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「ドラえもん」をPM視点で分析すると「ひみつ道具」の70%を削減できることが判明

このシルエットは誰でしょう?


そうです、ドラえもんです。

もはや「ドラえもん」を知らない人は日本にいないでしょう。


では、ドラえもんが21世紀にやってきた目的をご存知でしょうか?
それは「のび太の未来を変えるため」です。

元々、ドラえもんが来る前まで、のび太の結婚相手はジャイ子の運命でした。さらに家庭は沢山の不運に見舞われ、会社の倒産が原因で莫大な借金を抱えたり。それはそれは悲惨な未来でした。
そこで、孫の孫のセワシが未来を変えるために根本原因であった「のび太」を立派に成長させようと、子守用ロボットとしてドラえもんを送り込んだのです。


視点を変えると、ドラえもんは一種のプロジェクトを遂行するためにやってきたと言えます。
そのプロジェクトの目的は、

「のび太を立派に成長させて未来を改善する」

です。


ここでひとつの疑問が湧きます。

『ドラえもんの打ち手(ひみつ道具)は目的に対して適切なのだろうか』


これはプロジェクトを遂行するPMとして、とても重要な視点になります。

本来、プロジェクトは最短の期間最小コストで遂行されるべきです。
ドラえもんでいえば
「いかに、短期間でのび太を成長させるか」
「いかに、ひみつ道具の数を少なくのび太を成長させるか」
といった視点が重要になるわけですね。

しかしドラえもんが連載開始から27年間、全1345話に渡ってのび太の課題を解決し続けても、のび太は一向に成長しません
それに毎回違う打ち手(ひみつ道具)を打つわりに、のび太が抱えている課題は数パターンに絞られるではありませんか。

・ジャイアンがいじめる
・スネ夫に自慢された
・テストの点数が悪い
・しずかちゃんが振り向いてくれない

つまりドラえもんは、課題の根本的な原因を捉えないまま打ち手だけを変え続けるという、非常にナンセンスなプロジェクトマネジメントを行っていると言えます。
会社で言えば「良い人材が取れない」という課題に対して、自社の原因を考えないまま求人広告の文言や掲載する媒体だけを延々と変え続けているようなものです。



そんなことが気になって眠れない夜が続いたので、私は思い切って調査することにしました。
まずは私の「ドラえもんの打ち手は最適でない」という仮説が合っているのかを確かめるべく、漫画1〜3巻に登場する計50種類のひみつ道具を用途別に分類してみることにしました。

<参考文献>
ドラえもんのひみつ道具を一つもらえるとしたら
漫画の中からはるばると


分類の結果、ひみつ道具の用途は以下の5パターンに分類されることが分かりました。

【ひみつ道具の用途パターン】
1.強化
のび太が持っていない能力や性格を補うために「補強」をする道具。
記憶力を補うための「暗記パン」や、女の子に好かれるための「キューピッドのや」など。

2.要望対応
のび太自身に何かを適応するのではなく、のび太の要求や願望を叶える道具。
テレビを直すために使った「タイムふろしき」や、ローラースケートで遊べる場所を用意した際の「ガリバートンネル」など。

3.教育
のび太に何らかの練習や勉強をさせるためのサポートとして使用する道具。
室内で泳ぎの練習をさせるために部屋をプールにした「ソウナルじょう」など。

4.トラブルシューティング
のび太の身に降る危険や、細々としたトラブルを解決するために使用する道具。
ダンプカーに轢かれることを予知した「タイムテレビ」や、事故を避けるために空路での移動を可能にした「タケコプター」など。

5.その他
ドラえもんが意図せず部屋に置き忘れたり、第三者の意図で使用された道具。
ドラえもんが部屋に置き忘れてしまい、のび太とママが間違って食べてしまった「動物変身ビスケット」など。


そして、これらを用途別に登場回数を算出したものがコチラです。


ご覧の通り、大半を「強化」「要望対応」が締めています。
2つ合わせて70%です。


さて、ここでもう一度ドラえもんがやって来た目的を見てみましょう。

「のび太を立派に成長させて未来を改善する」


果たして、「強化」と「要望対応」はこの目的に適った打ち手でしょうか?
いいえ、残念ながら良い打ち手とは言えません。

なぜなら、これらの用途は一時的にのび太の課題を解決することになりますが、恒常的にのび太を成長させることにはつながらないからです。
本来ならば「強化」と「要望対応」ではなく、「教育」と「トラブルシューティング」に注力し、いずれは「ひみつ道具」がなくとも自立して生きて行けるよう、立派な人間に成長させなければなりません。

つまり、ドラえもんのひみつ道具において70%が無駄ということになります。



それではどうすれば良いのでしょうか?

ここで、PMシャニカマから「のび太育成プラン」を提案させていただきましょう。
このプランでは主に以下の2つを実施します。

1.「強化」「要望対応」で使用するひみつ道具を一切排除
2.成長段階に合わせた有機的な育成ワークフローの構築

1つずつ見ていきましょう。


1.「強化」「要望対応」で使用するひみつ道具を一切排除

もし私がドラえもんの立場であれば、「強化」「要望対応」の用途で使用するひみつ道具を一切排除します。
「暗記パン」「キューピッドのや」「ガリバートンネル」は一切使用しません。


これらの道具はのび太を甘やかすだけであり、中長期的な視点で見れば成長には逆効果となります。
そのため、テストの点数を上げたいのであれば勉強をさせ、ジャイアンに勝ちたいのであれば実践的な「ボクシング」「修斗」のトレーニングを提供するでしょう。

実際に1〜3巻までで、のび太の抱える課題を抽出(※)し、「スタンス」「スキル」の両面からのアプローチが必要だと仮説を立てています。

※「強化」を必要とした話から課題を深掘りして抽出

「スキル」に関しては特別な研修もさることながら、まずは「出来る」と実感してもらうことを重視するのが良いでしょう。
彼は極度に自信がなく、それがやる気を阻害している一因だと考えられるので、ひみつ道具「コベアベ」を用いた教育プランが適切でしょう。

「コベアベ」は気持ちと反対の行動を取らせる道具なので、最初はやりたくない勉強も遂行させることが可能です。そのため一定の実力がつくまではこの道具に頼ります。
徐々に解けるようになれば、あとはモチベーションを維持する対応へシフトします。(維持する仕組みについては2で後述)


「スタンス」に関しては「セルフコントロール」「劣等感」など深刻な問題もあります。
これらについては定期的なコーチング、およびドラえもんとの1on1によって心理的安全性の担保を最優先にしながら緩やかに改善させる必要があります。

ここに関しては無理に仕組み化して破綻させるより、状況に応じて柔軟な対応を取っていく必要があるでしょう。
のび太には心的ストレスとなるクラスメイトが多くいるため、デリケートな心の問題に関しては注意深く観察することが求められます。


2.成長段階に合わせた有機的な育成ワークフローの構築

のび太を持続的に成長させるために「道具」と以外で必要なものは「仕組み」です。
仕組みを作ることで、より正確に成長させていくことが可能になり、見通しの精度も高まります。

しかし、おそらく数年単位で取り組む長期プロジェクトなので、あくまで暫定的なワークフローになります。上手くいかない場合は形がい化されたフローに固執せず、柔軟にフローを変更しましょう。


のび太を成長させるためのワークフローは以下の3つで構成されます。

①マイルストーンの策定とガントチャートの作成
②進捗共有の会議体設計「朝会/夕会」
③週次の振り返り「KPT」

①マイルストーンの策定とガントチャートの作成
正確にプロジェクトを進行するためには、きちんとスケジュールを立てることが重要です。
まずは大まかに年単位でマイルストーンを引きましょう。

そして次にそれらをタスクとして細分化し、ガントチャートと呼ばれるスケジュールに落とし込んでいきます。


②進捗共有の会議体設計「朝会/夕会」
スケジュールが立てられたら、それに対する進捗確認の場を設計します。
基本的には毎日の登校前にその日のタスクを確認する「朝会」と、夕食前にその日の進捗を確認する「夕会」の2回を行うのが良いでしょう。


③週次の振り返り「KPT」
そして最後に、毎週の振り返りを「KPT」という手法を使って行いましょう。
KPTとは「Keep(良かったので続けること)」「Problem(課題)」「Try(課題に対する打ち手)」の3項目に分けて振り返りを行うものです。

これを毎週行うことで、有機的にワークフローの見直しも行い、ドラえもんの打ち手に関する振り返りも同時に行うことができます。


以上がPMシャニカマが提案する「のび太育成プラン」です。
もしこのプランが採用されたならば、全国の子供達がより一層自立し、主体的に課題を解決していく生産性の高い人材となることでしょう。

小学館の皆さん、いかがでしょうか。
『ドラえもんで学ぶ プロジェクトマネジメントの基礎』とか売れそうじゃありませんか?

ぜひご検討ください。


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岡シャニカマ
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