曲作りにかける想い
最近、私の書いた曲「いちご」がリリースされたので、今日は作曲に対する想いや、私がどのように曲を書いているのかについて書きたいと思う。
私が作曲を始めたきっかけ
曲を書きたい。
そう思い始めたのはコロナ禍だった。
私は、アメリカの大学に留学生として通い、音楽と経済学を勉強していた。大学2年目、ようやく音楽コミュニティを見つけ、バイオリン演奏活動やアンサンブル活動にも慣れてきたというときに、コロナが流行り始めた。大学は全寮制だったので、全員キャンパスから追い出され、私は急に日本に帰ることを余儀なくされた。
自粛は辛かった。大学の友達とは次いつ会えるかわからない、今までずっと生き甲斐だった音楽・アンサンブル活動もできない。私は寂しさとやるせなさでかなり落ち込んでいた。
そんなときに出会ったのが、作曲だった。
時間や場所を問わず、普遍的な自己表現の手段が、私にとっては音楽を作ることだと気づいた。
初めて書いた曲は、バイオリンとピアノのデュエットだった。
メロディが好きだったので、ポップスっぽく歌詞を添えてみたら、我ながらいい出来となった。
「曲」という、限られた何分間かの中で、決して言語のみでは表現できない自分の心の叫びを、音楽や歌詞に乗せて残せるのはとても新鮮で楽しい経験となった。
これからも色々な曲を作詞作曲・プロデュースしてみたいと思ったが、それまでクラシック一筋だった私は、五線譜に音符を書くことまでしかできず、編曲やDTM・ミキシングマスタリング等の知識・経験が皆無だった。
これは自分で勉強するしかない、と自分を奮い立たせ、2022年は好きな曲を、片っ端から聴きまきくり、分析し、カバー・編曲に取り組んだ。
↑soundcloud上にカバー曲を載せています!
カバーしながら学んだことを、だんだん自分の曲にも応用できるようになっていった。そして、今では2つの曲(より道・いちご)をプロデュースし、配信することができた。
2nd シングル配信に至るまで
先日4月21日、新曲「いちご」をリリースした。
↑「いちご」配信中
ある秋の日、突然曲のアイデアが降ってきた。
bpmは120。
リズミカルでグルーヴィーなベースラインと、Aメロのメロディがくっきりと浮かんできた。
「これだ」
1日で大体の曲の雰囲気と構成、メロディが完成。
もうその時には「いちご」というタイトルは既に決まっていた。
自分の頭の中には、いちごのような淡くつやつやした赤色と、みずみずしい青色の世界が広がっており、これはいちごの曲だ、と確信していた。
コード進行・メロディやリズムは、ポップス曲でよく見かける割と伝統的なものを使用したが、音色や雰囲気的な部分は普通とはちょっと違うものを取り入れたいという思いでデモ音源を完成させた。
作詞のプロセス〜いちごの気持ちになって
昔、いちご狩りに行った時に、「もし私がいちごだったら」なんてことを考えていた。
あまおう、とちおとめ、越後姫…やはり高級いちごとして生まれてちやほやされるのは幸せだろうな。
でも、見た目が不恰好で値段が安くついてしまういちごや、中には選ばれずに店頭に並ばないいちごにも、実は香りや味の美しさがあるかもしれない、
それはそれで幸せと言えるかも、
なんてことを考えていた。
ちょうど「いちご」を書き始めた頃、私は大学院に入学し、就活を始め、進路選択や漠然とした将来について考えることが多くなっていた。
どこからも受け入れられずに取り残されていくことへの恐怖が、まるで選ばれない"いちご"に似ているな、と思ったのがインスピレーションだった。
人間社会でも、選ばれるためには見た目や肩書きも大切、そして他人に自分の価値を短時間で理解してもらう必要がある。でも、複雑で、一言で現しきれない、さまざまな色のグラデーションを纏う自分らしさも大切にしたい。何より、自分に正直でありたい。
そんな葛藤が、この曲のテーマとなった。
そして、数ヶ月もの編曲作業、録音(バイオリン・ボーカル)、ミキシング・マスタリングの試行錯誤を経て、「いちご」は完成した。
(ちなみに、「やよいひめ」は私の出生地、群馬県の名物である。ささやかながら、私の群馬愛を歌詞に取り入れたつもり。)
正直、ミキシング・マスタリングスキルはまだまだだ。
細かい部分で手こずり、自分の思い描くサウンドを作るのに無駄な時間をかけてしまうことは日常茶飯事だ。
ボーカルトラックの処理も、うまく行っていない箇所がたくさんある。
これからもっと練習し、上達して行きたい。
もし、この記事が誰かの目に留まり、この曲に何かしらの想いをのせて聴いてくれるなら…私は幸せです。
絵: sara作