さようならSunset Live
30年以上の歴史を持ち、福岡の地に根付いてきた糸島が誇るフェスSunset Live。しかし今年でファイナルということで、初日のみだけどお別れを言うべく参加してきた。サーフカルチャーにもヒッピーカルチャーにも縁遠い私だけど、良い音楽の前でそんな防衛本能は関係なくなってしまうわけで。
私は2018年に初参加しすっかり虜になり、2019年は2日通し(Day1,Day2)で参加。コロナ禍を経て、久々の参加となったのだけどその魅力は全く変わらず、さらにファイナルということもあってか豪華な出演者に目を回しながら楽しめた1日だった。久しぶりにフェスの感想などを書いてみようと思う。
11:30-Palm St. muque
1番手は福岡のバンドから。程よい清涼感とアジテーションで幕開けに最適だった。福岡のバンドって一時期みんなこぞってシティポップ化してる時期があって心配になってたけど、muqueは完全にその先へと足を進めてブレイクスルーしたと思う。ギターロック的な気持ちよさと感傷を含む楽曲、Y2K的なセンスのデザイン/ビジュアル、そしてステージングも飛び跳ねる感じでとても華があった。しっかり全国区で結果を出しそうな予感がひしひし。
《setlist》
1.Dear,my friends
2.tape
3.456
4.Feelin'
5.ブルーライト
6.nevermind
7.my crash
8.Bite you
9.TIME
12:10-森のSt. 離婚伝説
1stを聴いた時から直感のようにサンセットの森のステージで観れたら最高だろうと思ってたのでタイムテーブルが出た時は大興奮だった。噂に違わぬとんでもない集客。「愛が一層メロウ」はとっくに大合唱、これは時代を掴みそう。良い演奏と良いアレンジでここまで真っ直ぐにJ-POPらしいメロディを歌われると本能的にときめくし、あとカラオケに行きたくなった。「メルヘンを捨てないで」の最後の超長いギターソロ、最高。ケレン味の塊。
《setlist》
1.あらわれないで
2.スパンコールの女
3.まるで天使さ
4.本日のおすすめ
5.愛が一層メロウ
6.萌
7.眩しい、眩しすぎる
8.メルヘンを捨てないで
13:10-Beach St. chelmico
この日唯一ビーチステージで観たアクト。灼熱にやられながら観た。2人もかなり過酷そうでフロアとステージがギリギリさを共有する強烈な盛り上がりだった。ポップアイコン的ハッピーさと、キメキメなラップの往来は更に磨きがかかっていて30分出番という尺を掌握しきってる貫禄さえあった。新作『ati natu EP』からの2曲が別ベクトルでchelmicoらしさを更新するような感じで楽しく、そして切なくもあった。もうすっかり夏の申し子だった。
《setlist》
リハ:爽健美茶のラップ
1.Player
2.Highlight
3.Watermelon
4.Sunburn
5.Disco
6.ISOGA♡PEACH
7.Easy Bleezy
炎天下にやられしばし食事テントでくたっとしていたらYONCEの歌声が聴こえてきた。Hedigan’s、音源で出てるのだとサチモスの引き継ぎ感が強かったけど新曲がどれも全然違うタイプで良かった。ロケンローな感じ、推せる。
14:50- 森のSt. 優河
完全初見ながら素晴らしすぎて仰天した。最新アルバム『Love Deluxe』のモードをたっぷり持ち込んでくれて、多彩なダンスに誘われた。そして歌の求心力たるや。吸い込まれそうだった。岡田拓郎や神谷殉平を擁する魔法バンドの実直な演奏も堪らない。そして優河本人は想像してるよりもかなりユーモラスな方で驚いた。裏でYONCEが出てる時間に「木々たちよ、、」って言ってて笑っちゃった。話し声も歌ってるみたいですっかり引き込まれた。
《setlist》
1.夏の窓
2.fifteen
3.夜になる
4.June
5.Sunset
6.Don’t Remember me
7.Petillant
8.泡になっても
9.灯火
15:55- Palm St. ハナレグミ
こんなにPalmステージが似合う人もいないと思う。「オアシス」とかヤシの木が見えるシチュエーションで聴くしかないし、少しずつ涼しくなる時間の「MY夢中」も絶品だった。今年でサンセットが最後なんでもしや「サヨナラCOLOR」チャンスでは?と思ってたのだけど、中盤でいきなりかまされてもうすっかりフィナーレの気分に。サヨナラから始まること、沢山あるって信じたい。染み入った体は「僕のBUDDY!!」がシャキッとさせてくれた。
《setlist》
1.Jamaica Song
2.オアシス
3.独自のLIFE
4.MY夢中
5.サヨナラCOLOR
6.僕のBUDDY!!
7.Peace Tree
8.明日天気になれ
17:25- Palm St. 中村佳穂
5年前のサンセットぶりに久々に観た。ドラム、シンセ、そしてコーラスが2人という圧倒的に“声”でグルーヴしていく凄まじい仕上がりのパフォーマンスになっていた。途中からはハナレグミも登場し、4声で攻め立てるとんでもないリッチさ。歌でどこまでも連れてく、という体現。最終的にはドラムの伊吹さんも歌っててもうわけわかんなかった。身体性の高い音楽、圧巻。
《setlist》
1.SHE’S GONE
2.GUM
3.アイミル
4.忘れっぽい天使 w/ハナレグミ
5.get back〜家族の風景 w/ハナレグミ
6.さよならクレール
8.NIA
そして夕間暮れ、大盛況のBeach St.でSTUTSとKID FRESINOによる「Presence I」が初めて福岡で鳴った瞬間に立ち会った。これが実現するとしたらSunset Liveしかあり得ないだろうと思っていたのでやっとだ!と。こういうことをできる場としてSunset Liveはあまりにも貴重だったな、、と改めて思った。
18:50- 森のSt. 竹原ピストル
足を運ぶとリハでブルーハーツの「青空」をやっていて、それに聴き入ってるうちに留まって急遽ラストアクトに選んだ。ライブは初めて観たけど、体が鳴ってるとかいう次元でなく体ごと飛んでくるみたいな声の迫力で撃ち抜かれた。アンコールでの「マイウェイ」が凄すぎてしばし放心。時に鋭く、時に頼もしく、やっぱり私はギターと歌が好きなんだなと強く実感した。
《setlist》
1.おーい!おーい!!
2.LIVE IN 和歌山
3.よー、そこの若いの
4.俺のアディダス
5.みんな〜、やってるか!
6.Amazing Grace
7.逃してあげよう
8.あ。っという間はあるさ
9.浅草キッド
10.落陽
11.カウント10
12.ドサ回り数え唄
13.啖呵
-encore-
14.マイウェイ
9月とは言えまだまだ暑く、かなりへばりそうになった瞬間もあり、もうそもそも野外の夏フェス自体が考えるべきタイミングなのかなと思いつつ、なんでこんなに野外フェスに惹かれるのかと言えばやはりこのSunset Liveのように、音楽を活かす素晴らしすぎる景観だったり、気温や汗さえも思い出になってしまう情緒だったり、そういうムードがあってこそ。1つフェスが失われるというのはそういう特別なムードも立ち消えてしまう寂しさがある。
しかし、トリに今回初出演だった竹原ピストルを選んだり、出演者の何人かもまた違う形での再会を口にしていたり、その先に希望を持てるようなファイナルだったことも確か。そしてこのフェスに感化された次の世代がまたバトンを繋いでくれる可能性だってある。イベンター発信でない独自のブッキングも含め、福岡の音楽シーンに必要なセンスがこのフェスには詰まっていると思う。だからこそ、どんな形であれいつかまた復活することを祈って。
【インスタのほうには動画もあります!】
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