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#352 日清戦争はお酒の力で乗り切れた?
近代化をした日本が初めて戦った対外戦争である日清戦争。
国内の整備で財政がひっ迫する中、日本はある税を増税することで日清戦争の戦費を調達した。
それが「酒税」である。
酒税は突発的な増税にとても勝手の良い税金だった。
お酒は生活必需品と言えるほど生活にとって欠かせないものではないが、かといって嗜好品と言うと言い過ぎである。
庶民にとっても重要ではあるが、富裕層ほどお酒を多く飲む傾向があった。
酒税は、生活に困っている人々からは少なく、生活に余裕のある人からはより多く税金を徴収することができるという特質を持った税だったのである。
日清戦争に向けた軍事増強費は年間およそ700万円だったという。
それに対し、酒税の増税分による収入はおよそ600万。
軍事増強費のほとんどを酒税で賄うことができたのだ。
当時は、大きな対外戦争を行う場合は、国を挙げて増税をするか、外国に借金をするかの二択だった。
しかし、国全体での増税は国民の不満を招くし、外国に借金をすれば外国から借金を形に国政への干渉を受ける恐れがあった。
当時の日本は、酒税という魔法の税金を使うことで、そのどちらのシナリオも回避することができたのである。
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【参考】