから半年も過ぎただろうか。
季節は秋になっていた。
「採算度外視」のこの店は、閉店時間も午後5時という、破格の度外視っぷりだった。
僕はだいたい4時頃に行くことが多かった。その日も同じ時間だ。いつもより闇が近かった。僕は季節の移り変わりを知った。
その日はドアが軽かった。そんなに毎回ドアの重さが変わるはずがないのだが、その日は本当に軽く感じたのだ。
奥には、いつもの彼女が一人。奥で掃除をしている。お客は他にいなかった。
「あ、いらっしゃーい」
いらっしゃーい?
いつもは、いらっしゃいませ、だったはずだ。
突然距離を詰められた僕は・・・珍しく攻勢にでてみた。
ひさしぶりだねー。
ちょっと近づきすぎたか。しかし彼女は、嬉しそうに、笑ってくれた。
「ほんとー、最近あんまり来てくれないんだもん」
タメ語で返してきた。
ドキリとした。
物理的な距離はあるにも関わらず、彼女の髪の香りを感じるほどの至近距離に彼女を感じた。
僕は、外からは分からないが、なぜか少し勃起をはじめていた。
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