2024年上半期ベストアルバム トップ10
アルバム編、今回の10枚は結構新鮮な顔ぶれになっているのではないだろうか。何度目かの新たなものを求めるターム。それでいて、常に安心感をくれるものも同時に愛したいターム。これですね
10位 グソクムズ『ハロー!グッドモーニング』
振り幅も円熟味もフレッシュさとはかけ離れた充実のメジャー1stアルバム。各曲ごとのフォークとロックンロールとダンスビートの切替が絶妙で、それぞれのキャラは濃いのにつるんと聴けてしまう。もはや良い歌を追究しているバンド形態の音楽、というだけで好感を持ててしまうし、こういうバンドが長く続いてくれる音楽シーンであって欲しいと願う。即席の消費、嫌。
9位 おとぎ話『HELL』
13枚目のフルアルバム。念願の野音ライブを台風に吹き飛ばされたその先、こんなにも澄んだ音楽が雲間から現れるとは。“中年の悲哀”とは全く無関係に、ここまで真っ直ぐにキュンとなる曲を書いてしまえるのは有馬和樹の天性のフェアリーらしさゆえか。しかし題通りのダークさも随所にあり、開き直り感も痛快。地獄だからこそ輝く愛と信頼のアレコレ。
8位 valknee『Ordinary』
基本的には“歌”が大好きな音楽リスナーなのでラップミュージックはカッコいいと思うけどめちゃくちゃ好き!の域まではなかなか達しづらい。しかしこの作品はガシっと掴まれた。バリエーションの豊富なトラックと可愛げとけだるさを帯びた歌声の魅力が全開。"心にギャルを~"的な言説には全然ノレないけど、valkneeを口ずさんでちょっと強気になれる気分は分かるかも。
7位 ズーカラデル『太陽歩行』
メジャー3rdアルバム。突飛な一手もなく着実に積み上げてきた一歩の連なり、と言うべき16曲。笑ってるようで泣いてるし、ずっと考えこんでるようでアッケラカンとしている。毎日同じじゃいられんし、すぱすぱ答えを出せるわけない。そんな僕らの中間で揺れる感情はそのままに、音楽を口ずさめば今より少し自由に。誰も見放すことのないはぐれもののメロディ。
6位 橋本絵莉子『街よ街よ』
チャットモンチー完結後、ソロ2作目。歌声の純真さと、歌われる言葉の鋭さに揺さぶられる。正しさや間違い、過去と未来、生と死を曖昧なまま抱えておける慈愛に満ちた歌に痺れる。
5位 Dos Monos『Dos Atomos』
ヒップホップとはかくも自由な音楽表現なのか、、ぶっ飛んでしまった。何度も「お、次の曲になった?」と思って確認したらまだ同じ曲、ということを繰り返してしまう異様な目まぐるしさ。ネットミームもタフなアジテーションも混ぜこぜになって、言葉も音も絶えず連鎖反応を起こし続ける。ロートーンで理論を突き刺す荘子it、獰猛にトラックに食らう没、ナチュラルに相手を煽り続けるTaiTan、この3voxが令和のミクスチャーを更新しきった。
4位 yonige『Empire』
ギターロックをもう1度語り直すために必要なのはこの"滑らかさ"なのだと思う。平熱なのに劇的な歌唱も素晴らしい。何かが終わりかける瞬間やその後の残渣を捉えた言葉が胸を打ち鳴らす。
3位 Base Ball Bear『天使だったじゃないか』
常に次を見据えてきたバンドが初めて振り返った淡い過去の景色。原点の更に奥に眠っていたルーツを掘り起こし、今のサウンドで形作った新しいノスタルジア。生活は続く。人生は続く。
2位 Tempalay『((ika))』
19曲71分の猥雑で耽美な幻想譚。全てが誰かの見てる夢みたいでいて、今ここにある現実そのものみたいでもある。生死の境をふわふわ漂いながら、輪廻の渦でゆらゆら踊るサイケデリアだ。
1位 MONO NO AWARE『ザ・ビュッフェ』
シングル曲によって上がり切った期待を飄々を超えてくる大傑作。ユーモラスなのに切ない持ち味を存分に堪能できる。30歳、同世代最高峰の詩人による“この人生を食べ尽くせるか”の逡巡。
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