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災厄の町~読書記録435~

災厄の町 エラリイ・クイーン 翻訳 越前敏弥

結婚式直前に失踪したジムが、突如ライツヴィルの町に戻ってきた。三年間彼の帰りをじっと待っていた婚約者のノーラと式を挙げ、幸福な日々が始まったかに見える。ところがある日、ノーラは夫の持ち物から奇妙な手紙を見つけてしまった。そこには妻の死を知らせる文面が……旧家に起こった奇怪な毒殺事件の真相に、名探偵エラリイが見出した苦い結末とは? 
本格ミステリの巨匠が新境地に挑んだ代表作を最新訳で贈る!

越前 敏弥(えちぜん としや、1961年 - )は、日本の翻訳家、翻訳講座講師。
石川県生まれ。筑波大学附属駒場中学校・高等学校、東京大学文学部国文科卒業。ゲームセンター従業員、学習塾自営、留学予備校講師などを経たのち、フェロー・アカデミーで田村義進のゼミクラスで翻訳を学ぶ。37歳からエンタテイメント小説の翻訳を始める。ダン・ブラウン作品などミステリーの翻訳を中心に活動中。また、朝日カルチャーセンター(東京・大阪)で教鞭をとるかたわら、翻訳ミステリー大賞の創設などにも携わり、後続の育成にも力を注いでいる。

ネタバレはここではしないでおこう。
読者への挑戦状で有名なエラリー・クイーン氏に申し訳ないからだ。

確か、今からもう50年以上も前に訳されたものを、中学生の時に読んだものがエラリー・クイーンに触れるきっかけだったと思う。
今回、新訳で読み、翻訳者で作品が変わるものなのかと思っている。
越前先生の訳は、読みやすいし、日本語自体が上手い。
村上春樹の翻訳が面白いのも、村上春樹的な言い回しというか、文体の魅力がある。
翻訳家は、ただ外国語が出来るだけではなれるものではない、と深町眞理子先生は言われた。日本の本を沢山読むことが必要なんだと。

越前先生があとがきで書かれているように、例えば、アメリカでは姉妹の場合、どちらもsisterで、姉、妹という言葉はない。アメリカ人はあまり気にしないからだ。ただ、日本人は大いに気にする。
だから、今回の訳では、犯人とされた(実際には違ったが、最期には罪を被り自死した)ジムのsisterを姉と訳したのだそうだ。
納得する。
ただ、以前の訳が誤訳とか批判するわけではないことを越前先生は協調しておられる。そこが先輩に対する敬意があり、素晴らしい。

暫くは、越前先生の訳でエラリー・クイーンを読み漁りたいと思うのだった。


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