マークの大冒険 追憶のバルベーロー編 | セイント・マリアの苦悩
マークが突如現れた丘に向かうか躊躇している時、背後から声がした。
「マーク、行ってはいけない」
「誰だ?」
「マリアよ」
「セイント・マリア?」
「そう。いつもあなたを見てたわ。そして、必ずここに辿り着くことも。あの食堂からずっと見てた」
「方舟食堂のステンドグラス?」
「そう。あなたの受難の旅もこれで終わり」
「やっぱり、あなたがここにいるということは、あの丘の人影はキリストと使徒たちで間違いないみたいだね」
「ええ、あの子は彼らと共に苦から人類を解放する。それが新しい契約よ」
「ボクらはどうなる?」
「それは......。私からは言えない。でも、時期に分かるわ」
「それはボクらにとって幸いなのか?」
「......」
「ボクらは、この世界は、どうなる?」
「世界は、次の段階に向かう。それが人間個人にとって幸いかどうかは、解釈による。少なくとも、あの子はそれが人類にとっての最大の幸福と考えているわ」
「ずいぶん意味深な答えなんだね」
「ごめんなさい」
「ホルス、やっぱりボクらは行かなければいけない。この世界の行末を知るために。そして、それがボクらにとって不幸をもたらすのであれば、全力で阻止しないといけない」
「行こう。奴に一泡吹かせてやりたいんだ。俺のエジプトで好き勝手しやがったことが、どういうことか奴は知らないようだからな」
「やっぱり行くのね」
「ボクらをもう止めないのかい?」
「分からない。本当はあの子を止めて欲しいのかもしれない。マーク、気をつけて。どうか無事で」
「ああ、冒険家は必ず帰って来るから冒険家なんだ」
Shelk 🦋