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マークの大冒険 追憶のバルベーロー編 | セイント・マリアの苦悩


前回までのあらすじ
マークがピラミッドの外に出ると、広大な砂漠に巨大な丘ができていた。異変に気づいたマークが双眼鏡で丘の方を覗くと、複数の人影が見えた。その数は14。マークはそれがキリストと13人の弟子であることを察した。キリストの再臨の日が、ついに訪れたのだった。


マークが突如現れた丘に向かうか躊躇している時、背後から声がした。

「マーク、行ってはいけない」

「誰だ?」

「マリアよ」

「セイント・マリア?」

セイント・マリア
イエス・キリストの母。ナザレのマリアとも呼ぶ。

「そう。いつもあなたを見てたわ。そして、必ずここに辿り着くことも。あの食堂からずっと見てた」

「方舟食堂のステンドグラス?」

方舟食堂
マークが通う大学にある食堂。聖書内に登場するノアの方舟と同じ寸法で造られた大食堂で、室内には聖母マリアを描いたステンドグラスがある。

「そう。あなたの受難の旅もこれで終わり」

「やっぱり、あなたがここにいるということは、あの丘の人影はキリストと使徒たちで間違いないみたいだね」

「ええ、あの子は彼らと共に苦から人類を解放する。それが新しい契約よ」

「ボクらはどうなる?」

「それは......。私からは言えない。でも、時期に分かるわ」

「それはボクらにとって幸いなのか?」

「......」

「ボクらは、この世界は、どうなる?」

「世界は、次の段階に向かう。それが人間個人にとって幸いかどうかは、解釈による。少なくとも、あの子はそれが人類にとっての最大の幸福と考えているわ」

「ずいぶん意味深な答えなんだね」

「ごめんなさい」

「ホルス、やっぱりボクらは行かなければいけない。この世界の行末を知るために。そして、それがボクらにとって不幸をもたらすのであれば、全力で阻止しないといけない」

「行こう。奴に一泡吹かせてやりたいんだ。俺のエジプトで好き勝手しやがったことが、どういうことか奴は知らないようだからな」

「やっぱり行くのね」

「ボクらをもう止めないのかい?」

「分からない。本当はあの子を止めて欲しいのかもしれない。マーク、気をつけて。どうか無事で」

「ああ、冒険家は必ず帰って来るから冒険家なんだ」

France Silver Medal
Those who kneel to Christ




Shelk 🦋

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