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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年7月の記事一覧

人はなぜ宗教を必要とするのか~読書記録312~

人はなぜ宗教を必要とするのか~読書記録312~

1999年、明治学院大学名誉教授・宗教学者の阿満 利麿(あま としまろ)先生によって書かれた書。

1996年に出版された「日本人はなぜ無宗教なのか」の続編とも言える。

宗教なんてインチキだ、騙されるのは弱い人間だからだ―「無宗教」を標榜する日本人は、たいていそう考える。しかし、そんな「無宗教」者も、「本当の生き方」を真剣に模索しはじめたとき、また、人の死など身にあまる不条理を納得したいと願った

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動物園の鳥~読書記録311~

動物園の鳥~読書記録311~

坂木司による著書。
鳥井、坂木とのコンビによる探偵ものの最終シリーズ。
それまでは短編であったが、こちらは長編である。

春の近づくある日、鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕らの年上の友人でもある木村栄三郎さんと、その幼馴染みの高田安次朗さんだ。高田さんが働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻発しているという。動物園で鳥井が掴んだ真実は、自身がひきこもりとなった出来事とどうつながるのか―。鳥井

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消された信仰 広野真嗣~読書記録310~

消された信仰 広野真嗣~読書記録310~

著者は1975年生まれ。2002年に猪瀬直樹事務所に入所したフリージャーナリスト。
2018年ユネスコが長崎県の潜伏キリシタン遺産を世界遺産とした時期に発行された書である。

著者は「生月島」という隠れキリシタンの住む島を取材した。

書物のない時代であったからか、こちらの隠れキリシタンと呼ばれる人の祈りは口頭でカタカナでポルトガル語(ザビエルの出身地)を書いたもののようだ。
又、今のバチカンから

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人は必ず死ぬ~読書記録309~

人は必ず死ぬ~読書記録309~

1999年 臨済宗妙心寺派僧侶・松原泰道師による著書。

91歳仏教界の長老が明かす人生の真実。死に方より生き方を問え。
「人は必ず死ぬ」事実に心を注ぎましょう。死に様など気にせず、自分が納得できる生きざまを生き切りましょう。仏教界の長老が、「般若心経」や禅の公案から、人生の真実を読みとる。

人の死亡率は100%。例外はない。死んでから生き返る事も出来ない。その決まりから逃れることは出来ない。

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ネトウヨとパヨク~読書記録308~

ネトウヨとパヨク~読書記録308~

2019年 物江潤による著書。 

「すべて中韓の陰謀だ」「いや諸悪の根源は現政権だ」――無知に気付かず、自らの正義を疑わず、対話を拒否し、ひたすら他者を攻撃する。ネット上で日常的な光景となった罵り合いの主役が、ネトウヨとパヨクだ。時に世論をも動かす彼らの影響は、今や中高生にまで及びつつある。眩暈のするようなおかしな論理や、無尽蔵のエネルギーはどこから生まれるのか。行動原理や心理を読み解き、建設的

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おはようおかえり~読書記録307~

おはようおかえり~読書記録307~

2021年 近藤史恵による作品。
43年前に亡くなった曾祖母が乗り移るという、それだけきくと怖い話のような気もするのだが、大阪人のノリでか。実に楽しい話になっている気軽なミステリーである。

真面目な姉と自由奔放な妹。二人の姉妹に訪れる思いがけない出来事とは——北大阪で70年続く和菓子屋「凍滝」の二人姉妹、小梅とつぐみ。姉の小梅は家業を継ぐため進学せず、毎日店に出て和菓子作りに励む働き者。妹のつぐ

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青空の卵~読書記録306~

青空の卵~読書記録306~

2006年 坂木司のデビュー作となる。

外資系の保険会社に勤める僕・坂木司には、一風変わった親友がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちの鳥井は外部との接触を極力避け、僕を通じて世界を見ている。そんな鳥井の関心を外の世界に向けるため、彼との食卓に僕が出会った身近な謎を披露していく。大人の視点で推理し、子供の純粋さで真実を語る鳥井は、果たして外の世界へとはばたくことができるのか。著者デビ

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百歳からあなたへ~読書記録305~

百歳からあなたへ~読書記録305~

2007年に松原泰道師が100歳になられた時に著された本。

心を耕し、気力を吹き込む珠玉の言葉70。

1 誠実な生き方
2 問題解決のヒント
3 言葉の力
4 めぐりあいのご縁
5 愛と慈悲
6 親子の絆・夫婦の縁
7 一生、精進
8 人生の道

松原泰道[マツバラタイドウ]
1907(明治40)年、東京に生まれる。早稲田大学文学部卒業後、岐阜・瑞龍寺専門道場で修行。51~53(昭和26~28

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日本人はなぜ無宗教なのか~読書記録304~

日本人はなぜ無宗教なのか~読書記録304~

1996年 宗教学者の阿満 利麿(あま としまろ)先生によって書かれた書。

いまや日本人は自分たちを「無宗教」と規定して、なんら怪しむことがない。しかし、本当に無宗教なのだろうか? 日本人には神仏とともに生きた長い伝統がある。それなのになぜ「無宗教」を標榜し、特定宗派を怖れるのか? 「……私は、宗教とは、人間がその有限性に目覚めたときに活動を開始する、人間にとって最も基本的な営みだと理解している

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おいしい旅 初めて編 ~読書記録303~

おいしい旅 初めて編 ~読書記録303~

2022年に、アミの会として発行された短編集だ。

アミの会とは、現代女性作家の集まりで、意気投合した際に短編集をだしている。今回もその1つだ。

この本には、7編収められている。

下田にいるか 坂木司
情熱のパイナップルケーキ 松尾由美
遠くの縁側 近藤史恵
糸島の塩 松村比呂美
もう一度花の下で 篠田真由美
地の果ては、隣 永嶋恵美
あなたと対茶漬けを 図子慧

はじめて行く土地、見知らぬ料

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