2021年5月の色々(北九州未来創造芸術祭/ゲスの極み乙女。/アキナ×天竺鼠/野澤輸出のお笑い大喜利)
北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs
北九州八幡東区にて開催された芸術祭。SDGsに関してはまぁ思うところ色々なくはないけれど、アートフェスティバルとして見ごたえ充分だったのでひととおり振り返っていきたい。会場は全てかつて栄華を誇ったスペースワールド駅の周辺。過去と未来が交差するような立地も含めてすごく良かった。
駅から降りると巨大な野菜と果物のバルーンが出迎えてくれる。写真だとずっしりした感じだけど、近くで見るとゆらゆら揺れて随分とかわいい。
まずは東田大通り公園。柴田英昭による「淀川テクニック」の作品。北九州の相島の海辺で拾ったゴミを組み合わせて召喚された絶滅鳥のドードー。アイデアは自由工作っぽさあるけど、じっくり見ると作り込みが凄まじい。
くちばしはブイだろうし、ボディにはその骨格に沿って様々な形状の容器やごみが張り巡らされている。子供心をくすぐられるような造形美だった。
トップ写真は、同様に作られたフクロオオカミ。こちらも絶滅した動物。これは口の中とかも面白く見れる。歯はライターとかルアー、しずかちゃんのフィギュアもある。そして喉に刺さっているのは「トイストーリー3」のラスボスであるロッツォのパペット。彼の去就を思うと毒が効いた配置である。
奥中章人による作品はSFめいた楕円型のバルーンが3つ。風の流れに応じてゆらめく姿は生命体のようだった。光を取り込み、多層的な色味を醸し出す様も実にドリーミーだ。中に入れる構造のようだったけど、暑そうで断念。
背が低すぎたため全貌は取れなかったけど、これは団塚栄喜氏による「ハーブマン」。公園に原生する植物を用いて、人体型に配置。体に効く薬草をそれぞれ効く部位に配置しているという非常に教育的なアートだtt
小さいハーブマンもテーブルに埋め込まれていた。
ハーブマンは結婚している。
北九州市立いのちのたび博物館では落合陽一氏による作品が展示。「環世界の遠近法 ー時間と空間、計算機自然と芸術ー」と名付けられた本作は落合氏の視点で博物館の収容物に新たな意味を付加し、自然界が生み出す不可思議な法則性を見つめるという試みだった。ブルーのライティングに透かされた標本たちや、イルカの骨格の周囲を回転するスクリーンに映し出された様々な生命の躍動。全てがどこかで自分と繋がっているような心地になる。
最後は「北九州イノベーションギャラリー」。「ずっと真夜中でいいのに。」のライブバンドメンバーとしてもお馴染みのOpen Reel Ensemble・和田永氏が開発したブラウン管テレビドラムや、バーコード×スケートボードなど珍妙な楽器をたくさん見ることができた。既に知っているカルチャーがこういう形でクローズアップされることの面白さというのもある。
ライゾマティックスによるロボットアーム影絵など、ディストピアを感じさせる展示もあれば、3Dプリンターによってつくられた土壌にコケを生やすテクノロジックなアートもあり、想像力を刺激され続ける作品ばかりだった。
5.22 「ゲスの極み乙女。をもう一度」@福岡市民会館
昨年のアルバムツアーを一旦リセットしての再ツアー。福岡公演は2年半ぶりということで歓迎ムードが凄まじく、静かな待ち時間にも期待感が滲む。個人的には初めてのゲスワンマンだったけど、「O.I.A」のremixを背に巨大なマスク型のバックドロップが上がり、4人がポーズを決めて登場するオープニングには彼らが世に出てきた時のケレン味を思い出し懐かしくなったし、いい意味でその見せ方はあまり変えないまま音楽性を尖らせてきたんだな、と。
アルバム『ストリーミング、CD、レコード』のレコ発としての意味合いのみならず、オールタイムベスト的セットリストが組まれたこのツアー。心地よいビートが支配し続けるライブで爆踊りするしかなかった。曲間がどれも自然で、ヒット曲もアルバム曲も等しくダンス快楽のために用いられる贅沢な時間だった。去年の配信ライブですごく好きだった「綺麗になって~」から「両成敗でいいじゃない」の繋ぎを現場で聴けて嬉しかった。配信ライブで培われたものがちゃんとこういう場で機能しているのを観ると興奮する。
上品なサウンドでありながら、程よく汚しの入った楽曲たちはしっかりとホールに馴染んでいて、元からこういう場で鳴るべき音楽だったんだな、と。彼らにとっては現場ライブは2021年まだ3回目だったり、翌日の倉敷公演も飛んでたりもしていたのでライブ自体への尊さを伝える言葉が多かったし、バンドの演奏とともにその音楽の届け方に円熟味を感じる場面が多かった。もっともっと、カテゴライズできない謎のバンドに変容してって欲しい。
5.27 アキナとネタライブ(ゲスト:天竺鼠)
アキナの新ネタ4本とゲストによるネタが交互に観れる定例ライブ。ソールドアウト公演を最前列ど真ん中で観る贅沢さったらなかった。アキナのネタはコント4本。M-1の傷はまだ癒えずか、、とか言いたくなるけどもうキングオブコントに照準を合わせてるんでしょう。どのネタも、単純なボケとツッコミに終始することのない絶妙な間と意地悪さに満ちていた。山名は様々な形で追い詰められ苦悩し、秋山は心の読めない人物として山名を奇妙な世界へ誘っていた。2本目の「特にエピソードないのに担任を尋ねてきた卒業生」のネタがすごく好きだった。あの感じを長くし続けるしつこさが最高だ。
そして天竺鼠。「花束みたいな恋をした」での引用を観てからというものの早く生で観たかったわけだが、本当に頭が痛くなるようなネタばかりでやはりどうかしている、という思いを強めるばかりだった。理解を拒み続ける存在。1本目はテレビでも観た事のある、首を骨折した川原のネタだったがライブではラストがお客さんに話しかける構成だったとは。2本目は前衛芸術すぎて何も分からなかったが、音ネタとも言えるかもしれない。3本目は「有田Pおもてなす」でやってた"普通のことしか言わない漫才"でまさかこれを本ネタにしてるとは思わなかった。何といっても全てを奪い去っていたラスト4本目は、アキナが4本目にやったネタをまるごとカバーする奇行を見せてくれた。イジってる、にしては負荷のかかりすぎる試みだし、マジでなんであれをやったんだという謎しか残らない。こういう笑いを、もっと求めている。
5.30 野澤輸出のお笑い大喜利~お笑い無観客お笑いオンライン~
ダイヤモンドの野澤輸出が主宰する大喜利ライブ。2月の公演を配信で観て以来、頭から離れなかったイベントで今回は無観客有料オンラインライブとして開催。メンバーは野澤に加えて前回同様、高比良くるま(令和ロマン)、加納愛子(Aマッソ)、檜原洋平(ママタルト)、川北茂澄(真空ジェシカ)。不思議なゾーンにずっと入っているイベントなので観ててくらくらしてくるのだけど、だんだんとフリップがめくれる瞬間を渇望してしまうようになる。他の大喜利と異なるのは、そこに書かれているのがおよそお題の言うことを聞かなかったり、全く無関係の言葉だったりする、という点。完全にフリースタイルかと言われれば、そうでもない気がする。この雲を掴むようなぼんやりとした枠組みが、心地よささえ生んでいく。無観客だからこその自由度で言うと、野澤とくるまが普通に客席で回答を始めたところですかね。お気に入りの頻出ワードは「地獄弁当」と「果物たけし人間」でした。次回も期待。
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