ベイトソンの生きた世界観④ ベイトソンの世界観にみる多様性——自分自身の神話
ベイトソンの4つ目のテーマは「種の多様性は種の一様性よりも好ましい」である。これについてバーマンは「多様性を維持することは、あらゆる生物システムの生存にとって決定的に重要であるということである。なぜなら、多様性を維持するためには、柔軟性が不可欠であり、耽溺に陥って柔軟性を消費してしまってはならないからである」と指摘する。そして、多様性の語る真理、多様性の語る倫理を以下のように述べている。
柔軟性というものはそれ自体、生存の単位の一部であり、<精
神>の単位の一部なのだ。愛、叡智、循環性、最適化——これ
らはみな多様性の倫理へと向かう。そしてベイトソンの全体論
が体現しているのは、まさにこの倫理体系である。だが西洋工
業社会は、社会主義であら資本主義であれ、国を挙げて一様性
をめざし、思考の均一、行動の均一をめざしているのである。
(中略)
では、多様性の語る真理、多様性の語る倫理とはどのような
ものだろうか? それはメアリー・キャサリン・ベイトソンが
最近述べたように——そしてニーチェがずっと以前に述べたよ
うに——、我々はみな自分自身の神話を持っているというこ
と、生において我々が実現すべき、自分独自の真の可能性をそ
れぞれ持っているということにほかならない。言いかえれば、
我々はみな「自分自身の最良のメタファー」なのだ。
申し訳ありませんが、今日はここまでです。