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MCUフェーズ4 はじまりの4作を観た(ブラック・ウィドウ/ワンダヴィジョン/ファルコン&ウィンター・ソルジャー/ロキ)

コロナの影響もあって、とんでもない数の作品が今年に密集し始めてるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。劇場で観た1作とディズニープラスで配信中の3本のドラマについての感想をざざっと書き残しておく。


ブラック・ウィドウ

昨年のステイホーム期間(懐)にMCU映画を家で観たので、これが念願の"映画館でマーベルを観る"体験。そういうエキサイティングさを感じるにはあまりにもうってつけな爆裂アクション作品で、みんなこれを楽しみにしていたのだね、、!!となった。話としてはアベンジャーズの最古参メンバー・ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)のパーソナルにスポットを当てた内容なので、全体の流れからするとかなりスピンオフ性が強いし、サイドストーリーらしいサイドストーリーという感じ。故に、アベンジャーズの目を盗み暗躍する巨悪というスパイモノらしいヴィランの配置も出来たし、その残虐さと対峙するには壮絶な生い立ちを持つナターシャを主役に据える必要がある。自分の足で立ち、運命を切り開くことへの強いメッセージ。

スパイと疑似家族モノの相性が良いことはわかっていたけど、マーベル作品においてもそれが証明されていたのもグッときた。あの瞬間は本物だった、っていう思いさえあれば血筋などなくても、どれほどの陰謀があろうとも、それは強い結びつきを生むのだということ。様々な局面でこの関係性は勇気をくれると思う。「ストレンジャー・シングス」のホッパーさんが演じるレッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)がずっと愛おしいダメ親父で良かった。時代に押し流されたヒーローであるという悲哀を背負いつつ、ろくでもなさもちゃんとあるグッドなキャラ造形。そして妹・エレーナ(フローレンス・ピュー)、最高。皆好きになるのもわかる、あのリアクションの親しみやすさたるや。彼女の軽快なノリが今後シリーズにどんな影響をもたらすのか。ナターシャの人間味あふれるシーンの数々も噛み締め、次を思った。




ワンダヴィジョン

Disney +で配信された、映画の流れにも食い込んでくるドラマシリーズの第1弾。これどえらい面白さだったな、、、春先くらいに噂では聞いてたけど割とド級のフックが沢山ある作品なのにネタバレ踏まずに生きてこれたことを幸せに思う。シットコム作品をモチーフに、というか、撮影自体も一部にちゃんと観客を入れてやるという徹底っぷりで作られた序盤。その閉鎖的な雰囲気、どことなく不穏であり続けるコミカルさ、そしてエンドクレジットのハイファイさと、あらゆる部分が高次元で結びついていて超絶にワクワクさせられた。中盤以降、徐々にその世界の全貌が明らかになっていくわけだが、その解き明かし方も今まで観たことのないものになっていて、前例がなさすぎるのよ、という世界観だった。連続ドラマならではの惹きつけ方。

「エンドゲーム」でのワンダ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)のストーリーを踏まえると、そりゃあゲラゲラ笑えるものになるこたないだろうと思っていたけども、終盤は想像以上にグッと力を込めずにはいられないような流れだった。アベンジャーズの中でも繊細で不安定な一面が強調されがちなワンダと圧倒的に精緻で優しい人造人間ヴィジョンは対比の中で描かれ、その関係性にずっとキュンとなってしまうペアなわけだが、それぞれのその先をしっかりと描いてあったし、どんな願いももしかしたら届くかもしれない"マルチバース"の存在を祈りたくなるような内容だった。でもしかしほんとマーベル作品っていうのはどんな"不思議"も飲み込んじゃうんですね、まさか魔女まで組み込まれてたとは。最推しの脇役・ダーシー(カット・デニングス)の出番も多くてありがたかった。ベリーキュートです。



ファルコン&ウィンター・ソルジャー

Disney+のドラマシリーズ第2弾。僕らのキャプテン・アメリカ、その大切な友達2人が織り成すバディもの、という括りでは到底収まりきらない大義に満ちた作品だったと思う。象徴としての「キャプテンのシールド」を巡る中で、何を信じ、どう手段を取るのか、というテーマを高い精度で描き進めていた。歴史から葬り去られた黒人のキャプテン・アメリカの存在、そこに自身の位置を重ねるサム/ファルコン(アンソニー・マッキー)。過去の行いに苦しみ、今をどう生きるべきかを彷徨い続けるバッキー/ウィンターソルジャー(セバスチャン・スタン)。主役2人のみならず、期待感と不安に揺れる新キャプテン・アメリカ/ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)、連帯と共生への想いが暴走するカーリ・モーゲンソウ(エリン・ケリーマン)といった対立する人物たちにも、丁寧にその感情の揺れ動きが書き込まれていた。

最後のサムのスピーチをしっかりとこの現実にあるものとして考えることが出来るようになったのは、MCUシリーズが常に現実に肉薄しているからなのだろう。スピーチではなく、紛れもなくそこにいる人物に語りかけるという形で綴られたメッセージは強い訴求力があった。これからもきっと、大切なことを伝え、言い聞かせてくれるのだろう。一方、ナカジマ老人の仏壇にミニ仏が備えられていたり、アジアへの目線はマーベルをもってすら全く正確じゃないというのはウームとなってしまった。そこに行き着くにはもっと頑張ってかなきゃいかんってことですかね。そんな思いにもなったけど、まず第1話の最初の空中戦だけでもとんでもなくスリリングかつ爽快で、エンタメ性もたっぷり。これ、劇場映画として体験したかったなー、って思った。



ロキ

Disney+のドラマシリーズ第3弾。我が愛しのアベンジャーズ・雷神ソーの憎らしくもチャーミングな弟ロキ(トム・ヒドルストン)を主人公に配置したアンチ・ヒーロードラマ。「アベンジャーズ/エンドゲーム」のワンシーンの後に広がっていたあまりにも途方もない冒険譚で、これ1stシーズンで終わる?と思っていたらやっぱりシーズン2もあるみたい。マルチバースというややこしい存在はドクターストレンジとワンダが生み出しているものだと思っていたけど、ここにきてTVAなる時間軸管理事務局的な機関が登場してしまった。更に難解だし、インフィニティ―サーガでやってきたこととかも全部飲み込んじゃう新ルールすぎて、これはとんでもない一手を繰り出したな、、という感想に終始する。でもきっと10年くらいかけて回収するんでしょう。

全体のストーリーの運びも全く予想もつかない事態ばかりでかなり面白かった。全体的に「DARK」っぽい雰囲気を纏わせつつ、ある局面では「プリディスティネーション」を思い出さざるを得なかったり、時空を超える系の作品の中でもまだそんなところに空き部屋があったのか!的なアイデアがたくさん詰まっていてワクワクした。"ワニとしてのロキ"っていうパンチライン、素晴らしいと思う。なんか最後のほうに出てきたいかにも重要そうなアイツは本当に今後重要になってくるっぽくて、この辺りはコミックスへの無知識が惜しまれるところだなぁ。あと、「ミッドナイト・イン・パリ」では時空を旅する側だったオーウェン・ウィルソンが、同映画で"超えた先"側にいたトム・ヒドルストンを出迎える側の役になってたのもちょっと楽しかった。




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