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2022年2月の色々(ヨーロッパ企画/ズーカラデル/ラブリーサマーちゃん/大須演芸場)

2.3 ヨーロッパ企画 第40回公演「九十九龍城」@名古屋市芸術創造センター

2年半ぶりの本公演。新メンバーとしてヨーロッパ企画発信の映像作品ではもうお馴染みの藤谷理子を迎えての初ツアー。とあるアジアの一角、建て増しにつぐ建て増しをつづける巨大なスラム街・九十九龍城を舞台にとある殺人事件の捜査が行われるという粗筋。今回は第20回公演「Windows5000」で用いられた、『遠隔地から建物の中を覗くシステム』をリブート。巨大な建物の中で暮らす人々の様子を観察するのが前半の主な流れ。刑事2人が野蛮な人々の振る舞いコメンタリーをつける独特な質感のコメディとして始まる。

しかし当然、焼き直しに終わるはずはない。観察者が建物の中に乗り込む、ここまでは「Windows5000」を踏襲しているがここから予想もつかない方向へとぶっ飛んでいき、これぞヨーロッパ企画!という跳躍を果たすのが醍醐味である。前半に散りばめられた少々空回りしている印象の笑いどころと、なんだか妙だなという小さな違和感の数々が最終的に猛烈な勢いで回収され、いったいどこにいたんだ、、??という気持ちにさせてくれる。SF的な展開は得意技だが、今回はかなり思いがけない角度から現れてきてくれた。

作品を観終わった後、元ネタとなった中国に実在した九龍城についても調べたのだけど、そこにひしめきあう暮らしの姿はひとつの時代を象徴しているようで妙なノスタルジーがあった。この作品も、思ってもいない方向に転がる話ではあるが、着地点はまさかの"どんな人にだっていくつもの可能性がある"というとてつもなくポジティブで地に足の着いたメッセージだった。妖怪だろうとUMAだろうとエスパーだろうと文房具だろうと、分け隔てなく愛おしさをもって描き続けた上田誠にしか辿り着けない境地だと思った。



2.19 ズーカラデル「JUMP ROPE MADNESS TOUR」@名古屋DIAMOND HALL

ズーカラデル、メジャーデビュー後初の全国ツアー。個人的には2020年2月、ライブが中止になる直前のスペシャ列伝ツアー以来。写真の通りのほぼ関係者席みたいな座席で観たのだけど、そんな場所にもダイレクト飛びこんでくる素晴らしきロックンロールショウだった。アルバム『JUMP ROPE FREAKS』の楽曲を全てに加え、過去の代表曲もたっぷり。全曲クライマックスみたいなテンションの歌ばかりだし、ずっと昂り続けてしまった。終わって時計を観ると開演から2時間45分(!)が過ぎている大ボリュームライブだ。

Coupleの永田涼司(Gt.)と元オトナモードの山本健太(Key.)を迎えた5人編成は今回初めて観たがこれが本当に素晴らしい!真ん中にある3ピースサウンドにぴったり寄り添い、ニューアルバムの再現性はもちろんのこと過去曲が見事なブラッシュアップを果たしていたのが良かった。鍵盤が軽快さを醸す「ビューティ」や「恋と退屈」、ツインギターが音色を広げていく「漂流劇団」や「友達の歌」といった新たな聴こえ方をする名曲たちが多かった。中でも「春風」は曲のポテンシャルを最大限に引き出していたと思う。

「どこでもいいから」のグルーヴィーさはこれまでにないジャム感があり、演奏にも興奮。また「アニー」の後に「シーラカンス」を配置することで、この曲のニューアンセムをしっかりと提示していた。合唱したかった。そして今作から分かりやすく表出した歌謡曲感を象徴する「稲妻」も終わりぎわの小品として抜群の役割を果たしていた。楽曲のバリエーションも限りなく広がり始め進化を感じる中、相変わらずMCは脊髄反射だけで喋り続ける鷲見こうた(Ba)がいて安心する。どんな大会場でもこのMCは捨てないでよ。

<setlist>
1. ジャンプロープフリークス
2.つまらない夜
3.恋と退屈
4.ビューティ
5.まちのひ
6.スタンドバイミー
7.ジャーニー
8.GHOST
9.どこでもいいから
10.若者たち
11.春風
12.ブギーバック
13.ノエル
14.トーチソング
15.友達のうた
16.ローリア
17.漂流劇団
18.ニュータウン
19.夜に
20.未来
21.アニー
22.シーラカンス
23.稲妻
-encore-
24.夢の恋人
25.友達のうた(やり直し)
26.TAPIOKA
27.ダンサーインザルーム


2.20 ラブリーサマーちゃん「THE THIRD SUMMER OF LOVELY SUMMER SONIC Tour 2021-2022」

久々の全国ツアー。2020年リリースの『THE THIRD SUMMER OF LOVE』のレコ発ということで第1部では本作を曲順通りに全て披露。いやはや音がすごい迫力!スタジアムロックの風格すら感じさせるスケールのどでかい曲が揃いぶみのこのアルバム、ライブの場でも拳を突き上げたくなる気持ちよさを開放してくれる。前日の大阪で喉を使い果たしたとのことでやや掠れ気味の歌声だったのだけど、それがむしろ生々しさとロック歌手感を高めていて格好良かった。「ヒーローズを歌って」の必殺感が素晴らしかった。

そしてライブ後半は自主企画「LOVERY SUMMER SONIC」を踏襲したフェスセトリ仕様。過去作から満遍なく披露され、ラブサマルーキーには嬉しい時間。声枯れの影響もあって、『THIRD〜』より前のウィスパーボイスでの歌唱。ありがたい。「202」のLo-Fi HipHop黎明サウンド、「ルミニセンス」が生む静謐な時間などは第一部と大きくギャップがあり、まるで別アーティストのようなライブだ。本編ラストは9分に及ぶシューゲイザーソング「天国はまだ遠い」。ノイズにひったひたになって昇天しかけた。

興味のままに作ってる曲たちを過去現在問わずに全放出してくれるのが凄く嬉しかったし、自由を謳歌しまくるステージングも痛快。彼氏をツアーに帯同させてドリンク作ってもらってるの、外タレ感あってめちゃくちゃ良いな、と思った。想像している以上に人間的魅力溢れるアーティストでこの面白さは現場でしか体験できないな、と。演奏中に水をグビ飲みするのはやくしまるえつこも同じだけど、ラブサマちゃんは2Lボトル。全体的に生命力溢れてるし、曲と表情が一致した感じがあって音楽に血が通った夜だった。

<setlist>
-第1部-
1. AH!
2.More Light
3.心ない人
4.I Told You A Lie
5.豆台風
6.LSC2000
7.ミレニアム
8.アトレーユ
9.サンタクロースにお願い
10.どうしたいの
11ヒーローズをうたって
-第2部-
12.202
13.PART TIME ROBOT
14.ファミリア
15.ルミニセンス
16.High And Dry(Radiohead)
17.天国はまだ遠い
18.僕らなら
-encore-
19.新曲
20.あなたは煙草 私はシャボン
22.青い瞬きの途中で



2.26 大須演芸場 よしもとライブ

12月、1月も行ったのだけど1日3公演も観たのはこの日が初めてだったのでここに。漫才ライブ2本とコーナーライブ1本。漫才ライブはDr.ハインリッヒを初めて生で観れて嬉しかった。1本目の幸さんの行ったディナーのネタ、引き込まれすぎてほとんど前衛演劇みたいだった。僕には見えたぞ、のびる店員が。福岡で山ほど観た令和ロマンも久々に観れて嬉しかった。旅行は去年のM-1でもかけてたけど、リアリティショーのネタは原石感がすごくてこりゃ磨いて今年の強ネタにするんじゃないかな、などと思ったり。

コーナーライブもとても良かった。配信で色々とコーナーを見てきたけどこういうオフラインのみのノリは中毒性ある。翠星チークダンスのキャラ立ちっぷりが良かった。ちろるはいくらなんでも周りの芸人に人気がありすぎだし、木佐はいくらなんでも引かせすぎていた。謎のですよノリ、カベポスター永見氏の振りかぶりスガキヤなど、雑な笑いが沢山あって良かった。そう、カベポ永見氏のピンネタを初めて観れて嬉しかった。大喜利の強さと、あの言い回しで成立させられる声の発色の良さ。あとスタイル良すぎ。

3公演通して9番街レトロをめちゃくちゃ好きになった。笠松将の雰囲気ある京極、平場ではボケを振りかぶり続けるなかむら、囲碁将棋とかとちょっと近いのかな、良いコンビだ。ネタの手数も凄い。叶姉妹がドンキホーテに行くネタ、何??今年は推していきたいと思う。ちなみにこの大須演芸場、「浅草キッド」の<客が1人の演芸場>だとされていて。映画を観た後だったので芸人グルーヴ満点だったし、令和喜多みなみがすごく浅草キッド的漫才しててグッときた。


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