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異国の本屋はもっと異国|読書日記&スリランカ滞在記

「旅行先では絶対にスーパーに行きたい」という友達がいる。私の場合、旅行先で絶対に行きたい場所といえば本屋だ。
その土地のリアル文化に触れることが出来る気がするから。
それに、ただ本屋に行くってだけでも充分に旅みたいなものなのに旅先でわざわざ本屋に行くなんて、旅の中でさらに旅に出られるようなもので(?)つまり、かなり遠くへ行けるってこと。え、ライフハックじゃん。

先日のスリランカ旅行の時も、キャンディシティセンターというショッピングモールの中にある大きな書店に立ち寄った。ワクワクした気持ちで棚を眺める。
本の中で使われている言語は3種類のうちのどれかだ。

1つは「シンハラ語」
インド北部のアーリア系民族を先祖に持つシンハラ人の使う言葉で、国民の7割が使用している公用語だ。

2つ目が「タミル語」
インド南部のトラウィダ系民族を先祖に持つタミル人たちの言葉で、これも公用語である。約2割の人々が使用している。

そして3つ目が「英語」
英語はこの両民族の言葉を繋ぐ役割として用いられてきたとのことだが、スリランカの英語教育は日本よりもかなり水準が高いらしく、若い世代を中心にネイティブのように英語を扱える人も増えているようだ。

英語の書籍を扱う本棚は日本の大型書店にあるような洋書コーナーとさほど変わりないが、シンハラ語とタミル語の書籍が置いてあるエリアは圧巻の迫力を感じる。どちらの言語も何が書いているのかさっぱり分からない。
分からないんだけど、なんか只者じゃない妖しげな雰囲気があってめっちゃカッコいい。外国語の本あるあるでしょうか。
この興奮を分かち合いたくて、本好きの友達にもお土産で買うことにした。

さて、どれにしようか。タイトルは読めないので表紙を見た時のフィーリングで決めるしかないのだけど、ざっと棚を見渡して見て思った。
(表紙に脳みそが描かれている率、高くない?)
脳を活性化する方法が書かれているのだろうか。いや、それにしては壮大だ。
脳みそから後光が差してハスの花とか咲いてるもん。明らかに何かが目覚めている。悟り方とか書いてあるんですか。

購入した3冊

結果、脳みそ系の本2冊と日本人の生態について解説しているっぽい本の合計3冊購入した。3冊ともシンハラ語の本だ。夜、ホテルにて翻訳をかけながら読んでみた。

【1冊目:日本人の解説本(らしきもの)】
まえがきにスペインで出版された本をシンハラ語で翻訳したものです、と書いてあった。なんだスリランカの人が書いたわけじゃないのだね。
テーマは、日本人が健康で長寿である理由。
「ハラハチブンメ」を合言葉にしなさいとか、座りっぱなしは良くないとか、ラジオ体操という発明がすごいとか、そういった内容。あとは、「分散投資」をしなさいとか。それって日本関係あるのかしら。
あとは、「相田みつを」の詩が絶賛されていた。

幸せはいつも自分の心が決める。 みつを

流石に全世界に響いてしまうよね、この言葉は。

【2冊目:脳みそ系の本①(らしきもの)】
これは全くスピリチュアルな本ではなく、むしろ科学的な視野を広めるための本だった。
「精神疾患は悪魔によるものではありません」「処女ではない女性は性格が悪いというのは迷信です」「アルコール依存症は病気です」「セックスは子供を作るためだけのものではありません」
そんな内容の導入部分。長い文化によって培われた常識を変えるようとすることって伝える側も伝えられる側も大変だよね…って思う。すぐに「え〜そうだったんですねえ」とはなれないよ。
双方の根気と努力が積み重なって、少しずつ生きやすい社会が作られていくんだ。
基本に立ち返ったような気持ちになる。
多様性を武器に攻撃し合ってる日本のみんな〜〜〜、何が欲しくて戦ってたのか覚えてる〜〜?(煽)

【3冊目:脳みそ系の本②(らしきもの)】
これは哲学書や思想の本に近かった。人生の成功とは何なのかが書いている。
「人生は海、身体はボート、欲望は帆、愛はオール」だそうだ。あら、お上手だわ。
仏教の思想をベースにしつつ、現代のスリランカ社会で生きるために忘れないでいてほしいポイントなんかも書いてある。

魅力的なことを達成するための最も強力な秘密はただ時間をかけることです。
あなたがこれまでに達成してきたことはどれも時間を与えることで得られたものです。
これからの未来で受け取れるものも、あなたが時間をかけたものだけであると覚えていて下さい。

「サルボダヤ」カリ・カタルミカ

とのこと。いい言葉じゃん。
朝井リョウさんの小説にも同じようなことが書いてあったな。人類の叡智…。

以上、スリランカから持ち帰った3冊の本。
なぜ脳みそが表紙になりがちなのか、その謎は未だわからない。

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