BtoBマーケティングを再定義・再認識する(来場者・聴講者視点)
弊社も出展していた第5回マーケティングWeek大阪2024 ですが、無料で聴ける(太っ腹!)セミナーも豪華でした。
弊社のサービスはBtoB,BtoC問わずお使い頂けますが、弊社自体はBtoB事業者であり関心の高いセッション:高広氏の「BtoBマーケティングの原理原則」を一聴講者として参加してきました。
前回、こちらにも記載しましたがBtoBマーケティングの中でも、展示会出展は「イベントマーケティング」というカテゴリーに含まれますが、イベント出展の意味は単に「商談数」や「獲得リード数」といったKPI指標だけじゃないよね、という思いがありました。よく、セミナーやウェビナーで(自戒を込めて)「BtoBマーケティング特に製造業の場合は展示会が主流」という常套句を使ったり聞いたりするわけですが、主語が大きいなぁ、とは常々思うところはありました。
もう1つ、私自身大きな違和感があったのが巷でいう「営業とマーケの不仲説」です。主にマーケティング支援会社やツールベンダーがよくセミナーやホワイトペーパーで出てくるこのキーワードですが、要約すると
「営業はマーケが獲得したリードを追わない、マーケは営業の数字目標を理解していない(からこんなパスを出してくる)」という話ですが、2016年から関西を中心に営業・提案活動していますが「ほとんど聞かない」わけです。そう、言うなれば「都市伝説」のような・・・。
一方で、情報過多な時代、成功事例も失敗事例も比較的簡単に手に入る世の中ですが多くの事業会社の方は「いや、うち遅れているんで…」とどこか自信なさげで「うちはマーケティングがイケてるんで!」という会社が少ない、何故こんなにも「遅れている」という錯覚が起きているんだとツールベンダーがながら疑問に思うことが多々ありました。
既に多くの方が「マーケティングオートメーション」を知っている、聞いたことがある状況かとは思いますが、オートメーションをしてくれるのは履歴の統合であったり、関心度の算出(スコアリング)、内外のアクションです。いづれにしても、履歴のネタでもあり、履歴を促すにも「コンテンツ」が必要な事は周知の事実です。
西日本でも多くの企業が、コロナ禍でのデジタルシフトが実現され、その速さは目を見張るものがあり、それは間違いなく「素地」があったからです。にもかかわらず、「遅れている」という思い込みは違うのになぁ、と疑問に思っていました。多くのBtoBマーケティング担当者、支援会社も実は長年もやもやした所があったんじゃないかと思います。
で、今回の高広さんのセッションでその疑問が解消されたわけです。
ここまできちんと言語化された説明が少ないのは、一種のコンプレックス商材としてのマーケティングが消費されていたんじゃないかな、と。特に、「海外と比べて遅れている感」で業界的に煽っていたんじゃないかと良い振り返りのきっかけになりました。
結論を書くと、まず海外と比べて日本のマーケティングが欧米と比べて遅れているわけではないと言えます。これも周知の事実ですが、まだまだ日本には「マーケティング部」がない企業も多く、「うちにはマーケティング部門がない≒遅れている」という誤認に拍車がかかってている気がします。高広氏の講演内容を一部お借りしていうならば、
・日本の営業組織には、マーケティングや販促の機能がずっとあるんや。
です。
海外のSalesと比べ、先ず以て日本の営業はカバレッジが広い、と。加えてマーケティング部がなくても、営業企画・営業推進部門があり、これら営業の為のマーケティング、は今も昔も存在しているわけです。これは全くその通りで、特に西日本を担当している身からするとマーケティングオートメーションの運用は営業や営業企画・推進が行っているケースの方が多いわけです。遅れているどころか、皆さん大好きなコトラー氏でいうところのSales&Marketingの成熟度でいうと3-4段階(整合および統合)、つまり営業とマーケティングが対立が少なく協働の文化の域に達していると。
良い悪い優れている劣っている話ではなく、そもそも日本には営業から始まり、それを支えるファンクションとして営業に寄り添った営業推進/営業企画が存在しているわけですから協働の文化は根付いているわけです。むしろ、見方によっては遅れているどころか進んでいるのでは・・・。目から鱗で大きく頷いている方が多数いました。
先ほど、Salesと営業の役割・カバレッジが異なる事に触れましたが、同様にいわゆる販促活動~アフタフォローまでのラインを考えた際、「足りていない」要素もあります。ここがまさに長年感じていた違和感、B2Bマーケティングって主語大きいよなぁの正体であり、「最新」の手法と言いながら「枝葉」感がぬぐえなかった所だと思います。つまり、
BtoBマーケティング
↳セールス・マーケティング
↳フィールドマーケ、イベントマーケ、リージェネ/ナーチャリング、
バーティカルマーケ、ABM
↳Other(セールスマーケ以外のマーケティング)
テクノロジーの有無はあれど、日系企業でもいわゆるABMの要素(カバレッジ、タッチポイント)は営業・営業推進の立場で20年以上前から営業現場で行っている企業も存在します。一方で上記Otherに含まれるブランディングや、プロダクトマーケ、カスタマーマーケの機能は足りていない企業は現在も多く、残念なことによりセールス・マーケティング機能にのみベクトルがいっていない企業も多いのではないでしょうか。
セッションはより実践的な内容と示唆も多く含まれていたのでどこかの機会で高広氏のお話を聞ける方は是非現場で聴いていただければと思いますが個人的に刺さったのは、同氏が著名な外資系企業での勤務経験(および協業)があるにも関わらず染まるのではなくて、4象限(+1)で整理されていて、日本と欧米共通項(ここが+1)、日本型のスタイル慣習文化を維持すること、捨てること、欧米型のスタイル慣習文化を吸収すること、無視すること(笑)、この考え方は素敵だなと思いました。きっとこの「無視する」がキチンとできていたらこれ程までに「欧米と〇年遅れている」という卑下することなくいられるんだと思いました。
例え概念として優れていても、自社に合わないスタイルを無理やり合わせたとしても歪がでます。昨今、専門化という名の分業化が進む業態も多いですが、自社だけでなく、顧客目線でのビジネス眼(セッション内ではバイヤーイネーブルメント)が弱いのが日本の特徴なのかとも感じました。
尚、本セッションで使われた営業とSalesの違いや、バイヤーイネーブルメント等の詳しい内容は以下で学ぶことができます。
切り口は異なりますが、特にデジタルマーケティング全盛の今、KPIに振り回されて振り返りができておらず「何か新しい、最新のマーケティング」を追いかける事に疲弊している現状から脱却する為に2024年夏 MarkeZineDayで登壇した記事もありますので、お暇があれば参考までに御笑覧ください。