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2024年上半期ベスト映画 トップ10

映画館に見に行く本数は減ってしまったけれども、配信などで食らいつくことができたと思う。結論をすぐ出さない、"揺らぎ"のある映画たちを10本。


10位 アメリカン・フィクション

本年のアカデミー賞作品賞ノミネート作。海外の作品を見始めたのはここ数年だけど、“真っ当”なものとして見てきた傑作にもこのコメディが刺そうしている目線があるのでは?と思わせるような毒と説得力があった。戯画化された正しげな配慮の行く末に待つ皮肉と悲哀。お前の視点はどこに?と問われる。


9位 もっと遠くへ行こう。

静かなテイストながらずっしりとしたSF映画。予想外の角度から急に展開が訪れるので声が出た。「ブルーバレンタイン」とか、それこそ「花束みたいな恋をした」にあった親密な関係性の荒廃をこんな風に描けるのか。


8位 みなに幸あれ

土着的な最悪因習と嫌な地方の空気を結びつけ、小さなイエと大きな世界の利己主義を地続きに描いた周到な社会派ホラー。メタファーとしての不快要素も秀逸だが、もっと根源的に人間の精神構造を暴いているようにも思う。



7位 哀れなるものたち

我が子にもいつか偶発的に再生ボタンを押してほしい映画だった。R18なのが惜しい。若人にこそ観て欲しいギラついたエナジー。プリンセスが自分として生きる喜びを謳歌する寓話。今、Disney+で観れる事実を讃えたい。


6位 悪は存在しない

余韻を許さないという余韻の映画。不快感を煽る対立の緊張感、その緩みから交流が生まれそうになる温かみ、でもそういうことじゃないと制御不能なこの世界が囁いてくる。簡単に“しっくり来て”たまるかという不気味さだ。



5位 カラオケ行こ!

これは思春期の少年がヤクザと繰り広げる「となりのトトロ」だと思う。いつの間にか未知の世界に触れ、イニシエーションを果たし、そして“夢だけど夢じゃなかった”!へと辿り着く、不思議な出会い。巻き戻せない青春の時間と、郷愁を誘うナイーブさ。やっぱり山下敦弘は歌を撮らせたら最上級だ。


4位 オッペンハイマー

ルーツ、学舎、政治思想、2人の女性、家族、兵器。様々な対象を前にオッペンハイマーは”分裂”し、物語を推進する。これを受容して良いのか、しかし不誠実なわけでは、と私もやはり分裂する。徹底して分裂の映画だ。



3位 ボーはおそれている

守られすぎた子供は現実の侵襲性にやられ続ける。支配的な母子密着はその破綻がそのまま世界秩序の崩壊へ結びつく。”おそれ“だらけの現実に放り出される恐怖を一切途切れることなく描いていた。悪夢じゃなく、ただ現実。


2位 ミッシング

決着がつかず悲しみきることもできない“あいまいな喪失”にどう向き合うか。画面上の悪意、遮音される叫び、埋まらない温度差といった隔たりを描いた先に受容はあるのか。画一的な救いなど蹴散らしていくタフな祈り。



1位 異人たち

親でもあり子でもある、という状態が折り重なっている今、両親にもアダムにも感情が入り込みすぎてしまい交流のシーンは全て泣き腫らしてしまった。どんな風に親として子を思っていけるか、どんな風に子として親を眼差すのか。映画を通して擬似的に幼児退行しながら、ひとりの自分を想った。


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