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娘に贈る回顧録 41/7300  信じるということ

娘が大学に入り、行動範囲も交遊関係も広がった。
どの講義を取っていて、何を学んでいるのかも
細かなことは定かではない。

ほとんどの事を自分ひとりで決めてゆく。

朝はギリギリまで身支度に時間を使い、
ご飯も食べずに家を飛び出す。
夜は何時に帰るのか、バイトはあるのか、
サークルは行くのか?
夕飯はいるのか、いらないのか。
なにも言わずに出かける。

かろうじて、帰りの時間は
LINEしてくるけれども、すでに21時。

夏休みに実家に帰ったときに、そんな話をした。
母は
「心配かけないように、連絡はちゃんとしなさい」
妹は
「大学生なんてそんなもんだよ」
極めつけは甥っ子のひと言
「娘を信用していないんだね」

信用していないわけではない。
何かあったら心配でしょ?
行動を把握しておきたいのよ。と、私。

「それが信用していないってことじゃないかな」

何かがあった時に、
この子なら自分で考えて、解決出来る。
そもそも、親に心配をかけるような行動をしない。
自信と責任を持って生きているのだから、
大丈夫だと信じてあげたら?

その横で娘は大きく頷く。

どこまでも子離れが出来ていないのか。
心配をする事で、束縛していたのか。

それからも、最低限の連絡と報告だけで
自由に過ごす娘を遠目で見守る日々は続く。

ディズニーだ。ユニバだ。
そして3泊4日の海外旅行も楽しんできた。
チケットもホテルも自分で予約したらしい。

毎日楽しそうに過ごしていれば良しとしよう。

私の子育ての結果はどうなのか。
だいぶ回り道をしたけれど、
こころを砕いてきたけれど、
健康と幸せを願っているけれど。

母親としての自信が持てないから、
少しの後ろめたさが残っているから、
口を出さずにはいられないのだ。

私の娘は立派に育った。
親から離れても、生きていけるだけの
知恵と勇気を持っている。

子育ては大成功だった。

そんな風に思えたら良いのだけれど、
今日もまた、問いかける。
「何時に帰る?」
「お金は足りているの?」
「気をつけて行っていらっしゃい」

出かける背中に。

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