【オナワザ】#4 甘口カレーは別料理
カレーは甘口派です。
そう声を大にして言いたい。
なぜわざわざ「声を大にして」などと修飾したかというと、「甘口」に対する迫害がイデオロギーとしてこの国に存在するためです。
そして今日はそのイデオロギーを根絶やしにするため投じる一石としてここに書きつづります。
まずはイデオロギーについて。
よく友人たちで集まってカレーを作る際にでも、恋人がカレーを振る舞う支度をする際にでも「カレーは何口?」という質問が生まれます。
その際に「甘口」と答えると聞き手は「え?」と半笑いで聞き返すのが常です。
それは明らかに人を見下した視線。
自分より弱いものを見て、あざわらい、さげすむ表情に他なりません。
これは何のヒエラルキーなのでしょうか?
それは「辛いものを食べられる方が偉い」というヒエラルキーです。
「どうだ、俺はこんなに辛いものを平気で食べられるんだ」
「こんなの辛くも何ともない」
「辛いのがいいんじゃないか」
そんな風にこのヒエラルキーの上位者たちは得意げに語ります。
おそらくこれは仏教的な思想にねざす考え方です。
苦行をすることで悟りの境地へ近づく、故に苦しいことを重ねるべきという考え方。
ただ、ここでおかしなことに気がつきませんか?
それは「辛い(つらい)」と「辛い(からい)」が混同されているということです。
「辛い(つらい)」は先ほどの仏教的な思想に近いものです。
確かに辛い(つらい)ことに立ち向かい、ちょっとやそっとでめげないのであれば、それは英雄的な扱いを受けるのも納得がいきます。
一方で「辛い(からい)」というのはどうでしょうか。
これは完全に好き嫌いの話なのです。単に辛い(からい)ものが好きな人がいて、甘いものが好きな人がいる、それだけです。
広瀬すずが好きな人もいれば、広瀬アリスが好きな人がいる。
三倉茉奈が好きな人もいれば、三倉佳奈が好きな人もいる。
柴咲コウが好きな人もいれば、中谷美紀が好きな人もいる。
それと同じです。
そう考えた時に広瀬アリスが好きだからと言って下に見られるのはおかしいと思いませんか?
アリスだって可愛いし、演技も上手です。それでもすずが上ですか?
だったら、ショートケーキやチョコレートなど「甘い」とされているものにも、「辛さ(からさ)」を求めてください。
辛い>甘いという関係性を誇示するという行為は、そういうことです。
つまり、甘口カレーが好きということは「辛いものが苦手」とは関係ない。
「甘口カレーの味が好き」というだけの話なのです。
という訳で、今回のことわざはコチラ。
甘口カレーは別料理
【意味】
他のものと比較して優劣を決めるものではなく、ひとつの個体として認められるべきというもののたとえ。
【例文】
甘口カレーは別料理と言うように、オカマタレントとか関係なく一人の人間としてIKKOさんが好きだ。