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心に雨が降るとき 「再休職」と、これからのこと

「なるべくその日のうちにストレスを発散させて、翌日に持ち越さないようにしましょう」
これは、今からちょうど一年前、約2ヶ月間の休職を経て、復職する直前に、カウンセラーの先生に言われた言葉。
少しの間とはいえ仕事から離れ、リフレッシュした(ような気になっていた)僕は自信満々で「はい」と答えました。
あの時のドヤ顔が、今となっては恥ずかしい苦笑
何故か。
タイトルがすでに答えになっていますが、この度、精神的な疲弊が再びピークに達し、僕はもう一度「休職」をすることになったからです。

思えば、数ヶ月前からその予兆はありました。
中途覚醒や朝に感じる吐き気の再発、不意に襲われる不安感。
あれ?これは身に覚えがあるぞ、と思っているうちに、症状はどんどん悪化し、処方される薬も増えていきました。
そして、最終的にやってきたのが、最大の敵=希死念慮。
noteで思いの丈を綴り、奥さんや友人、家族にも自分のセクシャリティをカミングアウトすることに成功して、同じ「LGBTQ+」当事者の方々ともSNS上で知り合えた。
その矢先、まさかのこのタイミングで、自分でも訳が分からないのですが、一筋縄ではいかないのが人の心というものです。
あれよあれよという間に、僕のメンタルは下降の一途を辿っていきました。

実は、理由として思い当たることがないわけでもない。
復職から半年以上が経過した頃、上司も「もう大丈夫」と判断したのか、次第にプレッシャーの大きな仕事を任されることが増えていきました。
しかも複数を同時進行で。
自慢じゃないですが、僕はマルチタスクが大の苦手です苦笑
そして、人からの頼まれ事を断るのも苦手。
この状況で、僕のような人間がどんな精神状態になるかは火を見るより明らかです。
以前休職した際に、「限界」を超えそうになったら必ず誰かに相談する、と固く決意した自分はどこにいったのか…?
ついにいっぱいいっぱいになった僕は、ここで小さな爆発を起こしました。ある打ち合わせの際、上司に泣きながら、「もう無理です…」と訴えたのです。

この時すでに、危険フラグは立っていました。
仕事中に涙を流すようになったら、それは「もうやめておけ」のサインです。けれど、とても人柄の良い僕の上司は、その涙をしっかりと受け止めてくれ、ありがたいことに、すぐに業務内容の見直しと調整をしてくださったのです。
僕は心底ホッとしました。
本当に、救われたような気がした。
しかし、メンタル不調の波はしっかりと足元までやってきていました。
初めは気づかないほどゆっくり、静かに。
あれ?少しつま先が濡れているな、という程度。
それがだんだん、足首まで浸かるようになり、やがて腰の辺りまで届き、ついにある日、水が口元までやってきて、僕は息ができなくなってしまったのです。

「またお休みしてみませんか?」
上司からそう提案して頂いたのが、約1ヶ月前。その頃の僕は、明らかに一日にこなせる仕事量が激減し、集中力も落ち、仕事の小さなミスも増えていました。
恐らく、側から見ていても、自分のメンタルのヤバさは明白だったはず苦笑
正直、「再休職」するという選択肢は、頭の中に1ミリも浮かんでいなかったのですが、上司にそう言われた瞬間、何とか体を吊っていた緊張の糸がぷつりと切れたように、僕は完全に自分の力が抜けていくのを感じていました。
そして、いつの間にか、再び「限界のライン」を超えていたことに気付かされたのです。
復職に失敗した。
そんな無力感とともに、僕は上司の言葉に頷いている自分を、斜め上から俯瞰していました。

よく、人の心は天気のようだなと思うことがあります。
晴れているかと思えば、急に雲が出てきて、風が強くなる。
そして、雨が降り出します。
しばしば聴いている、うつ病の方二人がやられているポッドキャストの中で、突発的な希死念慮を「ゲリラ豪雨」に例えているのですが、それにならって、今の自分の心の状態を表すならば、しとしとと雨が降り続いている状態。
この雨がしつこく、秋の長雨のように来る日も来る日も止まないのです苦笑
そこで僕は、体が濡れて冷えないように、一度お休みをして、傘をさすことにしました。
これが、今回「再休職」するまでの簡単な経緯です。

人はおおむね、自分が思うほどには幸福でも不幸でもない。肝心なのは望んだり、生きたりすることに飽きないこと

映画『イノセンス』押井守、2004年

引用した言葉は、昔観た映画の中である登場人物が言うセリフ。
不意に思い立ってもう一度観返した僕の胸には、この言葉がとても深く刺さりました。
別の記事にも書きましたが、今、長年の抑圧から解放されて、バイセクシャルである自分をようやく認め、周囲にも少しずつ自己開示できるようになった僕には、やってみたいことがたくさんあります。
今回の「再休職」は、そんな「これから」の人生をより良いものにするために必要なこと。
メンタル疾患の寛解には、高いハードルがありますが、望むこと=目標さえ持つことができれば、一度立ち止まることも無駄にはならないはず。
そう考えた僕は、気持ちを切り替えて、この「再休職」をポジティブな期間と捉えることに決めたのです。

今回の休職期間は、ひとまず10月から12月までの3ヶ月間。
そこから様子を見て、出社できると自他ともに判断ができたら、復職をする予定です。
恐らくはじめのうちは、不安と焦燥に苛まれる日々が続くはず苦笑
でも、しっかり心身を休めた後は、「これから」のことをじっくりと考えたい。
「望んだり、生きたりすることに飽き」たりしないために、心に傘をさした状態で、うまく未来に繋げられるように。

前回の休職と違う点は、noteで色々な方々と繋がれたこと、ありのままの自分を受け入れてくれる人が、リアルでもSNS上でも存在すること、つまり自分が自分のままでいられる居場所があることかな、と思います。
これがあるとないとでは大違い。
もちろん、焦る気持ち、本当にまた社会復帰できるのか、などの不安はありますが、そんな自分が顔を出す度に、僕は「大丈夫」と心の中で唱えようと思っています。
「大丈夫」という言葉は、「根拠がないからこそ強いのだ」ということを、この年齢になって初めて理解しました。

今はこんな風に、この文章をまとめるのが精一杯な僕ですが苦笑、徐々に体力が回復してきたら、「休職期間」だからこそできることに、色々と挑戦してみたいという気持ちがあります(noteの投稿も、もしかしたら以前よりも頻繁になるかもしれません)。
僕は周囲の方々や、職場環境に恵まれている。
そのことに対する感謝を忘れないようにしながら、焦らずじっくり、もう一度自分と向き合っていきたい。
そして、自分の感情のアンテナに正直に生きたい。
長々と書いてしまいましたが、これが今の僕の正直な気持ちです。
めちゃくちゃ陳腐な言葉ですが、「止まない雨はない」と信じて、一日一日を真摯に生きていきたいと考えている次第です。

また何か心境の変化や、状況の進展がありましたら、この場をお借りして発信できたらと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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