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11/3 unBORDE LUCKY 7TH TOUR@福岡DRUM LOGOS (tofubeats 、ジェニーハイ、DADARAY、神聖かまってちゃん、TEAM SHACHI)

ワーナーミュージック内に、2010年に設立された音楽レーベルunBORDE。きゃりーぱみゅぱみゅ、WANIMA、高橋優、あいみょんなど、20組近くのジャンルレスなアーティストが所属するこのレーベルの設立7周年を記念した7都市ツアー。福岡公演にはタイトルに記載の5組が参加。2018年観たライブの中でも屈指のなんでもアリなメンツ。興奮のままにライブレポートを書き記したい。

17:00- ジェニーハイ
BSスカパー!「BAZOOKA!!!」内で結成された、ボーカル中嶋イッキュウ(tricot)、ギター&プロデュース川谷絵音(ゲスの極み乙女。/indigo la End)、ベースくっきー(野性爆弾)、キーボード新垣隆a.k.a.ガッキーから成る、外連味とステージ映えが凄いバンドで、楽曲は川谷絵音ワークスの中でも随一シンプルでキャッチー。本当は7月に山口のフェスで観るつもりだったけど、台風でなくなったので今日が待望だった(そもそもメンバーのスケジュールが合わないので、ライブ自体が少ない)。1曲目から、絵音→ガッキー→くっきー→イッキュウ→小藪に繋げるマイクリレーラップ「ジェニーハイのテーマ」でクールに幕開けしたのだけど、イッキュウのラップ中にもずっとくっきーが顔芸してて、内容が全く入ってこなかった。

MCに関しては終始誰もイニシアティブを取らないおかしな状態だったけど、演奏は緊張感もあってかとてもタイト。特に小藪さんの苦み走ったような顔(くっきー曰く「帝都大戦」の嶋田久作)でドラムを叩く姿、とてもカッコ良かった。しっとりした楽曲を中心にやりつつ、最後の曲フリではなわの「佐賀県」をグダグダとカバーし、SHACHIメンバーに止められるコントもしつつ、オープニングアクトなのに40分もやって終了。一体どうなっていくつもりなのか不明の道楽感がむしろ良かった。恐らく今日で一番の歓声を集めてた。あと、イッキュウのカンフーパジャマみたいな衣装が超可愛かった。

set list
1.ジェニーハイのテーマ
2.ランデブーに逃避行
3.強がりと弱虫
4.東京は雨
5.佐賀県
6.片目で異常に恋してる

17:55- DADARAY
2組続けて川谷絵音プロデュースのバンド(メンバーのえつこはジェニーハイでコーラスもしてた)。現在は絵音主催のレーベルに移っているので、実際はunBORDE所属じゃないのだけど、こちらもライブの本数が少ないバンドなので観れて良かった。サポートメンバーがindigo la Endの2人から変更になってて、ドラムはジェニーハイでもパーカッションを叩いてた川野栄里子、ギターはあいみょんでも弾いてるキタムラチカラ。以前観た時よりも直線的でソリッドに聴こえたのはこの2人の役割が大きいかも。

オーセンティックな歌姫像を徹底するREISの艶やかな声と、太くパワーあるえつこの声、この二線の交差はとても麗しく、休日課長のここぞで出てくる派手なベースプレイは特効のよう。ステージングで結構煽りを入れることが多いのだけど、そんなに要るかなぁって思う。確かにアッパーな曲もあるけど、フィジカルな興奮というよりは、もっと上品で高貴な音楽だと思うので。じっくりと噛み締めて聴きたい系。寂しげな美しさで統一された、短い持ち時間ながら魅力をしっかりプレゼンする選曲、きっと絵音Pの仕事なんだろうなぁ。彼のバンドはほとんどunBORDEから去ってしまったけど、間違いなく一時代の中心であり、残した功績の大きさを実感した。

set list
1.僕らのマイノリティ
2.少しでいいから殴らせて
3.誰かがキスをした
4.美しい仕打ち
5.東京Σ
6.イキツクシ

18:40- 神聖かまってちゃん
前2組の洒落た時間を大いにぶっ壊す、ノイズの濁流みたいなライブだった。高校の時、シーンのニューウェーブとして色々と騒がれていたし、「モテキ」での満島ひかりの熱唱とか、「劇場版神聖かまってちゃん」とか、テン年代初頭の過激派サブカルチャーの象徴だと僕は認識してて。ただ、次第に音源も追わなくなり、それっきりだったので、今回初めてライブを観ることに。もう10周年だし、それなりに大人になったと思ってたけど、あの頃想像してた通りのライブが展開されてて笑っちゃった。全然自分の動きや声をコントロールしようとしてない首謀者の子の傍若無人っぷりは、僕を高校の頃の気分に戻してくれた。「死にたい季節」なんてもう世代直撃すぎてね!

基本的にはドシャメシャでハードなのだけど、昨年リリースの「夕暮れの鳥」ではバンド名通りのホーリーな音像で包み込む一面もあり、着実に唯一無二な存在になっていたことが分かった。MCでは「7周年って中途半端じゃね?!」と全方面に悪態をつきまくってたけど、unBORDEの第一弾アーティストということもあってか、コール&レスポンスにこの日の出演者名を交えて行うなど、レーベル愛も全開で。狂気と愛嬌が爆音でごちゃまぜになった30分間だった。

set list
1.自分らしく
2.死にたい季節
3.夕暮れの鳥
4.Os-宇宙人
5.きっと良くなるさ
6.フロントメモリー

19:30- tofubeats
この日唯一のソロアーティスト、トラックメイカー兼DJだけど歌もめちゃくちゃ歌うという、異質なポジションを築き上げてきた男。こちらもライブは初見。パーティーの場にぴったりのハレなナンバーと、孤独と向き合ったような硬派なラップ曲をほぼ交互にプレイする、入門編にぴったりにセットリスト。「RUN」での性急な幕開けから、全編を自身で歌ったテンポ速めな「POSITIVE」、ストイックなループが高揚感を誘う「WHAT YOU GOT」ではエアベースも飛び出し、徐々にフロアも熱を帯びる。

森高千里をフィーチャーした「Don't Stop The Music」から、YOUNG JUJU(KYANDY TOWN)が客演した「LONELY NIGHTS」に繋げる振り幅を見せつつ、最新のヒットチューン「ふめつのこころ」へ。1番はtofu本人が歌い、2番では西野七瀬(乃木坂46)のボーカルトラックを使用した、ドラマ「電影少女」EDバージョン、そしてラストにはデュエットとして完成させるという、虚構をも現実と隣り合わせとみなして立体化させてきたネットジェネレーションな彼ならではの見せ方に大興奮。そして、イントロが鳴った瞬間からピークポイントな一大アンセム「水星」へ。ファン層もバラバラなこの日だけど、もはやテン年代のスタンダードナンバー。当然のような大合唱で、至上の多幸感だった。シメは熱唱の名バラード「RIVER」でチル。流れるようにデザインされた、完璧な独りクラブミュージックショウだった。

set list
1.RUN
2.POSITIVE
3.WHAT YOU GOT
4.Don’t Stop The Music
5.LONELY NIGHTS
6.ふめつのこころ
7.水星
8.RIVER

20:15- TEAM SHACHI
スターダストプロモーション所属の名古屋発のアイドルグループ、出演発表時の名はチームしゃちほこ、だったのだけど、2週間前のメンバー脱退を受けて改名。これで通算4本目のライブということで、かなり黎明期の現場に立ち会えたことになる。今回のリニューアルにより、ブラス隊(この日はサックスとトランペットの2名)をレギュラーとしてステージ上に配置し、楽曲面の強化と共にダンサー的な役割も加えてパワーアップを図っている様子。

1曲目の新曲はいきなり獰猛なロックチューン、その後もファストでパワフルな楽曲を立て続けにキメていく。チームしゃちほこのライブにはこれまでも何度か足を運んでいるけど、完全にこれワンマンの終盤の怒涛の流れだ、、となった。4時間以上スタンディングで観てるこちらのエネルギーをとことん消費させてくる、容赦がない。初期の楽曲も、ブラスアレンジを加えてよりフィジカルにクるナンバーに変貌していた。正直、かなりアウェーな状況だったけど、彼女たちはそもそも向かい風を推進力とするタイプ。本編が終わる頃にはその可愛さとタフネスに多くの新規客を獲得できていたのではないだろうか(事実、前列の男の子3人組は最初棒立ちだったけど、「BURNIBG FESTIVAL」では腕上がってた)。アンコールでは祭りをシメる律儀で丁寧なMCも。unBORDEの古株らしい堂々たるステージだった。

set list
1.ROSE FIGHTERS(新曲)
2.START
3.そこそこプレミアム
4.ザ・スターダストボウリング
5.BURNING FESTIVAL
6.DREAMER
-EN-
7.雨天決行

川谷絵音が首謀者を務める2バンド、ネット発で全国へと届いた2組、改名したてのローカルアイドルの計5組。文脈があるのかないのか繋がりが見えるのか見えないのか、そういう部分をもレーベルメイトという一言でまとめてしまえるのがこういうイベントの良いところ。タイプの異なる好きな音楽が集まると、1バンドごとにノリ方が違えるからとても楽しい。カオス大歓迎、予定調和はもういいかな、っていう時代が来てると思うので。来年の8周年もまた、違う組み合わせで8都市ツアーやってください。

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