マークの大冒険 現代日本編 | 過去を引き摺りし者
「賭けてみても良いのかもしれない.....」
マークはこもった声色で呟いた。
「はっきりしねえな」
ホルスがぼやいた。
「分かった。行こう。あの日のローマに」
「そう来なくっちゃ!」
夜は微笑を浮かべた。
「それで、キミのお父さんは、どんな人なんだい?」
マークが夜に訊ねた。
「気になる?ママの相手が知りたいんでしょ?どんな人と結婚したのか」
「いや、別に......。ただ、瞳とは随分と長く会っていなかったから」
「パパは婿に入ったからね、だから私の名前は早川なの。めちゃくちゃカッコよくて、頭も良くて、完璧なパパよ。でも、ママを失ってから、おかしくなってしまった。パパはママが大好きだったから、耐えられなかった。だからパパを救うためにも、ママを助ける必要があるの」
「そうだったのか」
「パパの旧姓は、橘って言うんだけどね」
「橘?」
「聞き覚えがあるでしょ。当たり前よね、パパは教授の親友だったのだから。分かった?だから私はここに来たわけ」
「いや、それはない。橘は死んだ。自殺だった。優秀だったが、経済的に厳しい奨学金生だった。借金が重なって、それで......」
「失礼ね。パパは裕福な生まれよ」
「橘とは冥界で一度一緒になったが、ボクは彼を救い出せなかった。冥界と地上を繋ぐ最後の階段で、彼はボクを庇って後ろを振り向き、常闇に消えていった」
「いやいや、なら私がいないでしょ!」
「あり得ない。たぶん人違いだ」
「いや、あり得ないのは教授でしょ。じゃあ、私が幽霊だって言いたいわけ?」
「そういうわけじゃ......。だが、ボクの親友の橘は確かに死んだ。もうこの世にはいない。冥界を抜けたら、母校の時計台の下で待ち合わせようと約束したが、来なかった。第一、目の前で消えていくのを見た。だから、キミのお父さんとボクの親友だった橘は別人だ。キミの言う橘は、一体誰なんだ......」
「教授は記憶も喪失しちゃってるわけ?これも黄金の果実や指輪の影響?いや、喪失じゃない。これは改変か」
「......改変?」
🦋🦋🦋
10年前、エジプト、楽園イアル____。
「宝具を使っただろう?黄金の果実とアムラシュリングを。何の力も持たないキミが、無作為に特別な力を使ったんだ。大いなる力の前借り。その先にある未来は、恐ろしいぞ」
「記憶の代償か?」
「いや、そんなものじゃ済まされない。キミは最も大切にしているものを失うことになる」
To Be Continued...
Shelk🦋
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