第8回横浜トリエンナーレ( 2024年3⽉15⽇-6⽉9⽇)についての考察
第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」( 2024年3⽉15⽇-6⽉9⽇):横浜美術館他
先回に続き今回の横浜トリエンナーレにおいても、政治や社会問題に関連した内容の作品が多く展示されていたが、特に今回は、コンセプトとして提示された文章において、魯迅について言及しつつ、個人がそれらに対してどのように向き合うべきかということなどについて、ある程度具体的に触れていた。どの芸術祭においても、何らかのかたちでコンセプトなどに関する文章は提示されるが、今回の横浜トリエンナーレは、コンセプトに加えて、企画の特徴、章の解説(各展示エリアの集まりが章として定義されている)についてもある程度の具体的な内容の文章を提示し、それら文章を骨格として鑑賞することを観者に求めていたようであった。以下では、提示された文章と作品の関係性について、いくつかの作品を取り上ながら触れつつ、芸術祭全体についての考察を書きとめておきたい。
ここから先は
9,042字
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?