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2022.3.24 「ながらXX」の落とし穴:「横の広がり(拡大)」と「縦の深さ(深化)」の不便益的トレードオフ

 「ながらXXX(eg. ながら勉強、ながらご飯など)」は、一見マルチタスクで便利に思える。しかし、1つの対象あたりへの集注(注意)が散漫となる結果、「記憶に残らない(残りにくい)」、「怪我などの危険が増す」、「料理の味が感じられない(感じにくい)」、といった弊害を孕む。つまり、身体経験が残っていかないのである。

 これが「ながらXXX」の落とし穴である。目の前の経験を、思念にしてしまっている。食べながらTVを見ると、集注が視覚と頭脳にいく。目の前の食を感覚する感性が阻害される。昔は、団欒しながら、五感フル稼働で食の身体経験を味わっていた。

 効率性(時間的側面)と引き換えに、身体経験という感性や人間力を磨く機会を差し出していた。すなわち、横の広がり(拡大)を拡充し過ぎた結果、縦の深さ(深化)が疎かになる社会システムを作り上げてしまった。これが、“不便益”という視座で現代の物事を捉え直す本質的意義だろう。

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