後悔しないためのインディーゲーム・セルフマーケティング
はじめに
皆さん、ゲーム作ってますか?
個人や小規模で最終的に値段を付けて売るゲームを作っている場合に、不安になってくることと言えば「このゲーム売れるんかなあ…」があると思います。特に初めてSteamなどの大規模なプラットフォームでゲームを売ろうとしている場合はわからないことばかりです。
とは言っても個人でゲームを作っている場合、メンバー構成は概ねソロ、又は少人数でマーケティングにコストを割く余裕はないと思います。もちろんマーケティングに使えるお金もありません。
そんな開発者のためにSteamでPCゲームを販売するケースを例として、”後悔しない”ためにどのようなセルフマーケティングを実施すればいいのか、私なりに考えて、実践したことを下記に記していきたいと思います。
あくまで、”後悔しない”レベルですので数十万本売ったり、数百万本売るノウハウではないことにご留意ください。(個人・小規模の場合は数万本クラスの売上がコンスタントに出るようになれば充分派手に暮らしていけると思いますし、できればそこを目指して頑張っているところです)
私は221GAMES(プニヒゲームズ)という同人ゲームサークルで主に3DCGや宣伝等を担当している離水ひつじです。↓のようなゲームを作っています。同業者にウケても儲からないので宣伝はこれぐらいにしておきます。
マーケティングを始める前に
まず最初にマーケティングについてトライしていく前に、あなたはゲームを売ろうと思っているプラットフォームのことをどれだけ知っていますか?
Steamでゲームを売ると仮定した際に、もしSteamをインストールしたことがない、Steamでゲームを買ったことがない人がゲームを売ろうとしているなら、それはかなり危険な橋を渡ろうとしていると警告せざるを得ません。
どういったゲームがSteamでゲームをしてる層にウケているのか、どういった文化が根付いているのか、どういった行動が禁忌とされているのか、これらが何もわからない状態で商売を始めると、大体ろくでもないことになってしまいます。
まずはSteamで色んなゲームをたくさん買って、たくさん遊び、消費者として楽しんでみてください。そうすれば色んな事が見えてくるはずです。(私はかれこれ15年ほどSteamで暮らしているので、私にとってはSteamで商売することは地元で商売することと何ら変わりません)
貴方だけのパイオニアを見つけよう
あなたの作っているゲームは概ね何らかのジャンルに大別されると思います。そのジャンルで、あなたが作成しているゲームの品質と同じレベル帯と思えるゲームをSteamで探してみてください。見つけたらそのゲームを「SteamDB」で検索してみましょう。
SteamDBはSteamで発売されているゲームの情報や同接数、フォロワー数、売上本数の推測(他サイトからの引用)が確認できるwebサイトです。特に売上本数の推測はかなり的確であり、倍半分ぐらいの精度に収まる印象です。
つまり、あなたの目であなたと同じぐらいのレベルのゲームが実際どれぐらい売れたのかを把握することができます。これで、どの程度の予算や開発期間をかけていいかがある程度推察できます。(マルチプラットフォームを行っている場合は当然これらの数字より売上本数は跳ね上がります。switchなどの大手プラットフォームはDL本数を公開しないため見えなくなりますがそれでも何となく推測することは可能です)
更にそのゲームが日本製で、Google検索したらSteamサイト以外がヒットした場合は要注目です。その足跡こそがマーケティングを実施した例となります。プレスリリースが掲載されているメディア、動画を投稿しているインフルエンサー、出展したイベント等、内容含めてしっかりチェックしておきましょう。
海外製でも、海外のイベントや、メディアがヒットすると思います。かなり難易度は高くなりますが、英語力に自信がある、海外ウケしそうなジャンルの場合はアプローチをかけてみると良いと思います。
更に、同じジャンル以外にも同じ規模感でゲームを作っている人たちのマーケティングも参考になります。大成功した例はあまり参考にならないですが…
Steamでゲームを売ろうと思った場合、最初に行うのがSteamworksアカウントの作成、そしてSteamストアページの作成だと思います。
一番重要なことを教えます。Steamストアページを作ったタイミングがそのゲームの初出のタイミングです。ニュースバリューが一番高い状態です。
Steamストアページ公開というニュースは基本的に最大のニュースバリューを持ちます。つまり、あなたはマーケティングを始めた一番最初の瞬間で一番の大勝負をする羽目になります。ここでしくじると基本的には挽回できません。最大限の努力をしてゲームの魅力を伝えるPV、アセット、プレスを用意し、あらゆるメディアにプレスリリースを打ち、SNSでここにゲームがあると絶叫しましょう。ここが力の入れどころです。
どういうプレスリリースが良いかは、以前に初出のタイミングでウケたゲームを参考にすると良いと思います。
各アクションに対するニュースバリュー
本邦で特に売りたいPCゲームの認知度を上げる際にはメディア掲載が非常に重要となると私は考えています。ニュースバリューの個人的な順位付けは次の通りで
ストアページ公開(初出)>体験版公開≒イベント出展時の取材>発売日決定>発売
と考えています。ジャンルにもよりますが、体験版公開は大きく認知度を稼ぐチャンスです。チャンスを逃さないようにしましょう。
イベント出展の立ち回り方
ゲームが出来上がってきたら、イベントに出展して認知度を上げたくなってきます。ここで注意しなければいけないことは、「試遊展示単体の宣伝効果はとても低い」ということです。もちろん試遊展示でお客さんに楽しんでもらえることはとても嬉しいことですし、様々なフィードバックを得ることはできますが、認知度はほとんど稼ぐことができません。ではどうやって稼ぐのかというと「メディア取材」と「イベントに付随するSteamセール」となります。特にメディア取材はよほどゲームの出来がいい場合(その会場で一番出来がいいレベル)でないと取材は早々来ません。メディアの方々に”イベント開催前”に積極的にアピールしましょう。もちろんパブリッシャーを探している場合は特に積極的に自分からアプローチしたほうが良いです。
最近はイベント展示の際にSteamセールを開催してくれるところも増えています。「試遊展示単体の宣伝効果はとても低い」ことをこれでカバーできるほどの効果が出るイベントもあります。積極的に活用しましょう。
コンボを狙おう~マーケティングの重ね合わせ~
これらのマーケティングをうまく重ね合わせることができるなら、大きな効果を見込めます。この重ね合わせは発売時に狙うのが一番簡単で、プニヒローダー2での実例を挙げると
発売日決定プレスリリース(2週間前)
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youtube動画配信者による先行プレイ動画配信(1週間前~当日)
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プニヒローダー2発売
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発売プレスリリース
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広告出稿(当日から二日)
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indie live expo(配信イベント)出展
と重ね合わせることで事前に稼いでいたウィッシュリストから予想される伸び率を上回ることができました。(もともと大して稼げてはいなかったのでそれでも微々たるものでしたが、ディスカバリーキュー(Steamがこのゲーム買えってプレイヤーにお勧めしてくる謎の機能)を呼び寄せられる程度には流入を稼ぐことができました)
東京ゲームダンジョン6直前ということもあるので簡単ではありますがインディーゲームでのセルフマーケティングのTipsについて綴ってみました。好評だったら各項目の具体的な手法についてももう少し具体的に話をしてみたいと思います。ここまで読んでくださりありがとうございました。