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ウィリアム・シェイクスピア、アーサー・ラッカム『真夏の夜の夢』1908年初版


ウィリアム・シェイクスピア『真夏の夜の夢』アーサー・ラッカム版1908年初版の全40枚のカラーイラストの他、一部のモノクロイラストを撮影したので公開する。

本作は、ギリシア・アテネ郊外の森を舞台に若者たちが妖精の魔法に操られて繰り広げる恋愛ファンタジーである。シェイクスピアの傑作のひとつで、成立は1594年〜1596年頃とされている。『ロミオとジュリエット』が完成し、『ヴェニスの商人』の構想段階だった頃の作品である。

本作は古代及び中世から伝わる神話から着想を得ており、オウィディウスの『変身物語』から強い影響を受けている。その他、シーシアスとヒポリタの設定は、プルタルコスの『英雄伝』に綴られている「シーシアスの生涯」から借用している。加えて、ボトムがロバになる展開は、アプレイウスの『黄金のロバ』を参考にしている。

表紙
見返し

以下、全40枚のカラーイラストを掲載する。

以下、一部のモノクロイラストを掲載する。


40枚のカラーイラストというもの凄い力の入れようである。そして、モノクロイラストもふんだんに詰め込まれている。緻密ながらも、筆が尋常でなく早いところに驚かされる。それが、アーサー・ラッカムという画家だった。

駆け落ちしたはずの彼が親友に恋をする、という何とも悩ましい状況を描いているのが本作である。主人公ハーミアにはライサンダーという恋人がいたが、その恋仲は父に反対されていた。ハーミアの父は、ディミートリアスという別の青年と結婚するように促すが、ハーミアはこれを拒絶する。怒った父はアテネの掟に従い、親に逆らった娘を処刑することにする。ハーミアは恋人ライサンダーと共に駆け落ちし、アテネ近郊の森に逃亡する。そんな中、ハーミアの親友でライサンダーに想いを寄せていたヘラナは、二人の後を追って森に足を踏み入れる。森に逃げ込んだハーミアとライサンダーだが、妖精の媚薬によってライサンダーはハーミアの親友ヘレナを愛してしまう。妖精がもたらした媚薬によって、恋の相関図が狂ってしまったのだ。その後、若者たちのドタバタ喜劇が繰り返されるが、最終的には媚薬の魔法が解け、ハーミアとライサンダーは元の恋仲に戻り、ディーミトリアスとヘレナは相思相愛になった。ディーミトリアスはハーミアの父に娘ハーミアの処刑を取りやめて欲しいと懇願し、自身はヘレナを選んだことを告げた。こうして、若者たちは祝福され、幸せを手にしたのだった。


Shelk🦋

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