マハーバーラタ/5-23.ドゥルヨーダナの伝言
5-23.ドゥルヨーダナの伝言
ウルーカはドゥルヨーダナからの伝言を運ぶ為にパーンダヴァ達のキャンプへ行った。
彼はユディシュティラに話した。
「私はシャクニの息子ウルーカ。
ドゥルヨーダナの伝言を運んできました。その前に私を傷つけないことを約束してください」
「ご心配なく。そんなことはしません」
「分かりました。では預かってきた伝言を話しましょう。
ユディシュティラ、あのサイコロゲームであなたが奴隷となった時のことを覚えているかい?
あなたの妻が髪を引っ張られて会場に引きずり込まれた。
最愛の妻があんな風に侮辱されているのを黙って許す、それが真の男なのかい?
私達に挑む勇気なんて持っていないんだ。
それなのにまるで自分が偉大であるかのように話している。
みすぼらしい格好で森の中で12年間も過ごし、ヴィラータの宮廷で1年間召使いとして過ごしたあなたがです。
偽善は捨てなさい。
ダルマを口実にして臆病を隠しているんだろう?
男らしく、真のクシャットリヤとして私を戦いなさい。
だが、我が軍を甘く見ない方がいい。死ぬ覚悟をしてから来るんだな。
ビーマ、聞いているかい?
あなたは我が弟ドゥッシャーサナの血を飲むなどという誓いを立てた。
できるものならやってみなさい。
だが覚えておくのだ。
料理のしゃもじを振るうのと、鎚矛を振るうのは全く別物だぞ。
料理用の肉を切り分けるのは得意かもしれないね。
私の弟の心臓をどんな風に切り分けようとしているのか見せてみろ!
アルジュナ、知っているぞ。あなたは男ですらない。
踊ったり歌ったりしてヴィラータの宮廷で過ごしていたんだってな。
そんな奴がどうすればラーデーヤを殺すなどということができるんだろうね。ほら吹きではないと言うなら、どうぞそれを見せてくれ」
ナクラ、サハデーヴァ、愉快な小さき双子よ。
お母さんのお気に入りの子供達よ。ヴィラータの宮廷にいた時の姿がお似合いだ。牛と馬の世話以外の特技なんてないんだろう? そのあなた達が私の伯父シャクニと息子のウルーカを殺すんだってな。笑ってしまうよ」
クリシュナ、手品師よ。
先日あなたが披露した手品で私達が感動したなんて思うじゃないぞ。
全然面白くなかった。
だが、あなたは勇気のある言葉を話していたね。
ビーマとアルジュナの協力で全世界を滅ぼすと言ったね。どうぞやって見せなさい!
ここはあなたが笛と踊りでゴーピー達の心を奪ったヴリンダーヴァナではない。ここに集まっている全員が男だ。
あなたの名声が四方八方に行き渡っていたって、我が軍には何の影響もないんだ。
あなたの言葉が真実となるのか、あなたの勇敢さがどれほどであるのか、見てみたいものだ!」
パーンダヴァ達は新たに燃え上がった炎のように立ち上がった。
しかし、あまりの怒りのせいでなんと言えばよいか、言葉が見つからなかった。ビーマは目の前のウルーカを殺してしまいそうな目で睨んだ。
クリシュナはビーマに微笑んだ。
「ビーマ、放っておきなさい。今の彼はただの使者です。彼を傷付けてあなたの兄の約束を破ってはならない」
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