2021.08.18 大パルコ人(4)マジロックオペラ 「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」 【Streaming+(配信)】
宮藤官九郎作・演出、村上虹郎、のん主演によるミュージカル作品。クドカンとのん a.k.a 能年玲奈が「あまちゃん」以来、8年ぶりに邂逅するという事態。もう正直、その物語性だけでもお金を払ってしまいたいような公演なのだが内容もとても面白かった。2055年の荒廃した渋谷を通し、どういうわけか2021年の世界に届いてしまう視線の数々。「誰とも話せない」「生きてるだけで超能力」といった台詞は劇中での意味とは別に、今この時間軸にもぶっ刺さていく。沸々とした現在進行形の苛立ちや、止まらぬ日々の分断をアウトサイダー扱いされる人々のアッセンブルとロックンロールで熱し、鼓舞し、昇華させていくという物語の構造もシンプルだがワクワクする。反体制という原色な意味合いを伴った"ロック”そして"パンク"への祈りもあった。
そこに抜擢されたのがのんというのもとてもしっくりくる。どういうわけかアウトサイダー扱いされ、どういうわけかエンターテイメントの世界から遠ざけられていた。そうして世の中が無視できない存在にまで地力で辿り着いたストーリーは飄々とした佇まいからは想像もできない泥臭さと"反体制"なイズムを感知できてしまう。3年前、のんのツアーに行った際の感想noteに「のんはNON」という言葉を用いたのだが、今回の作品の中で伝説のギタリスト「全否定」の孫として登場し、キャラクター名がそのまま「のん」であったことにグッときてしまった。言うなれば、大きなものに対峙する象徴ではないか。とびきりの変顔を見せ、いつにない衣装でダンスをこなしながらも、ギターを弾く姿にこそ最も彼女の本質が現れていて実に恰好良かった。
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