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配信でライブを観た2022①(ダウ90000/くるり)

ダウ90000第3回本公演「ずっと正月」(アーカイブ3/6まで)

昨年のM-1グランプリで準々決勝進出という記録も打ち立てた新進気鋭の劇団による第三回となる演劇作品の公演。服屋のショーウィンドウでバレンタインデーに向けた飾りつけが進む傍ら、8人の登場人物が価値観と偏見をぶつけ合って繰り広げるとある夜の群像劇。まずは少人数でのコント的なやり取りを積み上げながら、徐々に登場人物の交差点が増えていく構成とともに、とある恋の物語へと収斂していく。話のさばき方も見事だし、今回は画的な面白さにも手が伸びていて「Sweet7」的な小林賢太郎の影響を強く感じた。

スーパーマリオ64、かいけつゾロリ、ネプリーグ。固有名詞の引用もキレを増し、懐かしさとあるあるの応酬にはくすぐったい気持ちになる。知ってるカルチャーを通過しながら、こうして面白い戯曲の中に大粒で放り込める技量は蓮見翔の作家としてのポテンシャルを途轍もなく感じる。しかし何より、本筋に用意されたもどかしい恋の形が物凄く現代的なモチーフと今を生きる劇団なのだな、と。思い出に絡めとられながらもちゃんとちょっと一歩踏み出そうとしてる若者たちの姿は彼らの現在地とも重なってグッときた。

チケット検索結果|(チケットぴあ)-[ダウ90000] (pia.jp)




結成25周年記念公演「くるりの25回転」(アーカイブ3/6まで)

東京ガーデンシアターでのアニバーサリーライブ。独自セレクトな名曲をリリース順に披露するというくるりにしては珍しいオーソドックスな感慨に溢れたライブだった。「ランチ」〜「虹」というアルバム再現な流れ、「WORLD’S END SUPERNOVA」や「ジュビリー」を入れ込む直球さもあるが、同時に「窓」「惑星づくり」「The Veranda」というトリッキーな時間作りつつ、「東京」は省くという何癖もあるようなセトリは、実にくるりらしい。良い曲の中にも妙な要素があり、妙な曲の中にも確かな歌心がある。

ファンファンが抜けて以降は5人編成でライブを行ってきたが今回はサックスを含むホーンセクションに女性コーラス隊(1人はかつて「マジ歌選手権」のダイノジ大地パートでお馴染みのヒロコだった)をまじえたリッチな大所帯。マニュピレーターもおり、「ワンダーフォーゲル」のピコピコ音がライブで鳴っているのを初めて聴いたぞ。その音の無さもくるりのライブの一つの味だと思うがあったらあったでちゃんと嬉しい。たまにはマニュピレーター入りのライブも見てみたいぞ、と思った。肉体性は全く損なわれなかったし。

マリンバで丁寧に再現された「ばらの花」のイントロ、夏の大空のように伸びやかな「魔法のじゅうたん」のギターフレーズ、かわいらしく転がる音が楽しい「ふたつの世界」、くるりの楽曲の好きなポイントが1つ1つクリアに見えるライブの時間は勝手に楽しみどころを見つけられるから大好きだ。客席が映る場面でも、立ったり座ったり揺れたり爆踊りしたり、その味わい方はいつだって自由だとよく分かる。リスナーとのラフだけど堅い信頼を感じる場面も多く、こういうシーンが映されたのも周年ライブならではだった。

<setlist>
1.ランチ
2.虹
3.窓
4.惑星づくり
5.ばらの花
6.ワンダーフォーゲル
7.ワールズエンド・スーパーノヴァ
8.水中モーター
9.Morning Paper
10.ロックンロール
11.The Veranda
12.BIRTHDAY
13.ジュビリー
14.アナーキー・イン・ザ・ムジーク
15.さよならリグレット
16.pray
17.魔法のじゅうたん
18.everybody feels the same
19.o.A.o
20.loveless
21.There is (always light)
22.琥珀色の街、上海蟹の朝
23.ふたつの世界
24.How Can I Do
25.ソングライン
-encore-
26.心の中の悪魔
27.潮風のアリア


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